■調査結果のポイント
- 6月の景気DIは前月比0.5ポイント減の41.3となり3カ月連続で悪化した。熊本地震や燃費データ不正問題、イギリスのEU離脱決定など、国内景気は国内外からの悪材料が相次いでおり、悪化傾向が続いている。今後の景気は、英国ショックが当面継続するとみられ、企業業績への影響も懸念されるなか、下振れ傾向を強めながら推移すると見込まれる。
- 業界別では『製造』『卸売』『運輸・倉庫』など6業界が悪化、『農・林・水産』『金融』『不動産』の3業界が改善、『その他』が横ばいとなった。軽自動車の販売低迷や熊本自身の影響が多くの業種で表れた一方、マイナス金利のプラス効果は『不動産』など一部にとどまっている。
- 改善した『東北』『九州』および横ばいの『中国』を除く7地域が悪化。『東海』は自動車の生産停止などにともない関連業種に影響が出た一方で、熊本自身で景況感が悪化していた『九州』は3カ月ぶりに改善した。
< 2016年6月の動向 : 悪化傾向続く >
2016年6月の景気DIは前月比0.5ポイント減の41.3となり3カ月連続で悪化した。
6月は、熊本地震や大手自動車メーカーの燃費データ不正問題の影響が続いた。そのようななか、24日には英国のEU離脱が決定され、企業の景況感を大きく悪化させる要因となった。また、住宅着工戸数は増加傾向にある一方、企業の設備投資意欲は先行き不透明感の高まりで慎重姿勢を強めているうえ、事務所や工場などの建築需要の停滞も建設関連の景況感を悪化させる要因となった。さらに、日本銀行によるマイナス金利導入の効果は一部業界にとどまっている。他方、熊本地震の影響で悪化した『九州』は3カ月ぶりに改善し、地震を契機に大きく落ち込んだ景況感は底を脱しつつある。
国内景気は、国内外からの悪材料が相次いでおり、悪化傾向が続いている。
< 今後の見通し : 下振れ傾向を強めながら推移 >
海外動向では、イギリスのEU離脱問題が大きな焦点となる。イギリスに進出している日本企業は1,380社判明(帝国データバンク「イギリス進出企業実態調査」)しており、大企業を中心に欧州戦略の見直しを迫られよう。EU離脱問題に関して、米国の利上げ先延ばしや、安全資産として日本円への需要が高まることは円高要因となる。国内では、熊本地震からの早期の復旧・復興や、マイナス金利政策の効果により左右されるとみられる。個人消費は、消費税率引き上げの延期により駆け込み需要が期待できなくなったなかで、家計の所得上昇がカギを握る。また、マイナス金利は徐々に住宅投資や設備投資に波及すると期待されよう。
今後の景気は、英国ショックが当面継続するとみられ、企業業績への影響も懸念されるなか、下振れ傾向を強めながら推移すると見込まれる。
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