脱・属国
日本自動車販売協会連合会が12月1日に発表した2008年11月の国内新車販売台数は前年比27.3%減、4カ月連続で前年実績を下回るとともに、11月としては39年ぶりの低水準となった。
2008年11月のTDB景気動向調査でも、「自動車・同部品小売」(16.3)は前月比2.9ポイント減と大幅に悪化し、8カ月連続の前月割れとなった。前年同月(34.7)の半分にも満たない水準まで落ち込み51業種中で最低となるなど、景況感の悪化が深刻だ。8カ月悪化の間には、ガソリン価格の低下というプラス材料はあったものの、少子化や先行き不安から高まる生活防衛意識により、需要回復には結びついていない。
自動車業界の減産が各社から発表されているなか、TDB景気座談会を全国7カ所で開催しているが、自動車産業の影響が大きい東海、中国、九州では、「自動車の減産の影響がどれだけ響くかと危惧している」「年明け以降、来期の設備投資計画を大幅に見直さざるを得ない」(自動車部品メーカー)などの厳しい状況を訴える声が多く聞かれた。
減産の影響は、鉄鋼・非鉄・ガラスなど素材メーカーから部品製造の下請企業、販売店などの直接的な業種のみならず、工場の存在する地場経済の建設・不動産・小売など関連業種まで多岐にわたる。
また、雇用の面では、2006年に発覚した偽装請負問題を機に、メーカーは規制が厳しい請負から派遣へシフトしたが、その契約期間3年の契約が一斉に訪れる2009年問題と減産が重なる。メーカーは、販売不振による減産という背景もあり、人員減を一気に着手し始める構えだ。
減産は、製造・流通・消費の多くの面で地域経済にとって大きな打撃となる。雇用不安は先行きの生活不安を生み、自動車を含めた耐久消費財全体の消費低迷は避けられそうにない。特に自動車産業を擁する東海、中国、九州での地域経済の落ち込みが懸念される。
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