レポート第2回 最低賃金改定に関する愛知県企業の意識調査

採用時の最低時給968円、最低賃金を70円上回る ~ 6割が「消費回復への効果なし」と回答 ~

はじめに

2018年10月1日から中旬にかけて最低賃金が改定された。2018年度の最低賃金の改定は、政府が「未来投資戦略2018」(成長戦略)や「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太の方針)などで、年率3%を目途として、全国加重平均1000円を目指すなかで、最低賃金が時給で決まるようになった2002年度以降で最高額の引き上げ額となった。そのため、収入増加による消費活性化などが期待される一方で、人件費上昇による企業収益の悪化などが懸念されている※。

帝国データバンク名古屋支店は、最低賃金の引き上げに関する愛知県企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2018年9月調査とともに行った。なお、最低賃金改定に関する調査は、2016年9月調査に続き2回目。


※最低賃金制度とは、国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければならないとされている制度。改定後の最低賃金は全国平均で2017年度より26円引き上げられ874円に、地域別では都道府県ごとに24~27円引き上げられ時給761~985円となる(産業別最低賃金等は別途定められる)。

■調査期間は2018年9月13日~9月30日、調査対象は愛知県の1387社で、有効回答企業数は556社(回答率40.1%)。全国は2万3101社で、有効回答企業数は9746社(回答率42.2%)。

調査結果

  1.   最低賃金の改定を受けて自社の給与体系を「見直した(検討している)」愛知県企業は46.6%で全国(44.0%)を2.6ポイント上回った。「見直していない(検討していない)」は38.5%で全国(40.0%)を1.5ポイント下回った。前回調査時点(2016年9月)と比較して、「見直した」企業の割合は11.5ポイント増と、最低賃金改定が従来よりも給与体系を見直すきっかけとなっている。
  2.   採用時で最も低い時給は約968円で愛知県の最低賃金の898円より70円高い。業界別では『不動産』『建設』、都道府県別では「東京都」「神奈川県」「大阪府」が1000円台。
  3.   今回の最低賃金の引き上げ額について、「妥当」が39.0%で最多。「低い」(14.6%)および「高い」(16.5%)を大きく上回る。但し、消費回復への効果については、「ない」とする企業が58.1%で半数を超え、「ある」と考える企業は8.3%にとどまっている。
  4.   企業の86.5%で2018年度の賃上げを実施。賃上げを行っていない企業は13.5%にとどまる。内容は「定期昇給」が69.4%で最多。次いで、「賞与(一時金)」(40.1%)、「ベースアップ」(34.4%)の順。
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