はじめに
2024年上半期の物価高倒産は全国で484件発生[1]した。過去最多のペースで増加しており、事業収益性の向上には価格転嫁をいかにスムーズに進めるかが喫緊の課題となっている。2024年8月2日に中小企業庁は、受注側の中小企業の立場で価格交渉のしやすさや価格転嫁の現状についての評価を発注側企業ごとに公開した[2]。評価の低い企業に対して大臣名で指導や助言を実施していくなど、政府全体で価格転嫁の促進を後押ししている。
一方で企業にとっては原材料価格やエネルギー価格の高止まり、最低賃金の引き上げも含めた人件費の負担増など、取り巻く環境は厳しい状況が続いている。商品・サービスのコストの上昇をすべて価格に転嫁することが望ましいが、国内景気に活性感を欠いており、思い切った価格転嫁をしづらい状況が続いている。
そこで、帝国データバンク大阪支社は、現在の価格転嫁に関する近畿企業の見解を調査した。本調査は、TDB景気動向調査2024年7月調査とともに行った。
- 調査期間は2024年7月18日~31日、調査対象は近畿4,428社で、有効回答企業数は1,858社(回答率42.0%)
[1] 帝国データバンク「全国企業倒産集計2024年上半期報」(2024年7月5日発表)
[2] 中小企業庁「価格交渉促進月間(2024年3月)フォローアップ調査の結果について(2)」(2024年8月2日発表)
調査結果(要旨)
- 自社の商品・サービスにおいて、コスト上昇分を『多少なりとも価格転嫁できている』企業は81.8%となった
- 他方、「全く価格転嫁できない」企業は9.1%となった
- 価格転嫁率は46.2%と前回調査(2024年2月)から3.9ポイント上昇しているものの、依然として5割以上を企業側が負担していることになる
- 府県別では、「和歌山県」(48.3%)が全国9位となり、前回調査から8.3ポイント上昇した
詳細は以下のPDFをご覧ください
20240925_価格転嫁に関する近畿企業の実態調査(2024年7月).pdf

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