レポート福田首相が辞任、岐路にたつ日本に求められる政治の力

2008/09/03
コラム

大和

9月1日夜、福田首相が辞任を表明した。多くの世論調査で支持率の低下が指摘されてきた現政権だが、ついに持続困難となって、安倍前首相に続きわずか1年で幕を下ろすこととなった。


しかし、今回の退陣によって、ある程度方向性が示されていた景気対策や税制改革、新テロ特措法など数多くの課題は一時保留となり、国民の審判を受ける機会が巡ってきたとも言える。


次期総裁は麻生太郎氏が最有力とされているが、世論の動きによっては、小泉改革の継承者と期待される小池百合子氏や石原伸晃氏などが台頭する可能性もある。さらに、年内にも実施が見込まれる解散総選挙では、各党が目指す政策がマニフェストとして公表されることで、政権選択の好機となろう。


最近の報道は福田首相へのバッシングばかりが目につくが、必要以上に国民の不安をあおり、失望感を増幅させることは得策ではない。グローバル経済のなかで、埋没しかけている日本がとるべき政策を前向きに議論すべきである。


海外依存型の政治・経済から医療・福祉、年金、環境問題、官僚不祥事に至るまで、これらは戦後の発展に伴って蓄積されてきたツケと言える。そのツケを払わされるかたちとなった安倍、福田両首相の苦悩を政治家個人の問題として斬りすてるのではなく、日本全体の課題として捉えることが重要だ。


いま日本は、20世紀の負の遺産に押しつぶされるか、21世紀に適した制度設計を行って新たな発展に向かうかの岐路にたっている。為政者はそのことを広く国民に訴え、事態の収拾を図り、リーダーシップによって真に国民のために必要な政治を行っていかなければならない。

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