はじめに>>
4月9日、「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン、以下 GC)に関する注記」に関わる監査基準の改訂が、同 20 日には財務諸表等規則等の改正が行われた。2008 年度下期以降顕著になった企業業績の悪化を受けて、四半期財務諸表において GC 注記を付けられる上場企業が急増、一部のマスコミ等で GC 注記企業が監査人による倒産判別だとして誤った対応がとられるうえ、国際会計基準との整合性を図ることを目的に見直したものだ。主な改訂のポイントは、①貸借対照日において GC に重要な疑義を抱かせる事象又は状況があっても打開策を示すなどして貸借対照日後に不確実性が認められなくなった場合は注記する必要がない、②その場合は「事業等のリスク」(経営成績の 1 項目)で「継続企業の前提に関する重要事象等」などとして開示する、③経営者が示す合理的な経営計画等(1 年間にわたる精緻な経営計画等)を示さない場合でも監査人の意見を表明できる、というものだ。09 年 3 月期に開示される決算(四半期決算含む)から適用された。
帝国データバンクはこうした背景を踏まえて、上場企業が 5 月 31 日までに発表した決算短信に記載された「事業等のリスク(経営成績の項目含む、以下同)のなかの GC 開示」、「GC 注記」の状況をまとめた。同様の調査は今回が初めて。
注=外国会社、日本証券業協会のグリーンシート銘柄は除外した。
調査結果>>
5 月 31 日までに GC 注記がある企業は 185 社。4 月から 5 月末までに新たに GC が注記された企業は 38 社で、解消した企業は 59 社あった。3 月末(213 社)と比較すると、その後上場廃止になった 7 社を含めて 28 社減少したことになる。解消した 59 社中、「事業等のリスク」に開示した企業は 31 社ある一方、「事業等のリスク」だけに新たに開示した企業は 31 社あった。GC 注記と「事業等のリスク」への開示がある企業は 56 社で、「事業等のリスク」に記載のある企業は合計 118 社だった。

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