レポート全国企業の財務分析(2015年度)

生産性は改善続くも伸び鈍化 ~ 小規模企業は前年度を1割下回る ~

2016/12/08

はじめに

2015年度の決算は、上場企業を中心に円安やインバウンド消費などを背景として増益企業が相次いだ。特に大手ゼネコンは、公共工事が引き続き好調なことや都心の再開発など大規模工事が重なった影響で最高益が続出している。

人口減少に直面する日本経済において生産性の向上は喫緊の課題であるが、設備投資の息切れや個人消費の低迷など継続的な成長が不安視されている一面もある。政府は、企業の生産性向上を促す様々な政策を打ち出しており、その効果が今後の経済成長に大きく関わってくるに違いない。

帝国データバンクでは、リーマン・ショック前の2007年度(2007年4月~08年3月期)から15年度(15年4月~16年3月期)までの9期間の財務分析を実施。生産性、安全性、収益性の3点から調査・分析した。今回の調査は2015年12月に続き4回目。


■企業規模は、総資本別(「1億円未満」「1億円以上10億円未満」「10億円以上100億円未満」「100億円以上」)

■財務比率の各数値は、帝国データバンクの企業財務データベース「COSMOS1」をもとに作成した『全国企業財務諸表 分析統計』(第51~59版)による

■決算期の対象は、2007年度(07年4月~08年3月期)~15年度(15年4月~16年3月期)の9期

■財務比率は、「一人当たり経常利益」(生産性)、「自己資本比率」(安全性)、「売上高経常利益率」(収益性)の3指標。
1. 一人当たり経常利益=(経常利益/期末従業員数) 2. 自己資本比率=(自己資本/総資本)×100 3. 売上高経常利益率=(経常利益/売上高)×100

■業種別では「建設」、「製造」、「卸売」、「小売」、「運輸・通信」の5業種を取り上げた


調査結果

  1. 「一人当たり経常利益」 全業種で改善も増加幅は縮小
    全5業種で改善し、全産業平均で前年から6.82%増加する一方、総資本「1億円未満」の小規模企業は「全産業」で前年度比10.76%減少
  2. 「自己資本比率」 「運輸・通信」を除く4業種で改善
    「建設」、「製造」、「卸売」、「小売」が改善。増加幅が最大だったのは「建設」で前年度比2.91ポイント増加、2年連続で2ポイントを超える大幅増となり、リーマン・ショック前(2007年度、22.16%)の水準に戻りつつある
  3. 「売上高経常利益率」 全産業平均でプラスも2業種で減少
    全産業平均でリーマン・ショック前(2007年度)を上回った。一方で「建設」は総資本「1億円未満」で悪化するなど企業規模間の格差が広がった
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