はじめに
10 月16 日、「企業再生支援機構(新機構)」は昨年10 月の業務開始から1 年が経過する。この間、日本航空やウィルコムなど7 案件の支援決定を公表しているが(10 月11 日現在)、再生の成否を判断できるのはまだ数年先で、少なくとも3 年前後の期間が必要となる。そこで1 つの参考になるのが、2003 年4 月から2007 年3 月まで活動を続けた「産業再生機構(旧機構)」の存在だ。
旧機構が手がけた41 案件のその後を追跡することで、新機構案件の今後の姿が浮かび上がる。
帝国データバンクでは、産業再生機構が支援した41 案件のうち、後に倒産したアメックス協販とダイア建設の2 社を除く39 社について、支援終了後のスポンサー動向のほか、直近決算(2009年度)の売上動向・財務状況を調査・分析した。同様の調査は2009 年9 月に続き2 回目となる。
なお、カネボウについては本体企業のほか主要な事業を継承した5 社も業績調査の対象とした。
調査結果(要旨)
1. 機構による支援終了時のスポンサー企業のその後を追跡すると、「継続支援」が26 社(66.7%)で6 割を超えた。一方、3 社に1 社(13 社)は後にスポンサーを「変更」していることが判明
2.直近2 期の売上高が判明した40 社のうち、2009 年度は「減収」が31 社(77.5%)で、全体の4 社に3 社を占める
3.一方、2009 年度の損益状況は「黒字」が31 社(81.6%)。再建にともなう業容縮小で売り上げは減少する半面、利払い負担軽減とリストラ効果で収益体質は改善傾向の企業が目立つ
4.2009 年度の財務状況も「資産超過」が25 社(65.8%)で、全体の6 割を超える。一方、「債務超過」「資本食い込み」など、全体の3 社に1 社は依然として脆弱な財務内容にある

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