はじめに
2015年10月5日、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定が大筋合意された。高い水準の自由化と高度なルールを、世界のGDPの約4割を占める12カ国が約束したことで、関税等の大幅な削減・撤廃が行われ、域内全域に共通のルールが適用されることとなる。TPP協定は、域内市場の一体化が進展し、ヒト、モノ、資本、情報が活発に行き交うことで、日本経済の活性化につながると期待されている。他方、農産物などにおいては、関税撤廃などによる国内生産者への影響が懸念されているほか、金融や社会保障分野でのルールも課題に挙げられている。
帝国データバンク大宮支店はTPPに関する埼玉県内企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2015年12月調査とともに行った。なお、TPPに関する調査は2010年12月調査以来2回目。
■調査期間は2015年12月15日~2016年1月5日、調査対象は埼玉県内903社で、有効回答企業数は373社(回答率41.3%)
調査結果
- TPP協定、企業の63.5%が日本にとって「必要」。自社の属する業界では28.7%が「必要」と考えているが、5年前(38.9%)と比べると大幅に減少。
- 自社への影響は「プラスの影響」(17.2%)が「マイナスの影響」(6.4%)を上回るも、「影響はない」「分からない」がそれぞれ4割近くに達し、自社への影響を必ずしもとらえきれていない現状が浮き彫りに。業種別では、プラス影響は「金融」「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(各50.0%)、マイナス影響は「化学品卸売」「広告関連」(各50.0%)がトップ。
- 具体的影響を想定する企業のうちプラス面では「売り上げや利益の増加」(35.2%)がトップ。以下、「原材料コストの低下」「輸出の増加」が3割を超えた。マイナス面では「新規参入の増加による競争の激化」(23.9%)がトップ。「販売価格の低下」「新たなルールに対応する組織・商習慣の変更」が続く。
- TPP協定への対応については、企業の83.6%が「検討していない」。業界別にみると、「運輸・倉庫」では15.3%の企業で何らかの対応策を検討しているが、「金融」「不動産」「小売」では100%検討していない。
- 対応を検討している企業のうち、57.7%が「TPP関連情報の収集」を検討。以下、「売り上げや収益への影響分析」が50.0%、「海外販路の開発・拡大の方法」が19.2%で続く。
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