レポート日本企業の「ロシア進出」状況調査(7月)
日本企業「脱ロシア」ストップ ロシア事業見直し、5カ月目で初のゼロ ~ 「事業撤退」主要国で最低レベル、欧米企業との温度差鮮明 ~
はじめに
帝国データバンクが米エール経営大学院の集計をもとに、各国の「ロシア事業撤退(Withdrawal)」の割合を分析したところ、全世界の主要企業約1300社のうち22%に当たる300社がロシア事業撤退を表明したことが分かった。国籍別にみると、ノルウェーなどの北欧3カ国をはじめ、英米企業で「脱ロシア」の動きが加速している。また、欧米の対ロ制裁発動など、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの圧力が欧米諸国を中心に強まるなか、衣料大手のH&M(スウェーデン)などをはじめ、ロシア市場の重要度が高い企業でも完全撤退する動きが続いている。
一方、日本企業の事業撤退割合は帝国データバンクの調査で3%、エール大の調査でも5%と、依然として先進主要7カ国中で最低レベルにある。ロシア工場の操業停止や同国との製品輸出入停止といった、ロシアと距離を置く動きは続いた。しかし、ロシアビジネス撤退には慎重姿勢をみせる企業が多いほか、ロシア事業の占める割合や影響が小さいことから、積極的な開示や対応を控えている側面もここにきて見え始めている。ただ、レアメタルやLNGなどのロシアに代わる代替供給先の確保が難航していることに加え、ロシアを重要な新興市場としてこれまで注力してきた日本企業にとっては「市場再参入のハードルが高い」といった課題もあり、容易な撤退は難しい現状もある。ロシア事業の継続に厳しい目を向けつつある外部環境と、ロシア事業の今後を鑑みた難しい判断が引き続き求められる。
■対象は、帝国データバンクが保有する企業データベースに加え、各社の開示情報や報道資料を基に、工場や事業所、駐在員事務所などの設備・施設、直接出資などでロシア国内に関連会社を有するなどの形で、2022年2月時点に進出が判明した上場企業168社
調査結果
- ・ ロシア事業見直しの動き、侵攻5カ月目でストップ 7月の新たな判明はゼロ

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