レポート

【連載】海外政経情勢 第29回「トルコ」 ―底堅い実体経済も、政局の先行きに注目

(株)伊藤忠総研

2025/12/25

■SUMMARY

トルコはその地理的な位置から、東西文化の交差点として歴史的に重要な役割を果たしてきた。近年では経済成長や地域外交における影響力の増大により、国際社会での存在感をさらに高めている。

しかし、その反面、国内政局の不安定さやインフレ問題、そして地政学的な課題が絡み合い、トルコは複雑な状況に直面している。2025年3月に発生した反政府抗議活動や金融市場の動揺は、こうした問題の一端を象徴するものとなった。

このような動揺が続く中で、トルコの実体経済は内需を中心に成長を維持しているものの、インフレ抑制にはなお時間が必要である。また、外交面では巧妙な均衡政策を展開し、地域情勢の安定化に向けた動きが進む一方で、2028年の大統領選挙に向けた政治的不透明感が増している。これらの状況は、日本企業がトルコへの進出を検討する際にも重要な判断材料となる。

このレポートでは、トルコの政経情勢を多角的に分析し、国内外の動向がどのように進展しているかを詳述する。まず、2025年3月に発生したイマムオール事件とその影響について掘り下げ、政治的リスクが金融市場へどのように波及したのかを検証する。

インフレの動向と中央銀行による金融政策の変遷を追い、物価安定化への課題を考察する。また、国内経済の実体については、内需主導の成長が続いている背景や、復興需要を含む投資の動向を分析する。一方で、外需の低迷や輸出減少の要因についても触れる。

外交面ではウクライナ戦争を契機としたトルコのバランス外交を取り上げ、地域の地政学的な安定化に向けた進展を解説する。周辺諸国との関係改善や、シリア問題の変化、クルド人勢力との関係など、安全保障面のリスク緩和についても取り上げる。

最後に、2028年の大統領選挙を巡る政治的な不透明感や、エルドアン大統領の後継問題について分析し、トルコの未来に影響を与える要因を展望したうえで、トルコの政経情勢が日本企業にとってどのような機会と課題をもたらすのかを考える。

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