レポート

【連載】海外政経情勢 第27回「ロシア」 ―戦時景気に陰り、蓄積される戦争の代償。それでも停戦はなお不透明

(株)伊藤忠総研

2025/08/22

■SUMMARY

ロシアはプーチン大統領の長期政権の下で、国内基盤の安定を維持しつつも、ウクライナ侵攻による経済的・地政学的な影響を受け続けている。

戦争による軍事支出の拡大が短期的な経済成長を押し上げる一方で、制裁による西側諸国との分断、輸入代替の遅れ、そして人口流出や少子化が中長期的な成長力を蝕んでいる。

また、停戦を巡る外交交渉は膠着状態にあり、戦争の出口は依然として見えない状況である。こうした背景の中、ロシアの政経情勢を多角的に検討することは、日本を含む国際社会にとって重要な課題となっている。

このレポートでは、盤石な基盤を持つプーチン政権の内政体制や、それを支える経験豊富な側近たちの役割を解説する。特に、外交、財政、金融、産業政策の各分野における実務的な対応が、国内外の困難を克服するためにどのように機能しているかを詳述する。また、ウクライナ侵攻後の経済動向に焦点を当て、西側諸国とのデカップリング(分断)が進む中での輸出入構造の変化や、原油輸出や輸入代替の現状について分析する。

さらに、短期的な経済成長を支えている軍事支出や個人消費の拡大、固定資本投資の新たな需要についても取り上げる。一方で、戦争の長期化による潜在成長率の低下や、インフレ、労働力不足、設備劣化などの課題についても掘り下げる。これらがロシア経済に与える影響を多角的に検証する。

外交面では、ロシアが停戦の条件として掲げる主張や、米露首脳会談の進展状況、ウクライナとの交渉の現状を解説する。戦争継続による国内世論の動向や、プーチン政権の持久戦への姿勢も分析し、停戦交渉の行方について現時点での状況を示す。

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