レポート埼玉県・本社移転企業調査（2011年～2020年）

はじめに

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、企業にとって「オフィス」のあり方を再考させられる1年となった。テレワーク、Web会議など従業員が場所を選ばず働く基盤の整備が急ピッチで進んだ一方、大手企業を中心に東京都心のオフィス面積縮小や本社機能の地方移転といった動きが相次いだ。

帝国データバンク大宮支店では、2011年から2020年の10年間で都道府県をまたぐ本社所在地の移転（転入・転出）状況を、企業概要データベース「COSMOS2」（147万社収録）等から抽出。本社移転増減の都道府県別ランキングを作成し、あわせて埼玉県の転入・転出企業数の推移、およびその転入元や転出先、さらには業種、年商規模別の分析を行った。

■本分析に用いるデータは、帝国データバンク保有の企業概要ファイルCOSMOS2（2011年～2020年）をベースに、移転について確認できた年を企業移転（転入/転出）のタイミングとして扱っている。また、ここでいう本社所在地は、本社機能を有する事業所の場所を指し、商業登記の本店所在地と異なるケースもある

調査結果

1.   2011年から2020年の10年間に、他の都道府県から埼玉県へ転入した企業は2130社、埼玉県から他の都道府県に転出した企業は1548社判明。転入超過数は582社となり、全国トップを維持した
2.   各年でみると、転入超過数で最も多かったのは2011年の102社。最少は2015年の30社。近年はその数が減少傾向で推移するも2020年は増加に
3.   埼玉県へ転入した企業の転入元は東京都が1741社（構成比81.7％）で最多。転出先も東京都が1136社（同73.4％）で最多となった
4.   業種別にみると、埼玉県への転入企業で最も多かったのはサービス業で549社（構成比25.8％）。転出企業もサービス業が389社（同25.1％）で最多となった
5.   年商規模別では、埼玉県への転入企業の最多は「1億円未満」で971社（構成比45.6％）。転出企業も「1億円未満」が660社（同42.6％）で最多となった