はじめに
人手不足が深刻化し、企業にとって人材確保・定着は重要課題に浮上している。そのため、賃金をはじめとする労働条件の改善に積極的に取り組む企業が増加。今年6月に可決・成立した働き方改革関連法案に対しても、前向きに受け止める企業が少なくない。
先月、最低賃金が改定された。今年度の最低賃金の改定は、政府が「未来投資戦略2018」(成長戦略)や「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太の方針)などで年率3%を目処として、全国加重平均1000円を目指す中で、最低賃金が時給で決まるようになった2002年度以降の最高額を更新。そのため、収入増加による消費活性化などが期待される一方、人件費上昇による企業収益の悪化も懸念されている。
そこで帝国データバンクでは、最低賃金の引き上げに関する企業の見解について調査を実施した。本調査はTDB景気動向調査2018年9月調査とともに行っている。調査期間は9月13日~30日。調査対象は全国2万3101社、長野県523社で、有効回答企業数は全国9746社(回答率42.2%)、長野県233社(同44.6%)。なお、最低賃金に関する調査は、2007年10月、2016年9月に続き3回目となる。
調査結果
- 給与体系を「見直した(検討している)」企業が51.9%
最低賃金の改定を受け、自社の給与体系を「見直した(検討している)」県内企業は51.9%となり、「見直していない(検討していない)」の36.5%より15.4ポイント高くなった。 - 採用時最低時給の平均、改定後の最低賃金を102円上回る923円
従業員を採用する際の最も低い時給を尋ねたところ、県内の全業種平均は923円となった。主要業界別では900円台の業界が多い中、「小売」が861円と800円台にとどまった。採用時最低時給の平均923円は、改定後の最低賃金821円を102円上回っている。 - 最低賃金引き上げ額、「妥当」が半数を超える
今回の最低賃金の引き上げ額が、労働者やその家族が最低限度の生活を維持していくうえで「妥当」と思う企業は50.6%。「高い」は14.6%、「低い」は11.6%だった。 - 消費回復への効果については、懐疑的な企業が多数
最低賃金の引き上げにより、今後消費回復に効果が「ある」と考えている企業が8.6%にとどまったのに対し、「ない」は57.5%と懐疑的にとらえている企業が多いことがわかった。
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