レポート(長野県内)民事再生法の申請状況分析調査

県内の「民事再生法」申請件数、2016年度は0件 ~ 年度ベースで0件となったのは法施行後で初めて ~

はじめに

帝国データバンクが毎月発表している倒産集計の対象は法的整理による倒産である。すなわち、「破産」「特別清算」「民事再生法」「会社更生法」のいずれかを申請、あるいは手続き開始決定を受けたことが確認できたものをカウントしている。「破産」と「特別清算」は清算型、「民事再生法」と「会社更生法」は再建型と大きく区分されるが、この4つの中で圧倒的に多いのが清算型の「破産」。一方、2000年4月に施行された「民事再生法」は再建型手続きとして定着、2012年には県内における申請件数が累計で100件を突破した。

その「民事再生法」を申請し、適用を受けるケースがこのところ大幅に減少している。過去を振り返ると、年間10件を超えることもあったが、2010年度以降は10件未満の推移が続く。近年は金融機関や再生支援協議会が関与して事業再生スキームが構築され、事業を新会社に譲渡し、新会社のもとで再生を図り、旧会社は「特別清算」など清算型の手続きで処理するケースが増加。「事業再生を目指す手続き=民事再生法」との構図には変化も生じている。

今回、2000年度~2016年度の民事再生法の申請状況を振り返るとともに、近年の変化の背景を改めて分析してみた。

調査結果

  1. 昨年度は「破産」85件、「特別清算」5件、「民事再生法」「会社更生法」各0件
    2016年度における県内の倒産件数は90件。態様別では、「破産」が85件(構成比94.4%)で最も多く、「特別清算」が5件(同5.6%)、「民事再生法」と「会社更生法」はともに0件だった。県内では近年、「会社更生法」は該当がないが、「民事再生法」が0件となるのは同法が施行された2000年度以降で初めてである。
  2. 「民事再生法」の累計は111件、2010年以降は10件未満続く
    2000年度~2016年度における「民事再生法」の累計は111件。2009年度までは10件を超えることも珍しくなかったが、2010年度以降は10件未満にとどまっている。特に2014年度以降は、1件(2014年度)、2件(2015年度)、0件(2016年度)と極めて少ない。
  3. 減少の背景には倒産件数自体の減少や事業再生スキームの多様化も
    近年申請件数が減少している「民事再生法」。その背景には金融機関の支援などによる倒産件数自体の減少があるのに加え、事業再生スキームが多様化し、「民事再生法」によらない手続きが広がっていることも関係していると考えられる。
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