経営者の高齢化にともない、後継者不在による廃業の増加が大きな問題となっている。加えて、コロナ禍により社会や企業をとりまく状況も大きく変化しており、「事業承継」問題に対する危機感はさらに高まっている。そのような中で注目されているのが、M&A などを活用した「第三者承継」だ。2021年4月には中小企業庁が5カ年にわたる「中小M&A推進計画」を公表したことを皮切りに、中小・小規模事業者のM&A を支援する施策を相次いで強化している。ここでは、そうした事業承継M&A を取り巻く最新の状況と、それに対する国の施策について述べる。
1、事業承継2025年問題
-後継者不在企業127万社、GDP約22兆円を喪失か
経済産業省の推計によれば、2025年までに70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人に達すると予想されている。その際、約半数にあたる127万人は、後継者未定の状態と想定されている(図表1)。