レポート2014年12月の景気動向調査

冷え込みが増す中小企業、記録的大雪が追い打ち ~ 10地域中8地域が悪化、『北海道』では前年同月比で過去最大の下落 ~

2015/01/08

■調査結果のポイント

  1. 12月の景気DIは前月比0.5ポイント減の43.0となり、5カ月連続の悪化となった。大雪など悪天候に見舞われた地域も多かったほか、原油価格急落により燃料価格は低下したものの中小企業の収益にとって限定的な影響にとどまっている。国内景気は、中小企業の業績に厳しさが広がるなかで大雪が追い打ちをかけ、一段と悪化している。今後の国内景気は、景気対策による下支えが落ち込みを緩和するものの、下振れ材料は依然として残り、ほぼ横ばいで推移すると見込まれる。
  2. 業界別では『建設』『製造』『卸売』『運輸・倉庫』など10業界中6業界が悪化した。人手不足にともなう人件費上昇が引き続き業績を圧迫している。また、『運輸・倉庫』では、コスト上昇の運賃への転嫁が難しい小規模企業ほど収益環境の厳しさが増しており、景況感の悪化が顕著となっている。
  3. 地域別では、『北海道』や『中国』など10地域中8地域が悪化した。記録的な大雪に見舞われた地域では、建設業や運輸業などに大きな影響が表れた。特に『北海道』では、前年同月比で11.8ポイント減となり、過去最大の下落幅となった。

< 2014年12月の動向 : 国内景気は一段と悪化 >

2014年12月の景気DIは前月比0.5ポイント減の43.0となり5カ月連続で悪化した。

12月は、人件費上昇や円安による仕入価格高騰の継続などで企業の景況感が弱含んでいたなか、全国的に大雪や強風・高波などの悪天候に見舞われ、建設業や運輸業、北海道や東北、北陸などに大きな悪影響を及ぼした。特に、『運輸・倉庫』では、公共工事関連の物流量減少と相まって、体力の弱い小規模企業ほど収益環境の厳しさが増したこともあり景況感が悪化した。他方、原油価格は1バレル=53ドル(12月NY原油先物相場)と2013年8月(107ドル)から50%以上下落した。その結果、燃料価格は低下したものの依然として高水準にあり、中小企業の収益に対する影響は限定的だった。

国内景気は、中小企業の業績に厳しさが広がるなか、全国的な大雪が追い打ちをかけ、一段と悪化している。

< 今後の見通し :ほぼ横ばいで推移 >

総選挙の結果、今後もアベノミクスが継続されることとなった。2015年度には法人実効税率の引き下げや地方創生に向けた新制度の導入が見込まれる。さらに、2014年度補正予算が期待されるほか、原油価格の下落は徐々に企業のコスト負担を軽減させよう。しかしながら、今後も円安傾向は継続すると予想されており、原材料価格の上昇は依然として懸念材料である。また、人手不足にともなう人件費上昇や仕入価格上昇を転嫁できない企業も多く、中小企業を中心に収益環境は悪化していくとみられる。

今後は、景気対策による下支えが落ち込みを緩和するものの、原材料価格の高止まりや人件費上昇など下振れ材料は依然として残り、ほぼ横ばいで推移すると見込まれる。

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