■調査結果のポイント
- 9月の景気DIは前月比1.1ポイント減の45.1となり、2カ月連続で悪化した。『不動産』など一部の業界では改善傾向もみられたが、自動車関連で手持ちの受注残が減少するなかで、反動減の影響が生産減少や物流停滞につながりやすい状況となっている。国内景気は下押し圧力が続いており、政府の景気対策に依存する傾向が強まる懸念もある。今後の国内景気は、企業活動を抑制する悪材料も多く、政策効果は限定的にとどまると見込まれる。
- 業界別では『製造』『卸売』『運輸・倉庫』『小売』など10業界中8業界が悪化した。とりわけ『運輸・倉庫』は、人件費上昇や燃料価格の高止まりによる運送コストの上昇に加え、『製造』や『建設』の悪化を受けた物流量の減少も影響し、10業界中最大の悪化幅を記録した。
- 地域別では10地域中9地域が悪化した。アベノミクス効果で景気上昇が顕著だった地方圏でも悪化が続いている。また、『四国』では各県間で景況感に温度差が現れてきた。
< 2014年9月の動向 : 国内景気は弱含み >
景気DIは、前月比1.1ポイント減の45.1となり2カ月連続で悪化した。
9月は、為替レートが約6年ぶりの円安水準となり、原材料価格高騰などを通じた収益悪化の要因となった。『製造』では、消費税率引き上げ後も駆け込み需要による受注残が消化されてきた自動車関連が、ここにきて息切れ。生産量の減少が顕著に現れた。また、『運輸・倉庫』では製造業の減産や建設業界での工事遅れや入札不調などの影響を受け悪化した。実質所得の減少に対する家計の支出抑制もあり、『小売』は2カ月ぶりに悪化した。地域別では、地方圏でアベノミクスによる上昇が目立っていたが、同一域内で景況感が二分する状況が出てきた。
国内景気は、手持ちの受注残が減少するなかで、反動減の影響が生産減少や物流停滞につながりやすい状況となっており、景気の下押し圧力が続いている。
< 今後の見通し : 政策頼みも効果は限定的 >
消費税率10%への引き上げは12月8日に公表される7~9月期GDP二次速報を受けて、判断されるとみられる。消費税率引き上げが決まった場合、経済対策として2014年度補正予算の策定と2015年度予算の前倒し執行が予想される。しかし、実質所得の低下による個人消費の冷え込みが深刻化し、今後の景気動向に大きな懸念材料として残る。また、一段の円安進行は原材料・エネルギー価格の上昇を通じて、企業活動を停滞させる要因になる。
今後の国内景気は、景気対策頼みの状況が強まるが、原材料価格上昇や人手不足など企業活動を抑制する悪材料も多く、その効果は限定的にとどまるとみられる。
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