脱・属国
2006年2月の景気DIは46.9と横ばいとなったが、景況感の停滞は、業界・業種間で景況感格差の拡大ということが背景にある。そのなかでも今後の動向に目が離せないのが通信関連業界だ。2005年2月から2006年2月まで継続的に景気DIが50以上で推移しているのは、サービス15業種中「電気通信」、「情報サービス」、「人材派遣・紹介」の3業種のみで、全51業種でも、これに「機械製造」、「輸送用機械・器具製造」、「再生資源卸」を加えた6業種しかない。
「通信インフラ整備の進行で企業のIT化工事が増加」(電気通信工事)、「2010年にかけて通信業界は光回線3,000万を目標にした大きな工事が期待できる」(産業用機械卸)という声にあるように、NTTは、2010年までに国内の固定電話加入者の半分にあたる3,000万世帯・事業所の通信回線網を光ファイバーに切り替えを進めている。
総投資額は5兆円規模で、現在、通信工事業界に継続的な需要を生み出しているが、同時に、ブロードバンド化の進展で、デジタル家電、情報家電にも買い替え需要による新たな需要も期待できる。
このほかにも、通信業界では、2006年11月の番号ポータビリティ制度に向けて、携帯各社による顧客囲い込みのための、価格競争、サービス競争を交えた販売競争が進む。
3月6日にソフトバンクグループによるボーダフォン日本法人への買収の動きが報道されたが、移動体通信への新規参入組みであるソフトバンクが、キャリアの一角を担うことは、今後の業界勢力図にも変化が生まれる可能性がある。
ソフトバンクグループが今後どういった戦略を打ち出すのかに焦点が集まる。FMC(固定と携帯通信の融合)サービスも広がりを見せるであろうし、昨年、世の中をにぎわした放送と通信の融合の動きも加速化しそうだ。
電話・放送・データ通信のトリプルプレイを低価格で安定的に実行できるかが、今後の生き残りの大きな要素となる。その過程では、同業界の周辺では、大きな需要が見込めそうだ。
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