~従業員の心身の健康が企業の成長に不可欠な要素に~
2020年以降、新型コロナの感染拡大長期化により、働き方や生活様式は大きく変化した。さらには世界的な環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりから、社会経済や価値観は変容しつつあり、企業にはこれまでにない新しいチャレンジが求められている。
少子高齢化が顕著な日本においては、人口減少を前提としたうえで、生産性向上や企業の成長・価値向上を実現しなければならない。
そこで注目されるのが人材を資本として考える「人的資本経営」で、その一環として「健康経営」に取り組む機運が高まっている。
1.政策の追い風を受け「健康経営」普及への環境整備進む
「健康経営」とは、「従業員等の健康保持・増進の取り組みが、将来的に収益性を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」と定義される。健康経営の促進により、従業員の活力向上や生産性向上など組織自体の活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上につながることが期待されている。
日本においては、2014年前後から政策面での取り組みが本格化してきた(図表1)。