レポート中国地方 企業の想定為替レートに関する動向調査

はじめに

海外情勢の変化により為替レートが変動するなか、かつて「有事」となればドル買いがセオリーだったが、近年では「有事の円買い」によって円高に進むケースも増えてきた。また、企業が予め想定した名目為替レートと、実際の名目為替レートに大きな差異が生じた場合には、企業業績を大きく左右することとなる。とりわけ、中小企業の想定為替レートは企業の与信にも影響を与える。

そこで、帝国データバンク広島支店では企業の想定為替レートについて調査を実施・分析した。調査期間は2017年4月17日～30日、調査対象は中国地方に本社を置く企業1247社で、有効回答企業数は550社（回答率44.1％）。なお、分析対象は想定為替レートがある企業144社。

調査結果

1. 中国地方の企業の2017年4月時点の想定為替レートは、平均1ドル＝109.78円。「106～110円」を想定する企業が43.8％で最多
2. 業種別、『小売』が108.33円、『製造』が109.15円を想定している一方で、『建設』（111.50円）、『卸売』（110.17円）、『運輸・倉庫』（110.00円）の3業界は110円以上を想定
3. 間接または直接に「輸出」を行っている企業は108.72円、うち「直接輸出のみ」の企業は108.75円を想定。一方、間接または直接に「輸入」を行っている企業は110.47円、うち「直接輸入のみ」の企業は115.75円を想定
4. 規模別、「大企業」が110.90円、「中小企業」が109.48円、「小規模企業」が108.65円で、規模が小さくなるほど円高水準を想定