レポート

中小企業の事業承継で、第三者承継(M&A)の増加傾向続く

~事業承継・引継ぎ支援センター、2024年度の第三者承継成約件数が過去最高に~

■SUMMARY

中小企業の事業承継を巡る環境は、2024年度においても一段と切迫度を増している。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)によれば、全国47都道府県に設置されている「事業承継・引継ぎ支援センター」への2024年度の相談件数は2万3,540件となり、前年度比では0.8%減少したものの、2年連続で2万3,000件超の高水準を維持した。

前身組織を含めた累計相談件数は15万655件に達しており、事業承継に関する公的相談ニーズが着実に積み上がってきたことがうかがえる。

とりわけ特徴的なのは、第三者承継、すなわちM&Aに関する相談の増加である。2024年度の第三者承継の相談件数は1万6,045件と、全体の約7割を占め、成約件数も2,132件と過去最高を更新した。

売上規模別にみると、成約した譲渡企業の68%が年商1億円以下であり、事業承継問題が中小企業や小規模事業者に広く及んでいる実態が数字として明確に表れている。黒字であっても後継者不在を理由に廃業や第三者承継を検討せざるを得ない企業が過半を占めている点は、地域経済や雇用維持の観点からも看過できない状況である。

このレポートでは、2024年度の実績データを基に、「事業承継・引継ぎ支援センター」への相談件数2万3,540件、第三者承継相談1万6,045件、成約件数2,132件といった具体的な数字を整理しながら、日本における事業承継の現状を明らかにする。

あわせて、業種別・規模別の成約動向や、地方における典型的な承継事例を紹介し、なぜ第三者承継が事業承継の主要な選択肢となりつつあるのかを確認する。さらに、後継者人材バンクの2024年度成約件数106件といった新たな担い手確保の動きや、公的支援機関と民間支援事業者の連携状況、政府が打ち出した新たな施策パッケージの方向性についても触れ、数字から見える事業承継支援の広がりと課題を多角的に整理する。

TDB REPORT ONLINEへ