レポート

TDB景気動向調査2026年10月(東北ブロック:青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)

■東北ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.3

-0.2

5カ月ぶりの悪化

・概況

景気DI(41.3)は5カ月ぶりに悪化となった。6業界が改善となった前月から一転して7業界で悪化したことが響いた。一方、『製造』は6カ月連続で改善し、コロナ禍以降で最も高い水準となるなど、業界によって好不調が分かれている。北東北3県の地銀が経営統合に向けた協議開始を発表したことから、金利だけでなく企業を取り巻く金融環境の変化には注目が必要となるだろう。10月から最低賃金が引き上げられたなか、物価高、原材料のコスト高が継続している。企業の負担感は増しており、景気動向は一進一退で推移すると見込まれる。

・景気DI

景気DI(41.3)は前月比0.2ポイント減で5カ月ぶりに悪化となった。『全国』(45.0)との格差は3.7で同0.6ポイント拡大した。県別では、「改善」3県(「青森」「宮城」「山形」)、悪化3県(「岩手」「秋田」「福島」)となった。

・規模別DI

「大企業」(44.5)が前月比1.7ポイント増、「中小企業」(41.0)が同0.4ポイント減となった。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は3.5となり、同2.1ポイント拡大した。

・業界別DI

改善が『農・林・水産』『製造』『運輸・倉庫』の3業界、悪化が『金融』『不動産』『サービス』などの7業界となった。『その他』を除く9業界では『サービス』(44.3)が最も高く、『小売』(35.6)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.2(当月比0.9ポイント増)、「6カ月後」は42.3(同1.0ポイント増)、「1年後」は42.8(同1.5ポイント増)となった。前月との比較ではすべての指標で悪化した。

■青森県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.6

0.2

5カ月連続改善

・概況

「青森」の景気DIは44.6と前月の44.4から0.2ポイント改善され、5カ月連続での改善となった。米軍基地関連や原燃施設関連で改善傾向にあった『建設』が一服感により悪化したものの、収穫時期を迎えた『農・林・水産』のほか、観光シーズンの到来により観光業向けの「飲食料品卸売」が全体を押し上げた。全体としては、物価高や最低賃金の高まりなど、依然としてコスト上昇圧力が強まるなか、今後もしばらくは一進一退の足踏み状態が続く可能性が高い。

・景気DI

景気DIは44.6となり、0.2ポイント改善した。都道府県別順位は16位と前月の13位からダウンしたが、引き続き東北6県の中ではトップ。『卸売』や『小売』などが全体を押し上げた。

・規模別DI

規模別では、「大企業」が45.8と前月の50.0から4.2ポイント悪化したが、「中小企業」は44.4と同0.5ポイント改善、また「小規模企業」についても46.4と同5.8ポイント改善した。

・業界別DI

業界別では、改善傾向にあった『建設』が悪化へ転じた一方、収穫期を迎えた『農・林・水産』が改善傾向を示したほか、「奥入瀬渓流」をはじめ行楽シーズンを迎え、観光業向けの「飲食料品卸売」も改善され、全体を押し上げた。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」「6カ月後」「1年後」のいずれも前月から悪化しており、物価高の影響を受けて見通しが悪化傾向へ転じた。業界別では、『製造』が全体を押し上げる構図となった。

■岩手県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.8

-1.1

2カ月ぶりの悪化

・概況

景気DIは2カ月ぶりに悪化し、3カ月連続で40に及ばず、都道府県順位は全国45位に低下した。「大企業」は判断の分かれ目となる50を2カ月ぶりに回復したが、「中小企業」は25カ月連続で40を下回った。業界別では『卸売』『小売』『サービス』などが悪化し、先行き見通しはブロック最低となった。物価高や金利上昇の影響に留意が必要であり、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比1.1ポイント減の38.8となり、2カ月ぶりに悪化した。2026年7月調査では2025年8月以来の40超えとなったが、その後は3カ月連続で40を下回っている。都道府県順位は前月の43位から低下し45位となった(前年同月も全国43位)。

・規模別DI

「大企業」は前月比10.8ポイント増の53.7と回復し、2カ月ぶりに判断の分かれ目となる50を上回った。「中小企業」は同2.4ポイント減の37.3にとどまり、25カ月連続で40を下回った。「大企業」と「中小企業」の格差(大企業-中小企業)は16.4となった(前月は3.2)。

・業界別DI

『建設』は5カ月連続で40以上となったほか、『製造』は2カ月ぶりに40を超えた。一方で、『卸売』は35.2、『小売』は26.5、『サービス』は42.7と、いずれも前月より悪化した。特に、『小売』は2026年に入ってからの調査で8回目の30台割れとなった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が39.5、「6カ月後」が38.8、「1年後」が39.9と、全指標で前月より悪化した。いずれもブロック内で最低にとどまり、40を下回るのは「岩手」のみで、先行き見通しについての慎重姿勢が続いている。

■宮城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.8

1.2

5カ月連続の改善

・概況

景気DI(40.8)は前月比1.2ポイント増と5カ月連続で改善し、22カ月ぶりに40台となった。業界別では6業界で改善がみられる一方、米価の下落を背景に『農・林・水産』は3カ月連続で大幅な下落が続いている。全国的にサイバー攻撃や不正アクセスが問題化、大企業に限らず中小企業にとっても新たな経営リスクとなっている。最低賃金の引き上げに伴う人件費の負担増や灯油なども含めた燃料費の高騰など、企業を取り巻く環境の厳しさは継続していることから、今後も景気動向は一進一退で推移するとみられる。

・景気DI

景気DIは前月比1.2ポイント増の40.8となり、5カ月連続で改善し、2024年12月以来、22カ月ぶりに40台となった。『全国』(45.0)との比較では4.2ポイント下回ったが、格差は前月から0.8ポイント縮小した。都道府県別順位は44位から41位へ改善した。

・規模別DI

「大企業」(42.4)が前月比1.4ポイント増、「中小企業」(40.6)が同1.1ポイント増となった。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は1.8で同0.3ポイント拡大した。

・業界別DI

改善は『運輸・倉庫』『建設』『製造』などの6業界、悪化は『農・林・水産』『小売』などの3業界、横ばいは『金融』の1業界となった。『その他』を除く9業界では『金融』『運輸・倉庫』(各50.0)が最も高く、『農・林・水産』(27.8)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.2(当月比1.4ポイント増)、「6カ月後」は42.5(同1.7ポイント増)、「1年後」は43.4(同2.6ポイント増)となった。前月との比較では全ての指標で改善した。

■秋田県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.0

-2.2

3カ月ぶりに悪化

・概況

景気DIについては、『東北』が前月比0.2ポイント悪化し、『全国』は0.4ポイント改善した。『東北』では「青森」、「宮城」、「山形」の3県が改善、本県と「福島」、「岩手」の3県が悪化した。前月に引き続き半導体や機械製造などで受注環境が好転し、人手不足に苦慮する企業がみられる。一方で、米価下落による農家の所得減少や物価高による購買意欲の低下で個人消費は伸び悩みをみせている。加えて、公共工事の発注減で受注が低調な建設業者もいるなど、今後も景気は足踏み状態が続くものとみられる。

・景気DI

「秋田」の景気DIは41.0となり、9月から2.2ポイントダウンして3カ月ぶりに悪化した。『東北』6県では前月の第2位から第3位に順位を下げ、『東北』(41.3)を0.3ポイント下回った。また、都道府県別順位も前月の第25位から第39位へダウンし、『全国』(45.0)を4.0ポイント下回った。

・規模別DI

規模別では、「大企業」(45.8)は前月比1.4ポイント増加した一方、「中小企業」(40.5)は同2.7ポイント悪化した。また、「中小企業」のうち「小規模企業」(32.1)は同1.2ポイントダウンした。この結果、「大企業」と「中小企業」の格差は拡大した。

・業界別DI

業界別では、『卸売』の1業界が前月比で改善したが、『運輸・倉庫』『その他』の2業界は横ばい、『不動産』『農・林・水産』『製造』『小売』『建設』『サービス』の6業界は悪化した。なかでも『建設』(30.3)は4.7ポイント悪化した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」が42.0、「6カ月後」が42.5、「1年後」が42.3と引き続き低位で推移するという見方で、物価高をはじめ、複数要因から今後も厳しい状況を予想する声が多い。

■山形県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.5

0.5

2カ月ぶりに改善

・概況

「購入点数は減少も売り上げは昨年を上回っている」(小売、中小企業)、「医療業界は景気に左右されにくい」(小売、小規模企業)、「イベント・建築工事の増加による受注獲得」(サービス、小規模企業)など、業界によっては前向きなコメントが増えている。一方で、「人口減少、物価高」(不動産、小規模企業)と、社会全体的な課題を背景とした厳しい声や、「大手企業の進出による地元商店街への悪影響がみられるほか、地元工務店や建設会社の倒産、廃業」(卸売、中小企業)など、地域を支えてきた企業の厳しい見通しも根強く、今後の情勢を見極める必要性があろう。

・景気DI

「山形」の景気DIは前月比0.5ポイント増の43.5となり2カ月ぶりに改善した。『全国』のDIは同0.4ポイント増の45.0となり、『東北』は5カ月ぶりに同0.2ポイント減の41.3となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.2ポイント増の42.6となり3カ月連続で改善した。「中小企業」は同0.5ポイント増の43.6、うち「小規模企業」は同1.2ポイント増の40.1と、いずれも2カ月ぶりに改善を示した。

・業界別DI

業界別DIは比較可能な9業界のうち『金融』『建設』『卸売』は前月比横ばいとなった。改善したのは『農・林・水産』『小売』『運輸・倉庫』で、『小売』は3カ月連続の改善。悪化したのは『不動産』『製造』『サービス』の3業界で、『製造』は5カ月ぶりに悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比2.1ポイント減の43.1、「6カ月後」は同1.0ポイント減の43.4、「1年後」の見通しについても同0.6ポイント減の44.6と、すべて前月比悪化した。「3カ月後」「6カ月後」は6カ月ぶりに悪化した。

■福島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.0

-1.3

4カ月ぶりに悪化

・概況

6業界が悪化したことを受け、「福島」の景気DIは40.0となり、前月比で1.3ポイント低下した。「注文が多く全てに応えきれない状況」(製造)という声がある一方で、「公共工事の予算が減少している」(建設)という声や「輸送品が少なく、輸送単価も低下している」(運輸・倉庫)という声も寄せられ、業種間で景況感にばらつきがみられるものの、全体としては慎重な見方が強まっている。

・景気DI

「福島」の景気DIは、3カ月連続で40台で推移したものの、40.0と9月を1.3ポイント下回り、4カ月ぶりに悪化した。『全国』の景気DIは、45.0と9月を0.4ポイント上回った。『東北』では、41.3と9月を0.2ポイント下回り「青森」「宮城」「山形」を除く3県(岩手、秋田、福島)で悪化した。

・規模別DI

「大企業」(40.9)は前月比0.8ポイント低下、「中小企業」(39.9)は同1.3ポイント低下、「小規模企業」(35.9)は同1.1ポイント低下した。格差(大企業-中小企業)は1.0に拡大し、8カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

『農・林・水産』『不動産』『製造』は改善したが、『金融』『小売』『サービス』『卸売』『建設』『運輸・倉庫』は悪化した。『製造』は前月比5.0ポイント上昇し、4カ月連続の改善となったほか、『不動産』も2カ月連続で改善したが、『建設』は3カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「1年後」の先行き見通しDIは6業界が当月からの改善を見込んでいる。なかでも『運輸・倉庫』は当月(38.9)から11.1ポイント、『卸売』『小売』『建設』なども改善を見込んでいる。「福島」全体では当月(40.0)から2.0ポイントの改善を見込んでいる。

「東北ブロック(2026年10月)」の詳細(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)