レポート

TDB景気動向調査2026年10月(南関東ブロック:埼玉・千葉・東京・神奈川)

■南関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.7

0.4

2カ月ぶりに改善

・概況

『南関東』の景気DIは2カ月ぶりの改善となり、全国順位でも20カ月連続でトップを維持した。「中小企業」の改善により規模間格差が縮小したほか、3カ月連続で50を超えた『建設』(50.9)や金利上昇で収益改善が見込まれる『金融』(50.6)などが牽引。6カ月連続での改善となった『卸売』(44.8)による底上げも見られる。総じて事業環境の改善が見られるものの、コスト上昇が進む中で価格転嫁は綱渡りが続き、業種間の格差も大きくなっている。

・景気DI

『南関東』の景気DIは前月比0.4ポイント増の47.7となり、2カ月ぶりに改善した。ブロック別の全国順位では20カ月連続でトップを維持した。都県別では、1都3県すべてで改善し、「埼玉」(同1.4ポイント増)、「神奈川」(同0.6ポイント増)の改善が目立った。

・規模別DI

3つの区分すべてで改善した。「中小企業」(前月比0.5ポイント増)と「小規模企業」(同0.6ポイント増)が2カ月ぶりに改善したほか、「大企業」は同0.1ポイント増と3カ月連続で改善した。この結果、中小企業の改善によって規模間格差は4.2と前月から0.3ポイント縮小した。

・業界別DI

全10業界中、6業界が改善、3業界が悪化、1業界が横ばいとなった。『金融』『建設』『サービス』での改善が目立ったほか、『卸売』は6カ月連続の改善となった。一方、コスト上昇を吸収できない状況が続く『農・林・水産』『運輸・倉庫』や金利上昇などにより市況全体の頭打ち感が見られる『不動産』が悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は48.6(前月48.6)で横ばい、「6カ月後」は48.0(同48.2)と悪化した一方、「1年後」は47.9(同47.7)と改善した。前月からの変動はいずれも小さく、全体として方向感に乏しい結果となった。

■埼玉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

46.8

1.4

4カ月連続の改善

・概況

埼玉県の景気DIは前月比1.4ポイント増の46.8となり、4カ月連続で改善した。物価高や金利上昇を懸念する声は依然として多くの業界から挙がっているが、「夏場はレジャー客の動きが鈍かったが、秋に入り、回復傾向にある」(サービス)、「輸出梱包材の受注が堅調」(製造)など一部業界からは前向きな声が聞かれる。一方で、「サイバー攻撃でサイトが閲覧できなくなり、問い合わせが減少した」(小売)など多発する不正アクセスによる影響も不安視される状況だが、全体の現況と見通しはやや持ち直しの傾向がみられる。

・景気DI

景気DIは前月比1.4ポイント増の46.8となり、4カ月連続で改善した。2026年で最も高かった前月を上回り、改善幅は管内で最も大きくなった。全国順位は7位で前月(10位)から3ランクアップ。全国、『南関東』はともに前月比0.4ポイント改善し、それぞれ45.0、47.7となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.0ポイント増の48.6、「中小企業」は同1.3ポイント増の46.5、「小規模企業」は同1.7ポイント増の46.8となり、すべての規模で改善。「中小企業」は4カ月連続の改善となった。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は2.1ポイントとなり、前月から0.7ポイント拡大した。

・業界別DI

9業界中、5業界が改善。『製造』が前月比3.0ポイント増の47.5となり、2026年で最も高くなった。『運輸・倉庫』も同3.0ポイント増の45.5で、『サービス』は3カ月連続で改善した。一方で、3業界が悪化。『建設』の悪化幅が最も大きく、同1.6ポイント減の50.3となった。『不動産』は横ばいだった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」46.7(前月46.1)、「6カ月後」46.4(同45.9)、「1年後」47.9(同46.3)となった。「3カ月後」と「6カ月後」は管内平均を1ポイント以上下回っている。業界別では『建設』が3指標すべてで50を超え、『金融』、『サービス』は3指標すべてが10月のDIを下回っている。

■千葉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.4

0.4

2カ月ぶりに改善

・概況

「千葉」の景気DIは45.4となり、前月比0.4ポイント増加した。企業からは「メンテナンス事業の引き合いが堅調」(建設)、「半導体関連業界との取引が多く、先行きも期待できる」(運輸・倉庫)などの声が聞かれた一方、「金利上昇により、買い手への金融機関の融資が伸びない」(不動産)、「農産物の減産や水産物の不漁で原料供給が不安定」(食料品卸)などの声も聞かれた。先行きについては、物価高や金利の上昇、生活防衛意識の高まりによる消費停滞などの懸念が残り、当面は一進一退の展開が予想される。

・景気DI

「千葉」の景気DIは45.4となり、前月比0.4ポイント増加し、2カ月ぶりに改善した。全国は同0.4ポイント増の45.0となり、「千葉」は全国を0.4ポイント上回った。全国順位は前月と同様の12位となった。

・規模別DI

「大企業」は49.6で前月比1.9ポイント増加し、3カ月連続で改善。一方で、「中小企業」は同0.1ポイント増の44.8となった。これにより、規模間格差は4.8ポイント(前月3.0ポイント)へと拡大した。

・業界別DI

『農・林・水産』『不動産』『製造』『卸売』『サービス』の5業界は前月比悪化した一方で、『金融』『建設』『小売』『運輸・倉庫』の4業界は改善した。『製造』は5カ月ぶりに悪化、『小売』は2カ月連続で改善したものの依然として30台にとどまり、9業界の中で最も低い水準にとどまっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は47.3(前月47.0)、「6カ月後」は46.6(同46.6)、「1年後」は47.1(同46.9)となり、「3カ月後」「1年後」は前月比改善、「6カ月後」は横ばいとなった。ただ前月同様、3指標のうち「3カ月後」が最も高く、「6カ月後」「1年後」はそれを下回り、不透明感が残る。

■東京都

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

48.0

0.1

2カ月ぶりに改善

・概況

「東京」の景気DIは48.0と前月から0.1ポイント改善した。企業からは「AIサーバーを軸に、半導体産業が好調」(卸売)や「秋の観光シーズンでインバウンドが好調なため」(サービス)といった声が聞かれた。一方で、『運輸・倉庫』では、慢性的な人手不足に加え、原油高にともなうコスト負担が引き続き収益を圧迫しているという見方もあった。AI関連や観光需要を背景に、一部業界では事業環境の改善がみられるものの、先行き見通しは2カ月連続で悪化しており、当面は一進一退で推移するとみられる。

・景気DI

「東京」の景気DIは48.0(前月47.9)と前月比0.1ポイント増となり、2カ月ぶりに改善した。都道府県別では前月(5位)と横ばいだったものの、6位との差は前月の1.2ポイントから0.2ポイントに縮小し、下位との差が急速に縮まった。

・規模別DI

「大企業」は51.5(前月比0.2ポイント増)、「中小企業」は47.0(同0.1ポイント増)、「小規模企業」は46.0(同0.9ポイント増)と、全規模で悪化した前月から一転し、そろって改善した。なお、規模間格差は4.5ポイントと2カ月連続で拡大した。

・業界別DI

全10業界中、5業界で悪化、4業界で改善し、1業界は横ばいだった。観光需要などが下支えした『サービス』(49.6)や、AI・データセンター関連を中心に取引が拡大した『卸売』(45.6)は前月から改善した。一方で、『運輸・倉庫』(46.3)は前月から2.8ポイント悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は48.9(前月49.0)、「6カ月後」は48.4(前月48.6)、「1年後」は47.9(前月48.0)といずれも2カ月連続で悪化した。業界別では『金融』『建設』など3業界が3指標すべてで改善する一方、『小売』『運輸・倉庫』ではいずれも悪化した。

■神奈川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

48.8

0.6

5カ月連続の前月比改善

・概況

「神奈川」のDIは5カ月連続の前月比改善となった。「半導体関連及び装置メーカー向けも好調で、設備投資が意欲的」(機械製造)など、成長分野が景況感を下支えしている。一方で、「人件費の高騰、人手不足、物価の高騰で建築プロジェクトの延期や凍結が多い」(建設)、「物件価格を下げないと売れにくくなってきている」(不動産)など、構造的な課題に対する懸念も根強い。業界間・企業間で温度差もみられるなか、成長分野が県内景況感をどこまで下支えできるかが引き続き焦点となりそうだ。

・景気DI

「神奈川」の景気DIは48.8と前月(48.2)から0.6ポイント上昇し、5カ月連続の前月比改善となった。今年も前年同様、年後半に向けて持ち直し傾向が続いている。全国順位は4位で、前月(4位)から横ばい。DIは全国(45.0)を3.8ポイント上回った。

・規模別DI

「大企業」は52.2(前月比2.4ポイント減)と悪化したのに対し、「中小企業」は48.4(同0.9ポイント増)、「小規模企業」は45.7(同0.2ポイント増)と改善した。「中小企業」「小規模企業」はそれぞれ今年の最高値を更新し、「大企業」と「中小企業」の格差は3.8ポイントと前月から縮小した。

・業界別DI

9業界中、6業界で前月比改善となった。『金融』『建設』『製造』は3カ月連続で50.0以上となり、『製造』『運輸・倉庫』は5カ月連続、『卸売』『サービス』は3カ月連続の改善となった。一方、『不動産』は3カ月連続の悪化。『小売』は2カ月連続の改善となったが、依然として低水準にとどまっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は49.6(前月49.8)、「6カ月後」は48.8(同49.3)と悪化したのに対し、「1年後」は48.3(同47.9)と改善した。『金融』『製造』は3指標すべてで50.0を上回った。全体として先へ行くほど慎重な見方となっているが、飲食料品の消費税率引き下げの期待もあってか『小売』は改善見通しとなっている。

「南関東ブロック(2026年10月)」の詳細(埼玉・千葉・東京・神奈川)