レポート

TDB景気動向調査2026年10月(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)

■九州ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.7

1.1

2カ月連続で改善

・概況

『九州』の景気DIは、45.7と2カ月連続で改善した。企業からは「地震後の影響で特需が発生している」(熊本県、その他サービス)などの声が聞かれる。DI50台は、県別での「沖縄」のみ。物価高、金利上昇などの懸念材料もあるが、インバウンド需要などは比較的堅調を維持しているほか、「九州ふっこう応援割」も好調なことから、当面、緩やかな上昇が見込まれる。

・景気DI

『九州』(45.7、前月比1.1ポイント増)は2カ月連続で改善した。10業界中8業界、8県中5県で改善。『九州』8県中10位以内は4県。先行き見通しDIは「3カ月後」が横ばい、「6カ月後」「1年後」は3カ月ぶりに悪化した。ブロック別では2カ月連続で全国2位。

・規模別DI

「大企業」(49.3、前月比1.9ポイント減)は5カ月ぶりに悪化、「中小企業」(45.3、同1.6ポイント増)は2カ月連続で改善。43カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。「小規模企業」は42.8(同0.6ポイント増)と2カ月連続で改善。

・業界別DI

『農・林・水産』(38.6、前月比0.7ポイント減)、『小売』(40.2、同2.2ポイント減)と10業界中2業界で悪化したものの、『運輸・倉庫』(44.7、同5.9ポイント増)、『不動産』(43.2、同1.9ポイント増)、『サービス』(49.3、同1.8ポイント増)など8業界で改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(47.4)は横ばい。「6カ月後」(46.9、同0.8ポイント減)、「1年後」(46.9、同0.6ポイント減)は3カ月ぶりに悪化した。業界別では、『不動産』など3業界で全指標悪化したものの、『製造』など2業界で全指標が改善した。

■福岡県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.8

1.6

2カ月連続の改善

・概況

「福岡」の景気DIは、物価高による先行きへの不透明感が続くなか、堅調なインバウンド需要等が下支えとなり、景況感は2カ月連続で改善した。企業からは「最低賃金の上昇と労務費を発注者に転嫁するのが問題」(製造)などのコメントがある一方で、「熊本震災復旧や物流倉庫の増加により、受注が増えた」(建設)などの声があった。物価上昇や人手不足の深刻化が地域経済への懸念材料だが、再開発など建設需要の増加を背景に好調を維持する業界もみられる。このため、今後の景気DIは強弱が入り交じりながら一進一退となろう。

・景気DI

「福岡」(47.8、前月比1.6ポイント増)は、2カ月連続の改善。業界別では、『金融』『建設』『小売』で悪化。『農・林・水産』『不動産』など6業界で改善。『その他』は横ばい。都道府県別順位は6位で前月(7位)より上昇。『九州』8県での順位は2位(前月3位)。

・規模別DI

「大企業」52.1(前月比0.7ポイント減)は7カ月ぶりの悪化、「中小企業」47.0(同2.2ポイント増)、「小規模企業」46.9(同2.0ポイント増)はいずれも2カ月連続の改善。規模間格差は「大企業」が「中小企業」を5.1ポイント上回った。

・業界別DI

『金融』(44.4、前月比5.6ポイント減)、『建設』(49.8、同0.7ポイント減)、『小売』(38.4、同1.1ポイント減)で悪化。『農・林・水産』(55.6、同13.9ポイント増)、『不動産』(51.8、同3.7ポイント増)など6業界で改善。『その他』(50.0)は横ばい。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(49.0、前月比0.4ポイント増)は6カ月連続で改善、「6カ月後」(48.6、同0.7ポイント減)は6カ月ぶり、「1年後」(48.5、同0.7ポイント減)は、2カ月ぶりの悪化。『農・林・水産』『製造』は3指標ですべて改善。『卸売』『小売』『運輸・倉庫』はすべて悪化した。

■佐賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.6

2.0

緩やかな改善基調

・概況

「佐賀」の景気DIは前月より2.0ポイント改善し45.6となった。2026年でみると最高値となったほか、4月の41.0を底に緩やかな改善基調で推移している。業界別では『製造』が5カ月連続で改善したが、『建設』の浮き沈みや『卸売』『小売』の低調推移がみられる。長らく好調に推移してきた『運輸・倉庫』が2カ月連続で悪化している点は懸念される。軒並み人件費や物価、金利上昇と経営への影響は垣間見られ、「佐賀」の景気の行方が注目される。

・景気DI

「佐賀」の景気DIは45.6と前月より2.0ポイント改善した。9月こそダウンしたものの、4月以降緩やかな改善傾向で推移し、2026年で最高値となった。ともに改善した『全国』および『九州』より「佐賀」の改善幅が大きく、都道府県別順位は前月の20位から10位に上昇した。

・規模別DI

「大企業」「中小企業」で前月より改善した。「大企業」が前月比3.6ポイントと大幅に上昇し48.6と牽引し、「中小企業」は44.9と同1.6ポイント上昇。「小規模企業」は横ばいとなり、規模間格差は前月より2.0ポイント拡大し3.7となった。

・業界別DI

『建設』は年度末に向けた公共工事の発注が増え大きく改善した。付随する資材の動きに加え、半導体や造船関係向けの動きも良く、『卸売』も大幅に上昇した。一方、『小売』『サービス』の厳しさが続いていることに加え、『運輸・倉庫』が2カ月連続で悪化し、人手不足と物価上昇の影響が顕著に見受けられる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は47.3(前月48.2)、「6カ月後」は48.4(同48.8)と前月より悪化したものの、「1年後」は47.0(同46.4)と上昇した。業界によって先行きの見通しの差がみられるほか、規模別では大企業ほど1年後の厳しさを懸念しており、楽観視はできない状況となっている。

■長崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.8

-0.5

2カ月ぶりに悪化

・概況

「長崎」の景気DIは前月比0.5ポイント減の41.8となり、2カ月ぶりに悪化した。「引き続き造船業や半導体は好調だ」(製造・卸売)という声が聞かれたが、他方で「真の部分が伴っていないと感じる」(製造)との見方もあった。物価上昇にともなう価格転嫁に対して得意先がついていけない状況を懸念する声もあるが、「9月頃から少しずつ回復の兆しがみられる」(卸売)との声もみられるように、「長崎」の景況は今後も一進一退を繰り返しながら緩やかな回復基調を辿ることが見込まれる。

・景気DI

「長崎」の景気DIは前月比0.5ポイント減の41.8となり、2カ月ぶりに悪化した。『九州』8県中5県が改善したが、九州ブロック内順位は前月と同じ7位となった。都道府県別順位は前月から3つ下がって35位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.9ポイント減の39.4、「中小企業」は同0.2ポイント減の42.0、「中小企業」のうち「小規模企業」は同0.7ポイント減の41.2と全ての規模で悪化した。「大企業」の悪化幅が「中小企業」を上回ったことから、規模間格差は逆転して▲2.6となった。

・業界別DI

前月から改善した業界は『建設』『卸売』『小売』の3業界となった。悪化した業界は『金融』『不動産』『製造』『運輸・倉庫』『サービス』の5業界となった。中でも『金融』『製造』が大幅に悪化しているのが目立ち、建設業が少しずつ回復傾向にある。『農・林・水産』は前月比横ばいであった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」43.8(前月比1.1ポイント減)、「6カ月後」43.4(同1.7ポイント減)、1年後43.4(同2.0ポイント減)とすべての項目で前月より悪化した。業界別にみると『卸売』『小売』が先へ行くほど改善の見通しとなり、『農・林・水産』『運輸・倉庫』は先へ行くほど悪化の見通しとなっている。

■熊本県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.8

2.6

半導体関連需要堅調も景気は一進一退

・概況

「熊本」の景気DIは前月比2.6ポイント増の45.8となり、2カ月連続で改善した。「公共工事の発注が好調で半導体関連工場の設備投資も始まっている」(建設)との声がある一方、「物価高、金利上昇などで収益物件などの流通が少ない」(不動産)など不安視する声も聞かれた。物価高および金利上昇によりハウスメーカーが不振となっているほか、令和8年熊本地震によってサプライチェーンへの影響が懸念されており、正常化には今しばらく時間を要するとみられ、景気は足踏み状態が続くと判断される。

・景気DI

「熊本」の景気DIは45.8で前月比2.6ポイント増と2カ月連続で改善した。また、『九州』(45.7)は前月比1.1ポイント増となり、全国(45.0)も前月比0.4ポイント増となった。なお、「熊本」の都道府県別順位は第9位(前月第25位、前年同月第2位)と前月から16ランク上がった。

・規模別DI

「大企業」の景気DIは46.7と前月から4.4ポイント減となり、「中小企業」は45.7と同3.4ポイント増となった。39カ月連続で「大企業」が「中小企業」の景気DIを上回り、規模間格差(大企業-中小企業)に関しては「中小企業」は改善したが「大企業」が悪化したため、差は1.0ポイントに縮小した。

・業界別DI

9業界中、改善した業界は『金融』『建設』『不動産』『製造』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界となった。一方で悪化した業界は『農・林・水産』『卸売』『小売』の3業界となった。半導体関連企業の設備投資が継続したほか、公共工事やインフラ復旧などを中心に多岐にわたる災害復旧案件が発生している効果により、改善した業界が増加した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは「3カ月後」が47.7(前月47.0)、「6カ月後」は46.8(同47.9)、「1年後」は46.9(同46.9)となった。半導体の需要が高まり、関連企業では受注増への期待感から「3カ月後」は上昇したが、令和8年熊本地震により工場などが被災し復旧に時間を要する企業もあるため「6カ月後」は低下し「1年後」は横ばいになった。

■大分県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.0

-4.8

3カ月ぶりに悪化

・概況

『建設』では公共工事や住宅着工の減少を指摘する声が聞かれ、『卸売』でも地場建設業者向け需要の低迷がみられた。『運輸・倉庫』では燃料費や人件費上昇が収益を圧迫し、『サービス』でも今後の物価高騰や外食需要の減退や、AI導入による顧客離れ等を懸念する意見が目立った。一方、『製造』では半導体関連を中心に引き合い増加や設備投資への期待も聞かれた。先行きについては物価上昇や金利上昇への警戒感が強く、「先が見通せない」との声も多いことから、県内景気は当面、業種間格差を伴いながら弱含みで推移するとみられる。

・景気DI

「大分」の景気DIは44.0となり、前月比4.8ポイント減と3カ月ぶりに悪化した。全国順位は21位(前月3位・前年同月4位)と前月から大幅に順位を下げた。判断の分かれ目となる「50」を22カ月連続で下回っている。

・規模別DI

「大企業」は前月比7.1ポイント減の42.9、「中小企業」は同4.5ポイント減の44.1となり、「中小企業」のうち「小規模企業」は同7.5ポイント減の41.9と最も大きく落ち込んだ。規模間格差は▲1.2となり、1年ぶりに「中小企業」が「大企業」を上回った。

・業界別DI

業界別では『運輸・倉庫』が前月比6.7ポイント増の40.0と改善し、『小売』も同0.6ポイント増の44.4となった。一方、『サービス』は同10.1ポイント減の44.7と全業界で最大の下げ幅となり、『建設』も同9.4ポイント減の41.7、『製造』も同3.3ポイント減の50.0となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は47.5(前月51.5)、「6カ月後」44.9(同52.2)、「1年後」46.7(同50.7)となり、いずれも前月を下回った。業界別では『製造』が3指標すべてで50を上回った。一方、『建設』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』はいずれも先行きに慎重な見方がみられた。

■宮崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

36.4

-0.6

2カ月ぶり悪化

・概況

宮崎県の景気は、一部に弱さがみられる状況が続いている。観光面や空港利用などのサービス消費が堅調で景気を下支えしている一方、物価高の影響から食料品などの個人消費には足踏み感が残っている。生産活動はやや弱含みで推移しており、雇用環境は高水準な求人を背景に良好なものの、原材料費や人件費の上昇によって企業の業況感は慎重な姿勢が強まっている。

・景気DI

「宮崎」の景気DIは36.4で、前月比0.6ポイント減と2カ月ぶりに悪化した。『九州』(45.7)と比較して9.3ポイント減、全国(45.0)と比較しても8.6ポイント減となった。全国順位に関しては、前月同様に47位と4カ月連続最下位となった。

・規模別DI

「大企業」は44.4で前月比5.6ポイント減となった。「中小企業」は35.8で0.2ポイント減となった。企業間格差(大企業-中小企業)は8.6となり、同5.4ポイント縮小した。「中小企業」に含む「小規模企業」は31.8で同1.1ポイント悪化した。

・業界別DI

『製造』は31.0で前月比7.1ポイント減、『非製造』は37.5で同0.7ポイント増となった。『製造』は3カ月ぶりに悪化、『非製造』は4カ月連続改善した。『製造』は「電気機械製造」や「建材・家具・窯業・土石製品製造」等が悪化した。一方で『非製造』は、「家具類小売」が改善した。

・先行き見通しDI

景気「3カ月後」見通しに関しては、40.3で前月比1.0ポイント増、「6カ月後」は40.1で同2.2ポイント増、「1年後」は40.5でで同2.0ポイント増となった。『九州』と『全国』の「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」と比較しても宮崎の先行き見通しDIはそれぞれ下回った。

■鹿児島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.6

1.9

5カ月連続改善

・概況

「鹿児島」の景気DIは44.6と令和2年9月以来となる5カ月連続の改善を果たした。企業からは「年末・年度末に向けた受注増」や「単価上昇による売上増」などの声が聞かれた一方、引き続き「物価高」や「原料調達難」、「人材不足」、「中東情勢不安」などの声は多く、先行きの不透明さを指摘する企業が過半を占めている。前述の通り改善は進みつつあるが、力強さに欠ける面は否めず、引き続き県内の景気動向は一進一退の状況が続く可能性が高い。

・景気DI

「鹿児島」の景気DIは44.6と前月比1.9ポイント改善、『九州』は同1.1ポイント改善の45.7、「全国」は0.4ポイント改善となる45.0となった。全国的にも改善が進んだが、児島の改善幅が大きく、都道府県別順位は前月から14位順位を上げ16位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月から4.3ポイント悪化の52.8、「中小企業」は同2.4ポイント改善となる44.1、「中小企業」のうち「小規模企業」は同3.1ポイント改善の43.1となった。大企業の悪化がみられた一方、中小企業の改善が進んだことで、規模間格差(大企業-中小企業)は、6.7ポイント縮小となる8.7となった。

・業界別DI

『建設』『製造』『卸売』『運輸・倉庫』の4業界が改善した一方、『金融』が横ばい、『農・林・水産』『不動産』『小売』『サービス』の4業界が悪化となった。業界別では一進一退の応対が続いているが、5カ月連続で4業界以上が改善しており、近時は徐々に景気が上向いていることがみてとれる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は45.3と横ばいながら、「6カ月後」は44.8と0.1ポイントの改善となったほか、「1年後」も45.0と同0.1ポイントの改善となるなど、小幅ではあるが改善が進んだ。依然として物価高や中東情勢の不安定さを背景に先行きを不安視する声が多数聞かれたが、単価上昇などもあり、見通しの改善が進んだ形となった。

■沖縄県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

55.3

4.1

2カ月連続で改善

・概況

「沖縄」の景気DIは2カ月連続の改善となった。観光、建設が引き続き堅調との声が多く、景況感の改善が続いている。また、令和8年9月13日投開票の沖縄県知事選挙にて県知事が変わった期待感から、先行き見通しDIの上昇に繋がっている。しかし、景況感は良いとしながらも、価格高騰による一部商品の販売不振や、コスト上昇に価格転嫁が追いつかない状況が続き、利益確保に苦労している声も多いため、景況感は継続して注視していく必要がある。

・景気DI

「沖縄」の景気DIは前月比4.1ポイント(以下、P)増の55.3となった。業種別では7業界中、6業界が改善となった。また、都道府県別順位は43カ月連続で全国1位が続き、『全国』(45.0)、『九州』(45.7)を上回っている。

・規模別DI

「大企業」(55.6、前月比3.2P増)、「中小企業」(55.3、前月比4.3P増)、「中小企業」のうち「小規模企業」(54.2、前月比1.7P増)となり、3指標とも改善した。

・業界別DI

前月と比較可能な7業界中、『不動産』は横ばいだったが、『建設』(2.3P増)、『製造』(10.4P増)、『卸売』(1.3P増)、『小売』(2.3P増)、『運輸・倉庫』(12.5P増)、『サービス』(3.5P増)の6業界が改善した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」が55.8(前月54.0)で2カ月連続改善、「6カ月後」が54.7(前月53.3)で3カ月連続改善、「1年後」が54.4(前月52.8)で2カ月連続改善となった。

「九州ブロック(2026年10月)」の詳細(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)