レポート

TDB景気動向調査2026年10月(北関東ブロック:茨城・栃木・群馬・山梨・長野)

■北関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.9

0.9

2カ月ぶりに改善

・概況

『北関東』の景気DIは前月比0.9ポイント増の44.9となり、2カ月ぶりに改善した。半導体やAI関連では非常に好調といった声が目立つ一方、マイナスの見方では、引き続き物価高や人手不足、また、当月は天候不順や米価の下落といった声が聞かれた。依然として価格転嫁に苦労している企業は多く、仮にできていても、近時は「値上げ疲れ」に言及するところがみられ、値上げで売り上げ喪失といった声もある。「長期的には不確定要素が多い」(中小企業、卸売)との意見にあるとおり、足下より先行きは厳しい見方が目立つ。

・景気DI

景気DIは44.9となり、前月比0.9ポイント増で2カ月ぶりに改善した。管内5県では、「茨城」「群馬」「長野」が改善し、「山梨」が横ばい、「栃木」が悪化。改善のうち「長野」は同2.9ポイント増と大幅アップし、DIは50に迫る勢い。『北関東』の順位は3位となり、前月から1ランク上昇した。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.6ポイント増の48.4、「中小企業」は同1.0ポイント増の44.6、「小規模企業」は同0.5ポイント増の40.8となり、全ての規模で改善した。「大企業」の改善幅が「中小企業」のそれを下回ったことで、規模間格差は3.8ポイントとなり、前月から0.4ポイント縮小した。

・業界別DI

10業界中、前月比改善は6業界、悪化が4業界。『卸売』『小売』はいずれもやや大きく改善したが、DIは未だ30台。『製造』は小幅な改善であったものの、6カ月連続改善し、DIは50に近い水準となり、引き続き好調をキープしている。サンプル数の少ない『金融』『その他』を除くと、悪化業界の動きは小幅。

・先行き見通しDI

「3カ月後」45.8(前月46.2)、「6カ月後」45.4(同45.4)、「1年後」45.3(同46.3)となり、「3カ月後」と「1年後」は前月を下回り、「6カ月後」は横ばいとなった。先へ行くほどDIは低くなる見通しで、この傾向は「山梨」と「長野」が同様。足下より先々は弱含みの見通しとなっている。

■茨城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.6

0.2

5カ月連続改善

・概況

「茨城」の景気DIは5カ月連続で改善した。好天や秋の行楽、イベント需要による人流増加、好調な半導体関連が景況感を下支えし、足元では持ち直しが続き、先行きに明るい兆しもみられ始めた。景気刺激策への期待を背景に、企業マインドの改善が続くか、好調分野が景況感をどこまで支えられるかが焦点となる。一方、物価高による節約志向や、原材料価格の高止まりによる収益圧迫、原油高や金利上昇への懸念は根強い。「仕事は増えているが、原材料高で利益につながらない」との声もあり、価格転嫁や個人消費の動向を注視する必要がある。

・景気DI

「茨城」の景気DIは43.6となり、前月比0.2ポイント改善した。5カ月連続の改善で、この間に5ポイント近く上昇した。10月は3連休を中心に天候に恵まれ、秋の行楽やイベント需要を背景に人流が増加。『サービス』が景況感を下支えし、企業マインドは引き続き緩やかな回復基調を維持、足元では持ち直しが続いた。

・規模別DI

「大企業」は41.7と前月比5.3ポイント低下し、4カ月ぶりに悪化。前月の大幅上昇の反動や、再原油高で先行き懸念が強まったとみられる。一方、「中小企業」は43.7と同0.6ポイント改善、「小規模企業」は42.1と同2.2ポイント上昇。秋の行楽やイベント開催が売上を押し上げ、企業マインドを好転させた。

・業界別DI

『卸売』『製造』の2業界が改善、好調な半導体関連に引っ張られる形となった。一方、『不動産』『農・林・水産』など4業界が悪化。『不動産』は金利上昇による販売不振を懸念、『農・林・水産』はコメ価格の下落が主な要因となり、景況感を下押ししたとみられる。『金融』『サービス』『小売』の3業界は横ばいであった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は44.9、「6カ月後」は44.8、「1年後」は45.5となり、いずれも前月比0.1ポイント改善した。改善幅は小さいものの、企業からは「消費税が1%になれば食品小売業界には強い追い風になる」「消費税減税などの景気刺激策に期待する」との声が聞かれ、今後の政策による効果への期待がうかがえる。

■栃木県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.4

-1.3

4カ月ぶりに悪化、受注弱含みも鮮明に

・概況

10月の景気DIは、3カ月連続で少しずつ改善していた中で、一気に7月以前の不況ムードに戻してしまった。大きな経済打撃があったわけではない。経営環境を冷静に分析すれば、物価高、コスト高、人件費高騰、人手不足、円安、金利上昇など、近時の変化は概ね各企業が吸収してきたことばかりだ。中東情勢の不透明感は確かに否めないところがあるのだが。最も大きな要因は、長引く現状が経営者の「環境疲れ」を招いていると感じる。経営努力の範疇では業績は改善しない。今、生じている諸問題は根深いリスクなのだということだろう。

・景気DI

10月の景気DIは40.4、30台突入こそ免れたものの、引き続き商況は弱含みが続いているようだ。物価高、コスト高、人手不足、円安など、挙げればきりがない懸念材料に取り囲まれ、設備投資や一般消費の停滞は否めない。特に県別順位は42位まで下落し、全国を4.6ポイント下回るなど、不況感を感じる結果となった。

・規模別DI

規模別では、「大企業」41.2(前月43.9)、「中小企業」40.3(同41.3)、「小規模企業」37.6(同41.9)とすべての規模で悪化した。特に「大企業」は3カ月連続で下落し、規模間格差も0.9まで縮まった。県内の「大企業」は全国の「大企業」(49.2)を大幅に下回っており、競争力の点で課題の多さがうかがえる。

・業界別DI

業界別では、けん引役の『建設』が45.5に悪化し、前月比で『運輸・倉庫』▲4.2、『サービス』▲2.1、『卸売』▲1.9と軒並み下落した。特に『小売』は23.8と引き続き20台前半で低迷している。流通関連全般に言えるのは、物価の高騰が消費を冷え込ませており、今回も大きく影響したと見られる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」42.8(前月44.3)、「6カ月後」41.7(同44.4)、「1年後」42.5(前月45.2)とすべてのカテゴリーで悪化した。「物価高で人手不足、仕事はあっても利益は出ない」(建設)、「中東情勢など景況感を引き下げる材料ばかりだ。構造的で根深い」(運輸・倉庫)などの声が寄せられた。

■群馬県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.9

0.6

3カ月ぶりに改善

・概況

群馬県内企業からは「データセンター需要を背景に半導体関連部品は好調である」(製造)など、明るい声が聞かれる。一方で、「多忙な事業者と仕事量が少ない事業者との格差が広がっている」(建設)、「資材高騰や不足が続いており、好材料に乏しい」(小売)といった厳しい意見もある。消費減退や価格転嫁の難しさも重なる中、業界や企業の間で格差もみられる。今後、賃上げや借入金利を含めたコスト上昇への対応力がさらに必要になる。企業の先行き不透明感は強く、景気の下振れリスクを払しょくする材料は乏しい。

・景気DI

景気DIは前月比0.6ポイント増の41.9と3カ月ぶりに改善した。一方、『全国』は前月から0.4ポイント増の45.0となった。「群馬」の増加幅は『全国』より大きく、47都道府県別順位は33位(前月38位)に上昇した。なお、『北関東3県』の中では「茨城」「群馬」「栃木」の順となった。

・規模別DI

「大企業」 は前月比0.8ポイント減と4カ月連続で悪化した。一方、「中小企業」は同0.8ポイント増となり3カ月ぶりに改善(うち「小規模企業」は同0.2ポイント減と2カ月ぶりに悪化)。この結果、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は1.8と、4カ月連続で縮小し、2026年で最小となった。

・業界別DI

『製造』『サービス』など5業界が改善、『建設』『運輸・倉庫』など4業界が悪化した。『サービス』 は7月以降低下傾向にあったが、10月は50台に上昇し、持ち直しに転じている。一方、『卸売』は改善したものの全業種で最も低い。『小売』も回復したが、先行き見通しは低く、個人消費動向に慎重な見方となっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が42.6(前月45.0)、「6カ月後」が43.0(前月44.5)、「1年後」が43.8(前月45.2)となった。「3カ月後」「6カ月後」「1年後」の3指標とも悪化している。現状(41.9)から先行きの改善を見込むも、『全国』との比較では3指標とも下回り、慎重な見方が続いている。

■山梨県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.4

横ばい

改善傾向を維持

・概況

「山梨」の景気DIは前月比横ばいとなったが、半導体製造装置関連や観光業関連が景況感を牽引する。一方、企業からは、「資材価格高騰による価格転嫁はコロナ前の1.4倍に達し、個人消費への影響を懸念」(建設)、「自動車減産の影響から先行き不透明感が強まっている」(製造)、「長期案件の引き合いなどが減少」(サービス業)などの声が聞かれた。中東情勢不安や米中間選挙の行方など、中長期的な先行き見通しは厳しさが増しつつあり、企業活動への影響がジワリと広がっている様子が散見される。

・景気DI

「山梨」の景気DIは前月と同水準の45.4となり、高水準を維持した。全国は前月より0.4ポイント増の45.0となった。「山梨」は全国を0.4ポイント上回ったものの、都道府県別順位は12位となり、前月の10位から後退した。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.1ポイント増の56.9、「中小企業」は同0.4ポイント減の43.7、「小規模企業」は同2.3ポイント減の35.2となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は、「中小企業」の後退から同3.5ポイント増の13.2となり、2026年1月調査以来10ポイントを超える格差となった。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界中、4業界が改善、2業界が悪化、3業界が横ばいとなった。『製造』は、引き続き半導体製造装置関連産業を主体に改善傾向がみられる。また、景気判断の分かれ目となる50以上は、『農・林・水産』『金融』『製造』の3業界となり、前月の5業界から減少した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は47.9(前月45.7)、「6カ月後」は46.6(同46.0)、「1年後」は45.0(同48.5)となった。「3カ月後」と「6カ月後」は前月および現況を上回ったものの、「1年後」は前月を下回り、先行きに慎重な見方もみられる。業界別では、『農・林・水産』『金融』『製造』で3指標が50以上となった。

■長野県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

49.6

2.9

2カ月ぶりに改善し、全国3位に上昇

・概況

「長野」の全国順位は3ランクアップして3位となった。2022年8月に1位となって以降で最高順位である。「観光需要が堅調で、インバウンドも堅調」(飲食料品卸売)、「半導体関連企業を中心に好況となっている」(化学品卸売)など観光業、製造業関連が景況感を押し上げているものとみられる。しかし、「長雨による青果物の生育不良、相場高に伴い、消費動向が買い控え傾向にある」(飲食料品卸売)など消費抑制や先行き不安を懸念する声は多く、「景況感は企業ごとにばらつきがある」(機械・器具卸売)のが実態のようだ。

・景気DI

「長野」の景気DIは49.6と前月比2.9ポイント上昇し、2カ月ぶりに改善した。前年同月からは7.7ポイント改善し、前月から0.4ポイント改善した「全国」を4.6ポイント上回った。都道府県別順位は3位と、前月から3ランク、前年同月からは27ランクそれぞれアップした。

・規模別DI

規模別DIは「大企業」が2018年4月以降最も高く、「中小企業」、「小規模企業」の順となった。いずれの規模も改善し、改善幅は「大企業」、「小規模企業」、「中小企業」の順になった。規模間格差は、「大企業」と「中小企業」の差が「大企業」と「小規模企業」に比べ、拡大幅は大きく、「中小企業」と「小規模企業」の差は縮小した。

・業界別DI

業界別は、秋の行楽シーズンで好調な「旅館」を含む『サービス』が4カ月連続で改善。『その他』を除くすべての業界が改善した。最もDIが高いのは『金融』で、『不動産』が続いた。引き続き半導体関連需要が依然旺盛な『製造』も50を上回り、改善幅が大きいのは『製造』や『サービス』にかかわる業務も多い『卸売』であった。

・先行き見通しDI

現在より「1年後」が良くなると見通すのは、業界別の『卸売』、『小売』『運輸・倉庫』となった。一方、「長野」全体と業界別の『農・林・水産』『金融』『建設』『不動産』『製造』『サービス』、すべての規模は現在より悪化を見込む。「長野」全体と『建設』、「中小企業」は悪化し続けることを予想。

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