レポート

TDB景気動向調査2026年10月(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)

■近畿ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.3

1.0

2カ月ぶり改善、『製造』がけん引

・概況

半導体・AI関連の設備投資の増加に伴い、「その恩恵が中小企業にも波及」(機械・器具卸売、大阪府)し、関連業界を中心に改善傾向を示した。ただ、「他は低調」(精密機械・医療機械製造、大阪府)との指摘もあり、業界や企業間の温度差は大きい。近畿経済を下支えするインバウンド関連では、11月から免税制度の「リファンド方式」が導入され、消費動向に与える影響にも注目が集まる。物価高や人手不足による下押し圧力が強いなか、サイバー攻撃への対応が企業活動の足かせとなる可能性もあり、景気は一進一退で推移しそうだ。

・景気DI

『近畿』(44.3、前月比1.0ポイント増)は2カ月ぶりに改善した。全国(45.0、同0.4ポイント増)よりも改善幅が大きく、ブロック別順位は『東海』『北陸』を抜いて4位に浮上(前月6位)。府県別では「滋賀」が全国8位に浮上したのをはじめ、全6府県が改善した。

・規模別DI

「大企業」(49.2、前月比0.4ポイント増)、「中小企業」(43.5、同1.1ポイント増)ともに2カ月ぶりに改善した。「中小企業」は2023年12月(44.0)以来の水準を回復した。「中小企業」の改善幅が大きく、規模間格差は5.7ポイントに縮小したが、17カ月連続で5ポイントを上回る高水準で推移。

・業界別DI

半導体やAI、データセンター関連の設備投資需要を追い風に、『製造』では機械や化学分野の改善が目立ち、コロナ禍以降の最高を更新した。『小売』は、物価高の逆風下ながら3カ月連続で改善。『建設』『サービス』も改善した。他方、金利上昇の影響で購買動向に変調が見られる『不動産』は2カ月ぶりに悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比0.2ポイント増)は6カ月連続で改善。「6カ月後」(同0.4ポイント増)と「1年後」(同0.5ポイント増)は3カ月連続で改善した。中東情勢の緊迫化が和らぎ、先行き見通しには明るさがみられたが、県別では「京都」「和歌山」、業界別では『サービス』で先行きの悪化懸念が見受けられた。

■大阪府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.9

1.0

2カ月ぶりに改善も、二極化の様相

・概況

「好調な半導体業界の恩恵を受けている」(製造)といった声が聞かれるように、関連業界を中心に景況感は良好で、大阪府は2カ月ぶりに改善した。他方で、金利上昇の影響を受ける『不動産』で一進一退が続くほか、『建設』では先行きの見通しに関して厳しい声が多い。企業からは「原材料や燃料価格が高騰している」(サービス)や、「建設需要はあるが、職人が不足している。需要と供給のバランスが取れていない」(建設)といった声もあがるなど、二極化の様相を呈していることから、先行きは注視する必要がある。

・景気DI

「大阪」は前月比1.0ポイント増の44.9と、2カ月ぶりに改善した。特に『製造』や『運輸・倉庫』が大きく改善した。全国(45.0、同0.4ポイント増)との格差(大阪-全国)は▲0.1ポイントと前月から縮小し、都道府県別順位も14位と2ランプアップした。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.5ポイント増の49.2、「中小企業」は同1.1ポイント増の44.0となり、それぞれ2カ月ぶりに改善した。「中小企業」のうち「小規模企業」は同1.5ポイント増の41.6となり、3カ月ぶりに改善した。規模間格差は同0.6ポイント縮小し、5.2ポイントとなった。

・業界別DI

9業界中6業界で改善した。特に『製造』は3.3ポイント増、『運輸・倉庫』は2.6ポイント増と大きく改善。『運輸・倉庫』は3カ月連続で改善した。他方、金利上昇などの影響を受ける『不動産』は2.8ポイント減の47.2で2カ月ぶりに悪化し、再び50を割り込んだ。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比0.1ポイント増)、「6カ月後」(同0.1ポイント増)、「1年後」(同0.4ポイント増)の3指標がそろって改善。業界別では、『製造』『卸売』『運輸・倉庫』で先行き3指標がそろって改善した一方で、『建設』は先行き3指標ともに悪化した。規模別では、『大企業』で先行き3指標がともに改善した。

■京都府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.3

0.1

緩やかな改善が続くも、物価高騰や金利上昇が懸念材料に

・概況

「京都」の景気DIは3カ月連続で44を上回った。「国内資材と機械販売が好調、東京では大型の設備販売予定がある」(卸売)といった好調な声が聞かれる一方、「受注は旺盛だが、電子部品の供給ひっ迫が深刻化」(製造)、「インバウンドは堅調だが、住宅販売は低迷」(不動産)など、改善が続く中でも懸念要素が併存するコメントが聞かれる。秋の行楽シーズンで観光業界を中心に景況感の回復が期待されるが、物価高騰や金利上昇などマイナス要素は大きく、当面は一進一退で推移する可能性が高い。

・景気DI

「京都」の景気DIは前月比0.1ポイント増の44.3となった。2023年11月以来となる3カ月連続の44超となったが、『全国』(45.0)を下回り、格差は▲0.7ポイント(前月▲0.4ポイント)に拡大した。都道府県別の順位は19位(同15位)、『近畿』の順位は3位(同1位)に後退した。

・規模別DI

「大企業」は52.6(前月52.9)、「中小企業」は43.0(同43.0)、「小規模企業」は40.1(同40.2)となった。「中小企業」は横ばいであったが、「大企業」と「小規模企業」は悪化した。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は9.6(同9.9)に縮小したが、依然として差は大きく、二極化が続く。

・業界別DI

『製造』は2018年12月以来の2カ月連続49超となり、『卸売』は2年ぶりに40台を回復した。一方、『不動産』は金利上昇などがマイナス要素となり、25カ月ぶりに43を下回ったほか、『運輸・倉庫』は4カ月ぶりの40割れとなった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」45.3(前月45.5)、「6カ月後」44.4(同44.9)、「1年後」45.0(同44.3)となり、「1年後」のみ前月を上回った。業界別では『卸売』が全指標で改善見通し、『運輸・倉庫』『サービス』が全指標で悪化見通しとなった。規模別では「小規模企業」が全指標で悪化見通しとなった。

■兵庫県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.5

1.4

5カ月連続の改善

・概況

「兵庫」の景気DIは5カ月連続の改善となった。引き続き『製造』の回復傾向は底堅く、6カ月連続の改善。「半導体関連の設備需要が活発」(製造)や「半導体製造装置関連に引っ張られて周辺企業の売り上げが増加している」(卸売)などAIやデータセンターに関連する受注が業界をまたいで景気にプラスに作用している模様。一方、仕入れ値が上昇するなか個人消費が厳しいとの声も多く、『小売』は依然として30半ばで苦戦が続いている。今後については原油相場の影響や金利動向、物価高と年末に向けた個人消費の動向が注目される。

・景気DI

「兵庫」の景気DIは前月比1.4ポイント増の43.5で5カ月連続の改善となった。前年同月比でも0.2ポイント上回った。全国順位は25位(前年同月21位)。『全国』は前月比0.4ポイント増の45.0、『近畿』は同1.0ポイント増の44.3でともに2カ月ぶりの改善となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.6ポイント増の47.5だった。「中小企業」は同1.4ポイント増の43.0、うち「小規模企業」は同1.0ポイント増の40.8でともに5カ月連続の改善となった。規模間格差は4.5ポイント(前月5.3)と0.8ポイント縮小した。

・業界別DI

10業界中7業界で改善。『建設』は、前月比3.7ポイント増の45.2で2カ月連続の改善。『製造』は同1.1ポイント増の45.8で6カ月連続の改善。また『運輸・倉庫』は同7.1ポイント増の48.8だった。他方、『サービス』は同0.4ポイント減の43.6で4カ月ぶりの悪化となった。

・先行き見通しDI

3カ月後は前月比0.8ポイント増、6カ月後は同1.1ポイント増、1年後は同0.8ポイント増と全指標で改善。業界別では『金融』『建設』『不動産』『小売』で全指標改善。一方、『製造』で全指標悪化となった。規模別では「大企業」が全指標悪化、「中小企業」「うち小規模企業」が全指標改善となった。

■滋賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

46.0

2.1

2カ月ぶりに改善、近畿ブロック内順位は1位に返り咲き

・概況

「滋賀」の景気DIは前月比2.1ポイント改善した。中小企業からは「部材(素基板)入手難のため受注しても生産が困難」(製造)、「食品の消費税減税の影響が出る」(飲食店)、「業界の人材不足が深刻化」(サービス)といった声がある一方、「彦根城の世界遺産国内推薦内定のニュースを受け、観光関連業界の景気が上向き」(小売)、「取引先次第ではあるが、景気の良し悪しに差が生じている」(建設)などの声が聞かれ、物価高や人手不足問題が継続しているなか、景況感は二極化が進んでおり今後の動向には注意を要する。

・景気DI

「滋賀」の景気DIは46.5と前月比2.1ポイント改善した。業界別では悪化が2業界、改善が5業界となった。近畿ブロック内の2府4県別順位は1位に返り咲き、全国においては8位(前年同月は10位)となった。

・規模別DI

「大企業」が44.4と前月比2.7ポイント、「中小企業」が46.1と同1.9ポイント、「小規模企業」が47.0と同4.6ポイント改善した。また、「大企業」は2カ月連続で「中小企業(うち小規模含む)」を下回った。

・業界別DI

前月と比較可能な7業界中2業界で悪化、5業界で改善した。『不動産』『卸売』が悪化した一方で、『建設』『製造』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』が改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が47.0(前月47.0)、「6カ月後」が47.8(同46.6)、「1年後」が47.1(同47.2)だった。物価上昇や人手不足問題を踏まえた対応が常態化しつつあるなかで、当面の景況感については一進一退を繰り返すとみられる。

■奈良県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.0

0.9

2カ月連続改善も全国では下位にとどまる

・概況

「奈良」の景気DIは前月から改善し41.0となったが、近畿では最下位となっており、全国でも下位にとどまっている。「自動車の省エネ、環境対策のエアコン、空気清浄機、年末商戦向けの需要拡大」(卸売)や「工作機械業界の受注が活況」(製造)など、前向きな声が聞かれる一方で、「発注量が不足している」(建設)や、「急激な値上げ環境による消費の冷え込みを実感している」(小売)などの声が聞かれる。

・景気DI

景気DIは前月比0.9ポイント改善し41.0となった。都道府県別では39位となり前月の42位から上昇したが下位にとどまった。近畿では滋賀が都道府県別8位と最も高く次いで大阪14位、京都19位、兵庫25位、和歌山30位となった。なお「近畿」では同比1.0ポイント改善し44.3となった。

・規模別DI

「大企業」は前月と変わらず50.0となった。「中小企業」は前月比1.1ポイント改善し40.3、その内「小規模」は同比2.9ポイント改善し38.5となった。「大企業」は横ばいであったが、「中小企業」「小規模」のいずれも改善しており、規模間格差は9.7と前月比1.1ポイント縮小している。

・業界別DI

『建設』(45.0)は前月比5.0ポイント悪化となった。一方で、『製造』(41.7)、『卸売』(39.6)、『運輸・倉庫』(33.3)、『サービス』(47.6)とそれぞれ改善した。

・先行き見通しDI

3カ月後は43.2(前月41.7)、6カ月後は42.3(同41.7)、1年後は44.1(同42.3)で、すべての期間で改善見通しとなった。規模別では「中小企業(小規模含む)」がすべての期間で改善の見通しとなっている。

■和歌山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.6

0.2

2カ月連続改善

・概況

「和歌山」は、前月比で0.2ポイント微増の42.6と2カ月連続で改善した。ただし、金利上昇や建設資材の高騰により県内の住宅販売状況に勢いは見られず、関連する住設機器関連も動きが鈍い。全体的には価格転嫁により売上は前年並みを確保している企業が多いものの、販売数量自体は増えておらず、物価高を背景に消費者の節約志向の影響が出ている。県内の公共工事案件も金額ベースでは前年並みながら、件数では減少傾向となっており、県内のDIは当面は一進一退が続くものと予想される。

・景気DI

「和歌山」は、前月比で0.2ポイント増の42.6と前月に比べて2カ月連続改善した。ただ、『全国』(45.0)と『近畿』(44.3)を下回っており、全国および近畿圏の平均的な景況感にはあと一歩届いておらず、力強さにやや欠けている状況が続いている。

・規模別DI

「大企業」は前月に比べて▲3.3ポイント減の50.0だったが、「中小企業」が前月比1.2ポイント増の41.8に改善した。「大企業」のDIは4カ月連続で50ポイント台を維持しており、「中小企業」のDIもやや改善し、今後の持続的な改善に期待がかかる。

・業界別DI

『建設』(42.2)『小売』(43.3)が前月比で悪化した一方で、『運輸・倉庫』(37.5)『卸売』(40.0)『サービス』(41.1)『製造』(44.4)が前月比で改善した。

・先行き見通しDI

3カ月後が43.5(前月44.4)、6カ月後が42.6(同43.5)、1年後が42.8(同42.8)と1年後は横ばいだったものの、3カ月後と6カ月後の先行き見通しDIが悪化した。物価高を背景とした全体的な節約志向の高まりなどもあり、依然として先行きの不透明感は拭えていない。

「近畿ブロック(2026年10月)」の詳細(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)