レポート

TDB景気動向調査2026年9月(南関東ブロック:埼玉・千葉・東京・神奈川)

■南関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.3

-0.2

4カ月ぶりに悪化

・概況

『南関東』の景気DIは4カ月ぶりに悪化したものの、全国順位でも19カ月連続でトップを維持した。従来からの原材料費や人件費の上昇、消費者の節約志向、円安や金利上昇などの下押しリスクに加え、「天候不順による消費の鈍化」について触れる業種が複数寄せられ、景況感を押し下げた。また、不透明な世界情勢に加え、金利上昇にともなう消費動向への影響を懸念する声も散見され、さらなる下振れリスクも高まっていると言える。

・景気DI

『南関東』の景気DIは前月比0.2ポイント減の47.3となり、4カ月ぶりに悪化したが、ブロック別の全国順位では19カ月連続でトップを維持した。

都県別では、「神奈川」(前月比0.8ポイント増)、「埼玉」(同0.3ポイント増)は改善したが、「東京」、「千葉」は2カ月ぶりに悪化した。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.1ポイント増の51.0と2カ月連続で改善した。一方で、「中小企業」(同0.3ポイント減)と「小規模企業」(同0.5ポイント減)ともに4カ月ぶりに悪化した。「中小企業」の下げ幅が、「大企業」の改善幅を上回ったことで、規模間格差は4.5と前月から0.4ポイント拡大した。

・業界別DI

『金融』『卸売』は改善、『運輸・倉庫』は横ばいとなったが、その他6業界は悪化した。半導体やAI関連の市況好調を受け『卸売』は5カ月連続で改善した。一方で、米価や悪天候による価格相場などの懸念材料を抱える『農・林・水産』や、金利上昇等の影響で先行きが不透明な『不動産』などが悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は48.6(前月48.9)、「6カ月後」は48.2(同48.3)、「1年後」は47.7(同48.2)となり、すべての指標で悪化した。「神奈川」は「3カ月後」「6カ月後」「1年後」全ての項目で改善したものの、その他の1都2県はほぼ全ての項目で悪化している。

■埼玉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.4

0.3

3カ月連続の改善

・概況

埼玉県の景気DIは前月比0.3ポイント増の45.4で、2026年で最も高くなった。建設機械やディーゼルエンジン、航空宇宙分野の受注が増え、好調な一部製造業が全体の景況感を押し上げた。一方で、多くの企業は金利の上昇、物価高の影響を大きく受け、「不動産価格と金利の上昇の影響で金融機関の融資が厳しく、物件の動きが悪い」(不動産)、「石油製品の値上がりで価格転嫁ができず、下請会社は体力勝負だ」(製造)との声が聞かれる。依然として厳しい状況が続くが、見通しはやや持ち直しの傾向がみられる。

・景気DI

埼玉県の景気DIは3カ月連続で改善し、前月比0.3ポイント増の45.4と、2026年で最も高かった前月を上回った。全国は44.6で前月から増減はなく、『南関東』は47.3で前月から0.2ポイント減となった。管内では千葉県を抜いて3番目になり、全国順位は10位で前月(13位)から3ランクアップした。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.3ポイント減の46.6、「中小企業」は同0.4ポイント増の45.2、「小規模企業」は同0.1ポイント減の45.1。「小規模企業」は5カ月ぶりに悪化した。改善は「中小企業」のみで、3カ月連続。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は1.4ポイントで前月から0.7ポイント縮小した。

・業界別DI

9業界中、改善は5業界、悪化は4業界だった。最も上昇幅が大きかったのは『卸売』で前月比2.3ポイント増、『小売』が1.9ポイント増と続いた。『建設』は1.3ポイント増の51.9となり、3カ月連続で改善した。一方で、『製造』は1.4ポイント減の44.5で3カ月ぶりに悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」46.1(前月47.5)、「6カ月後」45.9(同47.1)、「1年後」46.3(同48.1)となり、3指標すべてで前月から1.0ポイント以上低くなった。管内平均を大きく下回り、先行き見通しがやや悪化した。業界別では『建設』が3指標すべてで50台となり、堅調さを維持している。

■千葉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.0

-0.2

2カ月ぶりに悪化

・概況

「千葉」の景気DIは45.0となり、前月比0.2ポイント減少し、一進一退となっている。企業からは「大企業の設備投資計画が実行され、引き合いが増加」(鉄鋼製造)などの声が聞かれた一方で、「石油・エネルギー関連の設備投資がやや低調」(建設)、「天候不順が集客に影響」(飲食店)などの声も聞かれ、景況感は企業によってばらつきがある。物価や金利の上昇、消費者の購買意欲低迷など、景気の先行きには懸念材料があり、不透明感は拭い切れない。

・景気DI

「千葉」の景気DIは45.0となり、前月比0.2ポイント減少し、2カ月ぶりに悪化した。全国は前月比横ばいの44.6となり、「千葉」は全国を0.4ポイント上回り、全国順位は前月と同様の12位となった。

・規模別DI

「大企業」は47.7で前月比1.1ポイント増加し、2カ月連続で改善。一方で、「中小企業」は同0.3ポイント減の44.7となった。これにより、規模間格差は3.0ポイント(前月1.6ポイント)へと拡大した。

・業界別DI

『農・林・水産』『建設』『不動産』『サービス』の4業界は前月比悪化した一方で、『金融』『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』の5業界は改善した。『製造』は4カ月連続で改善、『卸売』は2カ月連続で改善したが、そのほかの業界は一進一退となっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は47.0(前月47.2)、「6カ月後」は46.6(同46.9)、「1年後」は46.9(同46.1)となり、「3カ月後」「6カ月後」は前月比悪化したが、「1年後」は改善した。ただ、3指標のうち「3カ月後」が最も高く、「6カ月後」「1年後」はそれを下回っており、不透明感が漂っている。

■東京都

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.9

-0.6

2カ月ぶりに悪化

・概況

「東京」の景気DIは、47.9と前月から0.6ポイント悪化した。企業からは「材料費の高騰、職人の後継者不足」(製造)など物価高や人手不足の影響が聞かれる。さらに「台風や大雨など天候不順による盛夏物の販売が振るわなかった」(小売)と、記録的な長雨により集客や販売に悪影響が出た企業もあった。一方で「半導体関連分野が好調」(卸売)などの声も聞かれ、AI・半導体関連を軸とした機械需要は活況なことから、今後は緩やかな持ち直しが続くとみられる。

・景気DI

「東京」の景気DIは47.9(前月48.5)と前月比0.6ポイント減となり、4カ月ぶりに悪化した。都道府県別では前月(3位)から5位に後退。都道府県順位がトップ3から外れるのは1年4カ月ぶり。全国(44.6)を3.3ポイント上回ったものの、1位の「沖縄」との差は2.0ポイントから3.3ポイントに拡大した。

・規模別DI

「大企業」は51.3(前月比0.4ポイント減)、「中小企業」は46.9(同0.6ポイント減)、「小規模企業」は45.1(同1.1ポイント減)と全規模で悪化。規模が小さくなるほど悪化幅は拡大した。なお、規模間格差は4.4ポイントと4カ月ぶりに拡大した。

・業界別DI

全10業界中、8業界で悪化、2業界で改善した。長期金利の上昇がプラスに作用した『金融』は前月比1.7ポイント増となった一方で、マイナスに作用した『不動産』(53.3)は前月比1.4ポイント減となった。台風や大雨など天候不順で『小売』(42.7)や『サービス』(49.0)での悪化が目立った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は49.0(前月49.4)、「6カ月後」は48.6(同48.9)、「1年後」は48.0(同48.7)といずれも悪化した。業界別では『製造』『卸売』『運輸・倉庫』が3指標すべてで改善する一方で、『不動産』『建設』『サービス』が3指標すべてで悪化した。

■神奈川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

48.2

0.8

4カ月連続の前月比改善

・概況

「神奈川」のDIは4カ月連続の前月比改善となった。「データセンター需要で関連する業界が好調」(鉄鋼・非鉄・鉱業)、「設備投資の意欲が大いにあり、半導体関連も3~4カ月先まで受注」(機械製造)など、成長分野における需要増が景況感の改善を牽引している様子がうかがえた。一方で、「建築費高騰、物価高、金利上昇の影響」(不動産)など、構造的な課題が山積している状況に変わりはない。また、「半導体需要がどこまで続くかが不透明」(電気機械製造)との声も聞かれ、成長分野による景況感の押し上げ効果が継続するか注目される。

・景気DI

「神奈川」の景気DIは48.2と前月(47.4)から0.8ポイント上昇し、4カ月連続の前月比改善となった。48.0を超えたのは2019年1月(50.0)以来で、今年の最高値を更新した。全国順位は4位で、前月(5位)から上昇、DIは全国(44.6)を3.6ポイント上回った。

・規模別DI

「大企業」は54.6(前月比3.7ポイント増)、「中小企業」は47.5(同0.5ポイント増)と改善したのに対し、「小規模企業」は45.5(同0.1ポイント減)と悪化した。「大企業」は2カ月連続の改善で上昇幅は今年最大となり、「大企業」と「中小企業」の格差は7.1ポイントとなり、乖離幅は拡大した。

・業界別DI

9業界中、5業界で前月比改善となった。『金融』『建設』『製造』は2カ月連続で50.0以上となり、『製造』『運輸・倉庫』はそれぞれ4カ月連続の改善となった。一方、『不動産』は2カ月連続の悪化で、全業界で唯一悪化。『小売』は今年初めて40.0を超えたものの、依然低水準にとどまっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は49.8(前月49.2)、「6カ月後」は49.3(同48.2)、「1年後」は47.9(同47.8)とすべてで改善した。『金融』『製造』は3指標すべてで50.0を上回った。しかし、7業界で「3カ月後」を「1年後」が下回るなど、足元では改善への期待が広がっているものの、企業の先行き判断は依然として慎重なものとなっている。

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