レポート

TDB景気動向調査2026年9月(北関東ブロック:茨城・栃木・群馬・山梨・長野)

■北関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.0

-0.2

5カ月ぶりに悪化

・概況

『北関東』の景気DIは前月比0.2ポイント減の44.0となり、5カ月ぶりに悪化した。4カ月間順調に回復傾向をたどっていたが、ここへ来て一服した。当月の特徴としては、長雨により業績に影響が出たという声が多く、同じ業界の中でプラス・マイナスの意見が混在し、見方が割れるケースも散見された。また、相変わらず、物価高を懸念する声も多かった。金利上昇への警戒感もあり、設備投資や消費活動に影響が出ているほか、中東情勢が未だ見通しにくい状況にあるものの、一時に比べモノは入りやすくなったという意見が出始めている。

・景気DI

景気DIは前月比0.2ポイント減の44.0となり、5カ月ぶりに悪化した。管内5県では「群馬」と「長野」が悪化して、「茨城」「栃木」「山梨」が改善。「山梨」の同1.3ポイント増以外、プラス・マイナスともに1.0ポイント未満の小幅な変動だった。『北関東』の全国順位は4位となり、前月(3位)からワンランク後退した。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.5ポイント増の47.8、「中小企業」は同0.2ポイント減の43.6、「小規模企業」は同1.0ポイント減の40.3となった。「大企業」が改善し、「中小企業」が悪化したことで、規模間格差は4.2ポイントとなり前月比0.7ポイントに拡大。「中小企業」は5カ月ぶりに前月から悪化した。

・業界別DI

10業界中、前月比改善は6業界、悪化が4業界。『製造』は同0.5ポイント増と小幅改善も5カ月連続で改善、DIは10業界中最も高く、50に迫る勢い。2番目に高い『サービス』は、先行き見通しも良好で、いずれの指標でも50台となった。一方、『小売』は11カ月連続で30台と、停滞傾向が継続した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」46.2(前月45.7)、「6カ月後」45.4(同45.3)、「1年後」46.3(同45.5)となり、3指標ともに前月を上回った。「6カ月後」が最も低くなる見通しが3カ月続いており、この状況は全国も同様。管内5県では「茨城」「群馬」「長野」において、「6か月後」が最も低くなっている。

■茨城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.4

0.3

4カ月連続改善

・概況

9月の景気DIは4カ月連続で改善し、企業マインドは緩やかな回復基調を維持した。半導体関連需要を追い風に「大企業」が改善するなど、全体に持ち直しの動きがみられる。一方、『小売』『卸売』は天候不順や物価高による節約志向、買い控えが下押し要因となった。今後は、長雨による農作物の収穫・出荷への影響のほか、円安や金利上昇、人手不足なども懸念される。足元では改善傾向が続いているものの、その広がりや持続性には不透明感が残る。企業を取り巻く環境には依然として不安材料が多く、今後の動向を慎重に見極める必要がある。

・景気DI

「茨城」の景気DIは43.4と前月比0.3ポイント上昇、4カ月連続で改善した。4カ月で約5ポイント持ち直しており、企業マインドは緩やかな回復基調を維持。2015年以来11年ぶりに5連休となるシルバーウィークの人流増加や、消費拡大への期待に加え、原油価格の下落もプラス材料となり、景況感を下支えした。

・規模別DI

「大企業」は47.0と前月比5.3ポイント改善した一方、「中小企業」は43.1で横ばい、「小規模企業」は39.9と1.4ポイント悪化した。前月の全規模「40」台回復は続かず、明暗が分かれた。「大企業」は半導体関連需要の拡大が追い風となったが、「小規模企業」はコスト上昇に対する価格転嫁の遅れが響いた。

・業界別DI

『農・林・水産』『不動産』など6業界が改善し、『小売』『卸売』は悪化。『農・林・水産』は条例制定による木材需要の拡大や水産物のブランド力向上に向けた動きへの期待に加え、2カ月連続の落ち込みの反動もあり、大幅に改善。一方、『小売』『卸売』は雨天や低温の日が多く、衣料品など夏季商材の低調な動きが響いた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が44.8、「6カ月後」が44.7、「1年後」が45.4となり、改善と悪化が入り交じった。企業からは「米価下落による農業や関連業界への悪影響が懸念される」「受注は安定しているが原材料高により収益力は圧迫されている」などといった声が聞かれ、先行きへの慎重な姿勢は依然として根強い状況にある。

■栃木県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.7

0.6

3カ月連続改善も、上昇幅はわずか

・概況

9月の景気DIは41.7となり、3カ月連続で改善を示したものの、あと1.8ポイントで30台という「不安」と「先行き不透明」が入り混じり、希望的観測が先行するような企業マインドとなった。『小売』や『サービス』の悪化は、確実に消費低迷をとらえたものであり、高騰する価格の中では“買い控え”はやむを得ない。構造的な課題に陥っており、解決には時間が必要と見られる。円安、金利上昇、人手不足など、今後も多くの懸念材料が顕在している。

・景気DI

9月の景気DIは41.7と3カ月連続で改善した。ただし、3カ月とも改善幅は1ポイント未満となり、力強さに欠ける状況である。都道府県別順位は36位にとどまり、全国との比較では3ポイント近いビハインドだ。価格転嫁や人手不足に問題を抱える企業が多い結果とも言える。

・規模別DI

規模別では「大企業」43.9(前月44.2)、「中小企業」41.3(同40.5)、「小規模企業」41.9(同39.7)と、大企業が2カ月連続で悪化し、規模間格差は2.6まで縮小している。コストアップはロットの大きな大企業に影響が大きくなるようで、原材料、人件費などの圧迫が景況感を押し下げている。

・業界別DI

業界別では『建設』が47.4でけん引役だ。ハウスメーカーの回復基調に加え、公共工事の安定かつ原価の高騰を考慮した発注などが奏功している。『製造』も春先と比較すると生産が戻りつつあるようだ。一方で『小売』は23.6となり、2020年5月の22.2以来の低水準だった。物価高による一般消費の弱含みによる影響を受けた形である。

・先行き見通しDI

先行き見通しは、「3カ月後」44.3(前月43.6)、「6カ月後」44.4(同43.3)、「1年後」45.2(同44.4)と、すべてで改善が見込まれている。中東情勢の解決は未だ見えてこないが、「米国の中間選挙」や、「消費税の引き下げ」などを、希望的観測ながら改善するファクターととらえているようだ。

■群馬県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.3

-0.9

2カ月連続で悪化

・概況

群馬県内企業からは「半導体、自動車、コネクター関連の受注が堅調に推移している」(製造)など、一部で明るい声が聞かれる。一方で、「荷動きが低調な上、コストは増加しており、利益が減少」 (運輸・倉庫)、「米穀業界は生産者、販売業者ともに厳しい状況に置かれている」(卸売)といった意見もあり、9月の景気DIは2カ月連続で悪化した。物価高と消費者の購買意欲低迷、借入金利の上昇などが先行きの重荷となっている。価格転嫁の進展や賃上げ対応が、景気の安定回復に向けた重要な鍵になるとみられる。

・景気DI

景気DIは前月比0.9ポイント減の41.3と2カ月連続で悪化した。一方、『全国』は前月から横ばいの44.6だった。この結果、47都道府県別順位は38位(前月30位)に後退した。また『北関東3県』の中では「茨城」「栃木」「群馬」の順となった。

・規模別DI

「大企業」 は前月比1.4ポイント減と3カ月連続で悪化した。「中小企業」も同0.9ポイント減となり2カ月連続で悪化(うち「小規模企業」は同0.6ポイント増と2カ月ぶりに改善)。この結果、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は3.4となり、3カ月連続で縮小し、2026年で最小となった。

・業界別DI

『建設』『不動産』の2業界が改善、『製造』『卸売』など5業界が悪化した。『農・林・水産』『金融』は横ばいだった。『卸売』は全業界で最も低く、価格転嫁が難航している可能性がある。『小売』は先行きでさらに慎重な見通しを示していることから、個人消費の回復力に対する警戒感がうかがえる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が45.0(前月44.2)、「6カ月後」が44.5(前月43.7)、「1年後」が45.2(前月44.4)となった。「3カ月後」「6カ月後」「1年後」の3指標とも改善している。現状(41.3)から先行きの改善を見込むも、『全国』との比較では3指標とも下回り、慎重な見方となっている。

■山梨県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.4

1.3

2カ月ぶりに改善

・概況

「山梨」の景気DIは2カ月ぶりに改善した。半導体製造装置関連や旅行業等は底堅く推移する一方、中東情勢不安に伴う調達リスクの影響は広範囲にあり、企業からは「メーカーによって落差が激しい」「新規案件の減少が続いている」(製造)などのほか、「物価高騰により買い控えが生じている」(小売)などの声も聞かれた。県内経済は半導体製造装置関連や観光関連産業が堅調さを維持しているものの、中東情勢やコスト上昇を背景に先行きが見通しにくく、企業活動への影響が広がっている可能性がある。

・景気DI

「山梨」の景気DIは前月比1.3ポイント増の45.4となり、2カ月ぶりに改善した。全国は前月と同じ44.6だった。「山梨」は全国を0.8ポイント上回り、都道府県別順位は10位と前月の17位から大きく前進した。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.2ポイント増の53.8、「中小企業」は同1.2ポイント増の44.1、「小規模企業」は同0.5ポイント減の37.5となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は、ともに1.2ポイント改善したことから、前月と同じ9.7ポイント差となった。

・業界別DI

前月と比較可能な10業界中、5業界が改善、1業界が悪化、4業界が横ばいとなった。『製造』は、業界により温度差はあるものの、半導体製造装置関連産業を軸に改善している。また、景気判断の分かれ目となる50以上は、前月の3業界から、『農・林・水産』『金融』『建設』『製造』『サービス』の5業界に増加した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」45.7(前月44.4)、「6カ月後」46.0(同45.7)、「1年後」48.5(同45.7)となり、3指標とも前月および現況(45.4)を上回ったが、50未満で慎重な見方が続いている。業界別で3指標とも50以上だったのは、前月同様の『農・林・水産』『金融』『製造』に『サービス』が加わり4業界となった。

■長野県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

46.7

-0.9

5カ月ぶりに悪化

・概況

「長野」の全国順位は2ランク低下したものの、6位と依然高水準であった。「インバウンド消費、国内需要が堅調に推移している」(飲食料品卸売)、「半導体関連の好況の恩恵」(鉄鋼・非鉄・鉱業)など観光業、製造業関連で景況感に明るさはみられる。一方、「物価高や異常気象の影響で荷動きが鈍い。コストが大幅に上がって価格転嫁が追い付いていない」(運輸・倉庫)など、天候不順の影響やコスト上昇による収益の悪化、「資材価格の上昇や住宅ローンの金利上昇などで仕事量が減少する」(建設)など設備投資の抑制を懸念する声は多い。

・景気DI

「長野」の景気DIは46.7と前月比0.9ポイント低下し、5カ月ぶりに悪化した。ただし、前年同月からは6.6ポイント改善した。前月から横ばいだった「全国」を2.1ポイント上回った。都道府県別順位は6位と、前月から2ランク下がったものの、前年同月からは31ランクアップした。

・規模別DI

規模別は、2022年11月以降「大企業」が最も高く、次いで「中小企業」、「小規模企業」が続いている。悪化幅は「小規模企業」、「中小企業」、「大企業」の順で大きく、いずれも前月から悪化。規模間格差は大きい順に、「大企業」と「小規模企業」、「中小企業」と「小規模企業」、「大企業」と「中小企業」で、それぞれ拡大した。

・業界別DI

主要業界別は、引き続きインバウンド需要が好調な「旅館」を含む『サービス』が3カ月連続で改善した。一方、『製造』は6カ月ぶり、『卸売』は5カ月ぶり、『運輸・倉庫』は3カ月ぶり、横ばい挟んで『小売』は3カ月ぶり、『建設』は4カ月ぶりにそれぞれ悪化。前月からの悪化幅は、『運輸・倉庫』が8.4ポイントで最も大きかった。

・先行き見通しDI

現在より「1年後」が良くなると見通すのは、「長野」、規模別の「中小企業」と「小規模企業」、主要業界別の『卸売』、『小売』、『運輸・倉庫』、『サービス』だった。『小売』は長期になるほど改善を予想するが、ほかは一進一退を繰り返しながら改善を見込む。一方、「大企業」、『建設』、『製造』は現在より悪化を予想。

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