レポート

TDB景気動向調査2026年9月(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)

■近畿ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.3

-0.1

5カ月ぶりに悪化

・概況

「半導体関連を中心に足下の需要は相対的に旺盛」(大阪府、鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)との声に代表されるように、半導体やデータセンター関連を中心とした設備投資需要が景況感を下支えしている。金利上昇を見据えた投資判断も一部でみられ、『製造』や『建設』の改善につながった様子もうかがえる。ただ、円安や人手不足などに起因する物価高は企業収益を圧迫し、消費マインドの低下も色濃く表れ始めている。先行きについても、見通しDIの改善幅は小さく力強さを欠くなか、景気は当面、一進一退で推移する可能性が高い。

・景気DI

『近畿』(43.3、前月比0.1ポイント減)は5カ月ぶりに悪化。物価高や金利上昇、人手不足などの影響を受けた不透明感は依然として強く、回復傾向が一服した。府県別では「京都」「大阪」が5カ月ぶりに悪化。前月比横ばいだった全国(44.6)との格差は僅かに拡大したが、ブロック別順位は前月と同じ6位だった。

・規模別DI

「大企業」(48.8、前月比0.2ポイント減)、「中小企業」(42.4、同0.1ポイント減)ともに5カ月ぶりに悪化。両者の規模間格差は6.4ポイントと、2025年6月から16カ月連続で5ポイントを上回る高水準で推移している。他方、「小規模企業」は4カ月連続で改善し、7カ月ぶりに40台を回復した。

・業界別DI

設備投資需要を追い風に、「鉄鋼・非鉄」「機械」「電機」の好調ぶりが目立つ『製造』が5カ月連続で改善。『建設』『小売』も改善した。ただ、物価上昇に伴う値上げが続く『卸売』は5カ月ぶりに悪化。『運輸・倉庫』は燃料価格の変動懸念から再び40を割った。『サービス』は天候不順で娯楽・レジャー分野が悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比0.2ポイント増)は5カ月連続で改善。「6カ月後」(同0.4ポイント増)と「1年後」(同0.2ポイント増)は2カ月連続で改善した。ただ、3指標がそろって改善したのは、府県別では「滋賀」「和歌山」、業界別では『建設』『製造』『運輸・倉庫』、規模別では「中小企業」のみにとどまった。

■大阪府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.9

-0.4

5カ月ぶりに悪化

・概況

中東情勢に収束の兆しが見えない中、原材料価格の高騰が引き続き企業収益を圧迫しており、景況感が悪化した。企業からは「仕入れ価格高騰、資材物流費などのコストが上昇している」(飲食料品卸売)などの声が聞かれ、価格転嫁に苦戦する様子がうかがえた。他方、半導体など成長分野に関連する一部の業種の受注は好調を維持している。業界別では『サービス』の先行き3指標は悪化しており、物価高による個人消費停滞を懸念する声は多く、一般消費者に近い業界では景況感改善に大きな期待は難しいだろう。

・景気DI

「大阪」は前月比0.4ポイント減の43.9と、5カ月ぶりに悪化した。物価高やコスト上昇を指摘する声が広がっており、全国(44.6、同横ばい)との格差(大阪-全国)は▲0.7ポイントと前月から拡大。都道府県別順位は18位と2ランクダウンした。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.2ポイント減の48.7となり、2カ月ぶりに悪化した。一方で、「中小企業」は同0.5ポイント悪化の42.9となり、5カ月ぶりに悪化した。規模間格差は同0.3ポイント拡大し5.8ポイントとなった。なお、「小規模企業」は前月横ばいの40.1だった。

・業界別DI

9業界中4業界で改善したものの、3業界で悪化した。『建設』は5カ月連続、『運輸・倉庫』は2カ月連続で改善した。また、『小売』は3カ月ぶり、業界別トップの『不動産』は2カ月ぶりに改善した。一方で、建築資材や自動車関連を中心に『製造』は5カ月ぶり、『卸売』は3カ月ぶりに悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月横ばい)、「6カ月後」(同0.5ポイント増)、「1年後」(同0.2ポイント増)と、6カ月以上の指標で2カ月連続して改善した。業界別では、『サービス』の先行き3指標が悪化した。また、規模別では「大企業」が「3カ月後」「6カ月後」で悪化した一方、「中小企業」は先行き3指標で改善した。

■京都府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.2

-0.5

5カ月ぶりの悪化、先行きに慎重姿勢

・概況

「京都」の景気DIは5カ月ぶりに悪化した。「物価高、金利高、資材高、土地価格高騰により住宅購入マインドが低下」(卸売)、「値上げ前の駆け込み受注があるが、値上げ後は反動で受注減の予想」(卸売)など先行きを懸念する声は依然として多い。10月~11月は秋の行楽シーズンを迎え、観光業界を中心に景況感が一時的に回復することが予想されるが、企業のコスト負担は増加傾向にあるため、当面は一進一退で推移する可能性が高い。

・景気DI

「京都」の景気DIは前月比0.5ポイント減の44.2となり、5カ月ぶりに悪化した。2カ月ぶりに『全国』(44.6)を下回り、格差は▲0.4ポイント(前月+0.1ポイント)となった。都道府県別の順位は15位(同14位)に後退したが、『近畿』の順位は1位(同2位)となった。

・規模別DI

「大企業」は52.9(前月50.0)、「中小企業」は43.0(同43.9)、「小規模企業」は40.2(同40.8)となり、「大企業」のみ改善した。「大企業」の改善と「中小企業」の悪化により、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は9.9(同6.1)に拡大した。

・業界別DI

『不動産』『サービス』が前月比3ポイント以上悪化したほか、『卸売』『小売』も悪化した。『卸売』は23カ月連続の40割れと停滞が続く。他方、『製造』は7年9カ月ぶりに49を、『建設』は6カ月ぶりに45を上回るなど、回復の兆しがみられる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」45.5(前月45.8)、「6カ月後」44.9(同45.5)、「1年後」44.3(同44.6)と全指標で前月を下回った。業界別では『建設』『サービス』が全指標で悪化、規模別では「中小企業」が全指標で悪化した。金利が上昇局面に入ったことで、先行きを懸念する企業が増加傾向にある。

■兵庫県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.1

0.5

4カ月連続の改善

・概況

「兵庫」の景気DIは4カ月連続の改善となった。引き続き『製造』の回復傾向は底堅く、5カ月連続の改善。「液晶・半導体業界ともに好調」というコメントのように精密機械や電気機械、輸送用機械などは好調を維持している。一方8月に猛暑需要で大幅に改善していた『小売』は、9月については天候不順などもあり悪化。引き続き、厳しい個人消費のもと苦戦が続いている。今後については中東情勢と原油相場などの影響、為替や政策金利が引き上げられた金利動向、物価高と個人消費の動向が注目される。

・景気DI

「兵庫」の景気DIは前月比0.5ポイント増の42.1で4カ月連続の改善となった。前年同月比でも0.1ポイント上回った。全国順位は34位(前年同月24位)。『全国』は前月比横ばいの44.6、『近畿』は同0.1ポイント減の43.3で5カ月ぶりの悪化となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比横ばいの46.9だった。「中小企業」は同0.6ポイント増の41.6、うち「小規模企業」は同0.6ポイント増の39.8でともに4カ月連続の改善となった。規模間格差は5.3ポイント(前月5.9)と0.6ポイント縮小した。

・業界別DI

10業界中4業界で改善。『建設』は、前月比3.0ポイント増の41.5で3カ月ぶりの改善。『製造』は同0.4ポイント増の44.7で5カ月連続の改善。他方、『小売』は同1.2ポイント減の34.4で2カ月ぶりの悪化、『不動産』は同0.6ポイント減の43.2で2カ月連続の悪化となった。

・先行き見通しDI

3カ月後は前月比0.1ポイント増、6カ月後は同0.2ポイント増、1年後は同0.2ポイント減と2指標で改善。業界別では『製造』『卸売』で全指標改善。一方、『建設』『不動産』『小売』『サービス』で全指標悪化となった。規模別では「大企業」が全指標改善となった。

■滋賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.9

-1.7

3カ月ぶりに悪化、近畿ブロック内順位は2位に後退

・概況

「滋賀」の景気DIは前月比1.7ポイント悪化した。企業からは「彦根城が世界遺産登録の国内推薦内定となったことを背景として、観光客・来街者が増えている」(小売)といった声がある一方、「戸建て新築に係る業界は非常に厳しく、廃業・倒産を含めた淘汰が鮮明になりつつある」(建設)、「食品消費税減税の影響が発生すると懸念している」(サービス)などの声が聞かれ、物価高や人手不足問題が顕在化してきているなかで、先行きに対して慎重な見方をする向きが強まっている。

・景気DI

「滋賀」の景気DIは43.9と前月比1.7ポイント悪化した。業界別では悪化が4業界、改善が2業界、横ばいが1業界となった。近畿ブロック内の2府4県別順位は2位に後退し、全国においては18位(前年同月は27位)となった。

・規模別DI

「大企業」が41.7と前月比6.6ポイント、「中小企業」が44.2と同1.0ポイント、「小規模企業」が42.4と同0.5ポイント悪化した。また、「大企業」は2カ月ぶりに「中小企業(うち小規模含む)」を下回った。

・業界別DI

前月と比較可能な7業界中4業界で悪化、2業界で改善、1業界で前月比横ばいとなった。『不動産』『製造』が改善した一方で、『建設』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』が悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が47.0(前月46.1)、「6カ月後」が46.6(同44.3)、「1年後」が47.2(同45.4)だった。滋賀県景気は製造業や観光需要が下支えするものの、建設業の低迷や物価高、人手不足が重荷となり、当面は一進一退の推移が続く見通しであることから、先行きには注視が必要となろう。

■奈良県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.1

0.6

前月比改善

・概況

「奈良」の景気DIは40.1と7カ月ぶりに40台に上昇した。先行き見通しDIは、3カ月後、6カ月後、1年後ともに向上すると見越しているが、原料価格高騰や資材不足など不安視する声が多く、『卸売』『サービス』など経済状況の不安定化により先行きが想定できない。個人の消費マインドは回復せず買い控えが続くものと予想され、今しばらく不透明な状況が続くと思われる。

・景気DI

「奈良」の景気DIは40.1となり、7カ月ぶりに40を上回った。「全国」(44.6)との格差は4.5(前月5.1ポイント)と大きい状態であった。『近畿』内では前月唯一の30台であったところから上昇し40.1となったものの、都道府県別順において42位と下位にとどまった。

・規模別DI

「大企業」は50.0と前月比3.3ポイント悪化、「中小企業」は39.2と同0.9ポイント改善、「小規模」は35.6と同2.9ポイント悪化となった。その結果から、規模間格差は10.8と前月から4.2ポイント縮まった。

・業界別DI

『建設』『不動産』『卸売』の3業界が改善、その他の業種は悪化となった。特に『製造』は2カ月、『小売』は3カ月連続の悪化となった。

・先行き見通しDI

3カ月後41.7(前月42.4)、6カ月後41.7(同41.2)、1年後42.3(同42.7)と、全てにおいて前月と比べ悪化する結果となった。規模別では「大企業」が、業種別では『製造』『サービス』が改善の見通し。

■和歌山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.4

1.8

2カ月ぶりに改善

・概況

「和歌山」は、前月比で1.8ポイント増の42.4と前月に比べて改善した。価格転嫁が少しずつ受け入れられて売上高の維持は出来ているものの、販売数量自体は増えておらず、忙しさと利益の確保が比例していない状況のようだ。新設住宅着工戸数や公共工事動向、地元スーパーや百貨店の販売動向は「ほぼ前年並み」、特産の梅干しも原料不足など、「良い話」や「明るい話題」に乏しい感は否めず、当面は現状維持の状況が続くものと見られる。このような中、白浜エリアでは観光客増加に向けた様々な前向きな取り組みが行われている。

・景気DI

「和歌山」は、前月比で1.8ポイント増の42.4と前月に比べて改善した。ただ、『全国』(44.6)と『近畿』(43.3)を下回っており、平均的な景況感にはあと一歩届いておらず、力強さにやや欠けている。

・規模別DI

「大企業」は前月と同じ53.3だったが、「中小企業」が前月比1.9ポイント増の40.6に改善した。「大企業」のDIは3カ月連続で50ポイント台を維持しており、「中小企業」のDIがどこまで改善するかが重要になっている。

・業界別DI

『サービス』(40.6)『卸売』(37.9)『運輸・倉庫(22.2)』が前月比で悪化した一方で、『小売』(58.3)『製造』(44.2)『建設』(42.7)が前月比で改善した。販売数量の減少などにより、物流量もやや減少しているもよう。

・先行き見通しDI

3カ月後が44.4(前月41.2)、6カ月後が43.5(同41.9)、1年後が42.8(同41.2)と3指標ともに見通しは改善した。前向きな見通しの回答がある一方で、中東情勢の影響度合いや円安の動向、物価高を背景とした節約志向の高まりなどもあり、依然として先行きの不透明感は拭えていない。

「近畿ブロック(2026年9月)」の詳細(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)