レポート

TDB景気動向調査2026年8月(東北ブロック:青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)

■東北ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.1

1.0

3カ月連続の改善

・概況

景気DI(41.1)は2カ月連続で40を上回った。これまで全体をけん引していた『農・林・水産』は、米価下落の見通しを受けて後退したものの、『サービス』や『製造』が全体を押し上げた。特に、人材派遣や広告関連などの法人向けサービス業、半導体関連や機械製造が好調であった。一方、物価上昇や人手不足に加え、天候不順の影響などにより、厳しい状況が続いている業種もみられる。中東情勢をはじめとする不確実性要因から、先行きは依然として不透明であり、業種間の二極化がさらに鮮明になる可能性がある。

・景気DI

景気DI(41.1)は前月比1.0ポイント増で3カ月連続の改善、2カ月連続の40台となった。『全国』(44.6)との格差は3.5で同横ばいだった。県別では、「岩手」を除く5県(「青森」「宮城」「秋田」「山形」「福島」)で改善した。

・規模別DI

「大企業」(45.0)が前月比0.6ポイント増、「中小企業」(40.7)も同1.1ポイント増となった。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は4.3となり、同0.5ポイント縮小した。

・業界別DI

改善が『運輸・倉庫』『不動産』『サービス』などの6業界、悪化が『農・林・水産』『金融』『卸売』などの4業界となった。『その他』を除く9業界では『サービス』(45.4)が最も高く、『小売』(34.9)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.6(当月比1.5ポイント増)、「6カ月後」は42.0(同0.9ポイント増)、「1年後」は42.7(同1.6ポイント増)となった。前月との比較ではすべての指標で改善した。

■青森県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.8

0.6

3カ月連続改善

・概況

「青森」の景気DIは前月から0.6ポイント増の43.8と、3カ月連続で改善した。「青森ねぶた祭」などのイベント需要を取り込んだ「飲食店」や「飲食料品小売」が全体を押し上げた。一方、地震からの復旧需要などを取り込み、改善傾向にあった『建設』が公共投資の抑制などにより悪化へ転じた。全体としては、物価高や最低賃金の高まりなど、依然としてコスト上昇圧力が強まるなか、今後もしばらくは一進一退の足踏み状態が続く可能性が高い。

・景気DI

景気DIは43.8となり、0.6ポイント改善した。都道府県別順位は19位と、前月の18位から後退したが、引き続き東北6県の中ではトップ。製造や飲食料品小売、飲食店などが全体を押し上げた。

・規模別DI

規模別では、「大企業」が、45.8と前月比横ばいとなったが、「中小企業」は43.7と同0.6ポイント改善、「小規模企業」も43.2と同0.3ポイント改善した。

・業界別DI

業界別では、改善傾向にあった『建設』が地震からの復旧需要が一巡し、前月比ダウンとなった一方、「青森ねぶた祭」や「八戸三社大祭」など県内のイベント開催を受け、飲食店のほか、お盆期間中の帰省客の増加により「飲食料品小売」などが全体を押し上げた。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、3カ月後、6カ月後、1年後のいずれも改善した。特に、『製造』や『建設』が全体を押し上げた。

■岩手県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.3

-1.7

3カ月ぶりの悪化

・概況

景気DIは3カ月ぶりに悪化し再び40を下回り、都道府県順位は全国43位に低下した。「大企業」は判断の分かれ目となる50を3カ月連続で上回ったが、「中小企業」は23カ月連続で40を下回った。業界別では『卸売』『製造』『建設』などが悪化し、先行き見通しはブロック平均に及ばなかった。円安や物価高、金利上昇の影響を慎重に見極めようとしている様子もうかがえ、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比1.7ポイント減の39.3となり、3カ月ぶりに悪化した。前月は2025年8月以来で40を超えたが、再び40を下回った。都道府県順位は前月の31位から43位に低下した(前年同月は全国35位)。

・規模別DI

「大企業」は前月から変動無く、3カ月連続で判断の分かれ目となる50以上となった。「中小企業」は同2.0ポイント減の37.9となり、23カ月連続で40を下回った。「大企業」と「中小企業」の格差(大企業-中小企業)は15.8となった(前月は13.8)。

・業界別DI

『小売』が6カ月連続で30を下回り低水準にとどまったほか、価格転嫁の取り組みなどにより前月やや持ち直した『製造』と『卸売』はそれぞれ41.7と32.1に低下した。『建設』は3カ月連続で40以上となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が41.4、「6カ月後」が41.1、「1年後」が41.9と、いずれも前月より改善した。しかし、いずれもブロック平均に及ばず、先行き見通しについては慎重姿勢を崩していない様子がうかがえる。

■宮城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.4

1.9

3カ月連続の改善

・概況

景気DI(39.4)は前月比1.9ポイント増と3カ月連続で改善、10業界中7業界で前月から改善した。しかし、1年半以上景気DIは40を下回り、低水準の状況が続いている。物価高の影響からさまざまな製品のコストが膨み、企業の収益を圧迫、消費者に選ばれるため価格以外で強みを生み出すことの必要性が増している。宮城県では半導体関連工場やデータセンターなどの進出も噂され、地域経済の起爆剤となる可能性を秘めている。ただし、目先では物価高や人手不足といった課題が混在しており、景気動向は低位での推移が見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比1.9ポイント増の39.4となり、3カ月連続で改善したものの、20カ月連続で30台にとどまっている。『全国』(44.6)との比較では5.2ポイント下回ったものの、格差は前月から0.9ポイント縮小した。都道府県別順位は42位と前年同月(47位)から改善したが依然として低位にとどまった。

・規模別DI

「大企業」(43.3)が前月比0.9ポイント増、「中小企業」(38.7)が同1.9ポイント増となった。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は4.6で同1.0ポイント縮小した。

・業界別DI

改善は『運輸・倉庫』『不動産』『サービス』などの7業界、悪化は『農・林・水産』『卸売』の2業界、横ばいは『金融』の1業界となった。『その他』を除く9業界では『金融』『不動産』(各50.0)が最も高く、『小売』(28.7)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は40.9(当月比1.5ポイント増)、「6カ月後」は40.7(同1.3ポイント増)、「1年後」は42.0(同2.6ポイント増)となった。前月との比較では全ての指標で改善した。

■秋田県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.5

1.2

2カ月ぶりに改善

・概況

景気DIは、『東北』『全国』がそれぞれ前月比1.0ポイント改善した。『東北』では唯一岩手県が悪化した一方、本県を含む5県が改善している。生成AIの急速な普及に伴うAIサーバーやデータセンターの需要急増により半導体業界では受注面で活況を呈している企業もある。一方で物価高や金利上昇により個人消費、企業の設備投資が伸び悩んでいる側面もある。このため、依然として先行きの景気は不透明と言わざるを得ず、今後も一進一退の状況が続くと予想される。

・景気DI

「秋田」の景気DIは42.5と7月から1.2ポイントアップし、2カ月ぶりに改善した。『東北』6県では前月に引き続き第3位であり、『東北』(41.1)を1.4ポイント上回った。また、都道府県順位は前月の第29位から第28位にアップしたものの『全国』(44.6)を2.1ポイント下回った。

・規模別DI

規模別では、「大企業」(47.9)は前月と同水準であったが、「中小企業」(41.9)は同1.2ポイント改善した。ただし、「中小企業」の中でも「小規模企業」(32.1)は同0.7ポイントダウンした。

・業界別DI

業界別では、『農・林・水産』『その他』の2業界が前月比で悪化した。一方、『運輸・倉庫』『不動産』は横ばい、『サービス』『製造』『卸売』『小売』『建設』の5業界が改善した。改善した中では『製造』(51.0)と『卸売』(47.6)のいずれも同3.6ポイント増が目立った。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、中東問題の長期化やさらに予想される物価高騰等により、「3カ月後」43.1、「6カ月後」42.3、「1年後」42.5と、いずれも前月よりは増加したが、当面は低調な状況が続くとの見方が強い。

■山形県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.2

1.7

4カ月連続改善

・概況

「売り上げ・利益とも確保されている」(運輸・倉庫、小規模企業)、「技術者単価が向上しており、給与も上がっている」(サービス、中小企業)など価格転嫁が進む事業者がある一方、「労働集約型産業であり、人材難と最低賃金改定による影響を正面から受けている」(小売、小規模企業)、「紙やインクなど原材料高騰が続き、価格転嫁が難しい状況。印刷物の受注減少、賃金上昇により粗利が減少」(出版・印刷、中小企業)、「物価高騰および人手不足」(サービス、中小企業)など、物価高に加え、人件費上昇が企業運営に影響を及ぼす状況がうかがえる。

・景気DI

「山形」の景気DIは前月比1.7ポイント増の43.2となり、4カ月連続で改善した。『全国』のDIは前月比1.0ポイント上昇し44.6となり、同様に4カ月連続改善、『東北』は1.0ポイント改善し41.1と3カ月連続改善となった。「山形」のDIが43を上回るのは2018年12月調査以来の高い水準となる。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.1ポイント改善し39.4となり3カ月ぶりに改善した。一方「中小企業」は4カ月連続の改善となり、同1.7ポイント上昇して43.5となった。うち「小規模企業」は2カ月連続の改善となり前月比3.1ポイント改善の41.0を示した。

・業界別DI

業界別DIは比較可能な9業界のうち『建設』『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界は前月比改善を示し、『農・林・水産』は横ばい、『金融』『不動産』の2業界のみ悪化した。『製造』は3カ月連続改善、『建設』『運輸・倉庫』『サービス』は2カ月連続で改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比0.6ポイント増の44.0と4カ月連続の改善を示し、「6カ月後」は同0.7ポイント増の43.5となった。一方で、「1年後」の見通しについては5カ月ぶりに悪化し、同0.5ポイント減の44.0となった。

■福島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.0

1.4

2カ月連続の改善

・概況

5業界が改善したことを受け、「福島」の景気DIは40.0となり、前月比で1.4ポイント上昇した。企業からは「ほぼすべての産業機械が活況で対応しきれず、リピート品も含めて転注依頼や辞退をせざるを得ない」(製造)という声が聞かれる。半導体装置関連の製造が好調である一方「値上げが尋常なレベルではない」(製造)といった声も寄せられ、物価高騰、価格上昇などの影響が中小企業の経営にも着実に波及しており、当面の景気動向は不透明かつ不安定な状態で推移する可能性が高い。

・景気DI

「福島」の景気DIは、40.0と7月を1.4ポイント上回って2カ月連続で改善し、6カ月ぶりに40台となった。『全国』の景気DIは、前月(43.6)を1.0ポイント上回り、44.6となった。『東北』では、「岩手」を除く5県(青森、宮城、秋田、山形、福島)で改善した。

・規模別DI

「大企業」(44.4)は前月比0.6ポイント上昇、「中小企業」(39.6)は同1.6ポイント上昇、「小規模企業」(34.9)は同0.3ポイント低下した。格差(大企業-中小企業)は4.8となり、6カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

『運輸・倉庫』『サービス』『小売』『卸売』『製造』は改善したが、『建設』のみ悪化した。『運輸・倉庫』は前月比11.1ポイント上昇し、6カ月ぶりに40台に改善したほか、『小売』は2カ月連続で改善したが、『建設』は2カ月ぶりに30台へ悪化した。

・先行き見通しDI

「1年後」の先行き見通しDIは4業界が当月からの改善を見込んでいる。『建設』は当月(39.3)から4.7ポイント、『製造』『運輸・倉庫』『サービス』も改善を見込んでいる。「福島」全体では当月(40.0)から1.7ポイント改善する見通しとなっている。

「東北ブロック(2026年8月)」の詳細(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)