レポート

TDB景気動向調査2026年8月(南関東ブロック:埼玉・千葉・東京・神奈川)

■南関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.5

1.3

3カ月連続で改善

・概況

『南関東』の景気DIは3カ月連続で改善し、全国順位でも18カ月連続でトップを維持した。「半導体関連の引き合いが旺盛」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)といった声が複数寄せられ、半導体関連の需要増が景況感を押し上げた。また、夏季休暇や季節需要も幅広い業種へプラスに働いた。原材料費や人件費の上昇、消費者の節約志向、円安や金利上昇などの下押しリスクは依然として多いものの、今後は緩やかな改善が見込まれる。

・景気DI

『南関東』の景気DIは前月比1.3ポイント増の47.5となり、3カ月連続で改善。ブロック別の全国順位では18カ月連続でトップを維持した。

都県別では、1年ぶりに1都3県すべてが上向き、なかでも「東京」は同1.4ポイント増の48.5と管内をけん引した。

・規模別DI

すべての規模が、2カ月ぶりにそろって改善した。「大企業」は前月比1.2ポイント増の50.9となり、2カ月ぶりに50台を回復。「中小企業」(同1.4ポイント増)と「小規模企業」(同1.5ポイント増)はともに3カ月連続で改善した。「中小企業」の改善幅が「大企業」を上回ったことで、規模間格差は、4.1となり前月から0.2ポイント縮小した。

・業界別DI

10業界中8業界で改善、2業界で悪化した。都市再開発などの工事需要を背景に『建設』は3カ月連続で改善した。また、『製造』も半導体関連や自動車部品の需要が堅調で、4カ月連続で上向いた。さらに、『小売』はエアコンなどの季節需要が下支えし、6カ月ぶりに40台を回復した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は48.9(前月47.5)、「6カ月後」は48.3(同47.4)、「1年後」は48.2(同47.7)となり、すべての指標で改善した。4カ月連続で3指標が改善する『製造』は、引き続きAIやデータセンター関連需要などが期待される。また、『建設』『不動産』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』でも、3指標すべてで改善が見込まれる。

■埼玉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.1

0.3

2カ月連続の改善

・概況

埼玉県の景気DIは前月比0.3ポイント増の45.1で、2026年で最も高くなった。半導体やインバウンド関連など一部業界が活況であることが全体の景況感を押し上げた。「景気が良い」と回答した企業からは、「中小製造業では後継者不足や採算悪化で廃業が進んでいる。生産能力を維持し、設備投資を続けてきた企業に受注が集中している」(製造)との声が聞かれた。一方で、中東情勢による資材高、人件費の高騰で、需要はあるが利益確保が難しい状況も続いている。依然として厳しい状況だが、見通しはやや持ち直しの傾向がみられる。

・景気DI

埼玉県の景気DIは2カ月連続で改善し、前月比0.3ポイント増の45.1と、2026年で最も高くなった。全国は44.6で前月比1.0ポイント増、『南関東』は47.5で同1.3ポイント増となり、ともに改善した。埼玉県の前月からの上昇幅は管内で最も低かった。全国順位は13位となり、前月の9位から4ランク後退した。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.9ポイント増の46.9、「中小企業」は同0.2ポイント増の44.8、「小規模企業」は同0.5ポイント増の45.2となり、いずれの規模も改善した。「小規模企業」は4カ月連続で改善し、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は2.1ポイントで前月から0.7ポイント拡大した。

・業界別DI

9業界中、改善は5業界、悪化は4業界だった。『金融』は前月比8.3ポイント増の58.3、『製造』は同1.7ポイント増の45.9となり、それぞれ2026年で最も高くなった。『サービス』は同0.8ポイント増となり、5カ月ぶりに50を超えた。一方で、『小売』は同3.6ポイント減の34.6で、今年最低となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」47.5(前月46.3)、「6カ月後」47.1(同46.0)、「1年後」48.1(同46.7)となった。3指標すべてで前月から1.0ポイント以上高くなり、全国平均は上回ったが、管内平均は下回った。業界別では「小売」が3指標すべてで30台となり、先行きが厳しい状況になっている。

■千葉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.2

2.1

2カ月ぶりに改善

・概況

「千葉」の景気DIは45.2となり、前月比2.1ポイント増加し2カ月ぶりに改善、2024年12月(45.0)以来の水準となった。企業からは「国内需要は堅調」(化学品卸売)、「足元では客単価が上昇している」(飲食店)などの声が聞かれた一方で、「千葉豪雨の影響でマインドが低下している」(機械器具卸売)などの声も聞かれた。また、物価や消費動向、消費税減税、為替、金利、国際情勢などを要因として、「先行きについては不透明」とする慎重な見方の企業が増えた。

・景気DI

「千葉」の景気DIは45.2となり、前月比2.1ポイント増加し、2カ月ぶりに改善した。全国は前月比1.0ポイント増の44.6となり、「千葉」は全国を0.6ポイント上回り、全国順位は前月の20位から12位へと上昇した。

・規模別DI

「大企業」は46.6で前月比0.7ポイント増加し、2カ月ぶりに改善。「中小企業」も同2.2ポイント増の45.0となった。「中小企業」の改善幅が「大企業」を上回ったことで、規模間格差は1.6ポイント(前月3.1ポイント)へと縮小した。

・業界別DI

『農・林・水産』『建設』『不動産』『製造』『卸売』『サービス』の6業界は前月比改善した一方で、『金融』『小売』『運輸・倉庫』の3業界は悪化した。『製造』は3カ月連続で改善、『サービス』は7カ月ぶりに改善し4カ月ぶりに50台を回復した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は47.2(前月45.1)、「6カ月後」は46.9(同45.6)、「1年後」は46.1(同46.2)となり、「3カ月後」「6か月後」は前月比改善したが、「1年後」は悪化した。また、3指標とも足元の景況感より高いものの、先へ行くほど低くなっており、先行きへの不透明感がうかがえる。

■東京都

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

48.5

1.4

7年7カ月ぶりの高水準

・概況

「東京」の景気DIは48.5と前月から1.4ポイント改善し、2019年1月以来の高水準となった。企業からは「売買・賃貸ともに金額が上昇しており、買い手、借り手が絶えず、賃料を値上げして新規募集しても借り手がつく状態」(不動産)や「保険料が全体的に値上がりしているので売上高にはつながるかと思う」(金融)といった声が聞かれる。一方で、好調な『運輸・倉庫』でも、景気の改善を実感しつつも、人件費の高騰や物価高により利益を出すのは難しいとの見方もあり、先行きは下振れリスクを抱えつつ、緩やかな改善が見込まれる。

・景気DI

「東京」の景気DIは48.5(前月47.1)と大幅に改善した。2019年1月(49.1)以来、7年7カ月ぶりの水準となった。都道府県別順位は前月(3位)と横ばいとなったものの、1位「沖縄」(50.5)との差は、前月の5.3ポイントから2.0ポイントまで縮小した。

・規模別DI

「大企業」は51.7(前月比1.0ポイント増)、「中小企業」は47.5(同1.4ポイント増)、「小規模企業」は46.2(同1.2ポイント増)と、全規模で1.0ポイント以上改善した。なお、規模間格差は4.2ポイントと2カ月連続で縮小した。

・業界別DI

全10業界中、7業界が改善、2業界が悪化、1業界が横ばいだった。堅調な荷動きに支えられる『運輸・倉庫』(49.2)と半導体などで好調な『製造』(47.1)は、いずれも5カ月連続で改善した。オフィス・住宅需要に加え、再開発や不動産投資が活発化した『不動産』(54.7)も前月から3.1ポイント改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は49.4(前月48.1)、「6カ月後」は48.9(同47.7)、「1年後」は48.7(同48.0)と、いずれも改善した。業界別では、当月DIが前月から横ばいだった『金融』を含む7業界が3指標すべてで改善した。一方で、近年高水準を維持している『不動産』の「1年後」は前月から悪化した。

■神奈川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.4

1.2

3カ月連続の前月比改善

・概況

「神奈川」のDIは3カ月連続の前月比改善となった。「半導体市場が活況」(化学品卸売)など、特に半導体、AI、データセンター、宇宙関連における需要増や期待の声が聞かれた。一方で、「建売原価と不動産価格上昇に最終消費者がついてこれない」(不動産)、「仕事はあるが、資機材・人件費高騰で利益が出にくい」(メンテナンス・警備・検査)など、コスト上昇や人手不足に加え、個人消費の低迷や天候不順、天災なども重荷となった。中東情勢や為替動向など不透明要因も多く、今後は期待と警戒感が交錯する展開が続くとみられる。

・景気DI

「神奈川」の景気DIは47.4と前月(46.2)から1.2ポイント上昇し、3カ月連続の前月比改善となった。年初の1月(47.3)以来の47.0以上で、今年の最高値となった。全国順位は5位で、前月(4位)から下落したが、全国(44.6)を2.8ポイント上回った。

・規模別DI

「大企業」は50.9(前月比2.2ポイント増)、「中小企業」は47.0(同1.2ポイント増)、「小規模企業」は45.6(同2.2ポイント増)とすべてで改善した。「中小企業」「小規模企業」は3カ月連続の改善で、それぞれ今年の最高値となった。「大企業」と「中小企業」の格差は3.9ポイントとなった。

・業界別DI

9業界中、6業界で前月比改善となった。『建設』『製造』『運輸・倉庫』はそれぞれ3カ月連続の改善となり、『建設』は5カ月ぶりの50.0超え、『製造』は2018年10月(50.8)以来の50.0以上となった。『サービス』は7カ月ぶりに改善。『不動産』は全業界で唯一悪化し、『小売』は低水準が続いている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は49.2(前月48.1)と前月比改善したのに対し、「6カ月後」は48.2(同48.3)、「1年後」は47.8(同48.3)とそれぞれ悪化となった。『金融』を除く8業界で「1年後」が50.0を下回っており、年後半に向けた短期的な改善期待はうかがえるものの、中長期的には慎重な見方が残っている。

「南関東ブロック(2026年8月)」の詳細(埼玉・千葉・東京・神奈川)