レポート

TDB景気動向調査2026年8月(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)

■九州ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.5

-0.4

3カ月ぶりに悪化

・概況

『九州』の景気DIは、43.5と3カ月ぶりに悪化した。企業からは「熊本地震の直後は観光客の減少や営業停止が起こり、宿泊、飲食、小売などの地域サービス業に打撃が出ている」(熊本県、メンテナンス・警備・検査業)などの声が聞かれる。DI50台は、県別では「沖縄」、規模別では大企業のみ。インバウンド需要などは比較的堅調を維持しているものの、令和8年熊本地震の影響は大きく、当面、一進一退の推移が見込まれる。

・景気DI

『九州』(43.5、前月比0.4ポイント減)は3カ月ぶりに悪化した。10業界中6業界、8県中4県で悪化。『九州』8県中10位以内は3県。先行き見通しDIは「3カ月後」が4カ月連続で改善、「6カ月後」「1年後」は2カ月ぶりに改善した。ブロック別では全国5位。

・規模別DI

「大企業」(50.0、前月比0.5ポイント増)は3カ月連続で改善、「中小企業」(42.7、同0.4ポイント減)は3カ月ぶりに悪化。41カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。「小規模企業」は40.0(同1.2ポイント減)と4カ月ぶりに悪化。

・業界別DI

『建設』(46.7、前月比0.3ポイント増)など4業界で改善したものの、『金融』(40.7、同1.5ポイント減)、『不動産』(41.3、同5.0ポイント減)など10業界中6業界で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(46.0、前月比0.8ポイント増)は4カ月連続、「6カ月後」(46.8、同1.2ポイント増)、「1年後」(47.3、同0.7ポイント増)は2カ月ぶりに改善した。業界別では、『不動産』の1業界で全指標悪化したものの、『農・林・水産』など6業界で全指標が改善した。

■福岡県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.9

-0.1

3カ月ぶりの悪化

・概況

「福岡」の景気DIは、底堅いインバウンド需要などはあるものの、物価高や令和8年熊本地震などによる先行き不透明感もあって、3カ月ぶりに悪化した。企業からは「土地売り、中古戸建の需要が活発」(不動産)などのコメントがある一方で、「住宅ローンの金利は上がり、建設資材は値上がりし、景況感どころではない」(建設)などの声があった。インバウンド効果等により一部の業界は好調を維持しており、物価上昇や熊本地震に伴う地域経済への影響などが懸念されることから、今後も景気DIは一進一退の推移が見込まれる。

・景気DI

「福岡」(45.9、前月比0.1ポイント減)は、3カ月ぶりの悪化。業界別では、『建設』『不動産』『小売』『サービス』で悪化。『農・林・水産』『金融』など5業界で改善。『その他』は横ばい。都道府県別順位は9位で前月(5位)よりダウン。『九州』8県での順位は3位。

・規模別DI

「大企業」52.0(前月比2.0ポイント増)は5カ月連続の改善。「中小企業」44.7(同0.5ポイント減)、「小規模企業」43.2(同1.0ポイント減)はいずれも3カ月ぶりの悪化。規模間格差は「大企業」が「中小企業」を7.3ポイント上回った。

・業界別DI

『建設』(48.6、前月比0.8ポイント減)、『不動産』(48.0、同2.0ポイント減)、『小売』(40.9、同0.5ポイント減)、『サービス』(49.1、同1.1ポイント減)で悪化。『農・林・水産』(41.7、同2.8ポイント増)、『金融』(45.8、同1.4ポイント増)など5業界で改善。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(47.8、前月比0.5ポイント増)、「6カ月後」(48.4、同0.3ポイント増)は4カ月連続の改善、「1年後」(48.5、同0.3ポイント減)は、2カ月連続の悪化。3指標で『不動産』のみ、すべて悪化。『農・林・水産』『金融』『製造』『その他』はすべて改善。

■佐賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.7

1.5

4カ月連続で改善

・概況

「佐賀」の景気DIは前月から1.5ポイント改善し44.7となり、4カ月連続で改善した。4カ月連続で改善したのは2021年9月~12月以来である。全国を上回ったのは3カ月ぶりで、全国と大差ない状況で推移しているにも関わらず、都道府県別順位が上位に位置していることから、地域間の格差が広がっていることがわかる。業界間でも商材によって明暗が出て格差が広がっているように見受けられ、今後の景気の行方が懸念される。

・景気DI

「佐賀」の景気DIは44.7と、前月から1.5ポイント上昇し4カ月連続の改善となった。4カ月連続で改善するのは2021年9月~12月以来。『九州』は小ぶりに悪化したが、『全国』は改善しており、「佐賀」の都道府県別順位は前月の18位から14位に上昇した。

・規模別DI

「大企業」「中小企業」「小規模企業」のいずれも前月より改善した。「大企業」は48.6と前月より4.7ポイント、「小規模企業」は41.7と6.3ポイントと、前月比で大幅に改善した。「中小企業」の改善幅が小さく、規模間格差は4.8ポイントと前月より4.0ポイント拡大した。

・業界別DI

前月から悪化した業界はなく、『小売』『運輸・倉庫』に変動はなかったが、その他の業界すべて改善した。『建設』は5.6ポイント改善し52.6と大幅に改善し、6カ月ぶりに50を上回り回復した。『サービス』は9カ月ぶりに50台となったほか、『製造』『卸売』では半導体や船舶関連の好調が後押しした。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は45.8(前月44.9)、「6カ月後」は47.2(同45.8)、「1年後」は48.3(同46.0)と、3指標すべてで前月を上回った。業界によって景気の濃淡は見受けられるが、製造業や建設業で改善を見込んでいることも寄与した。

■長崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.5

-0.2

4カ月ぶりに悪化

・概況

「長崎」の景気DIは前月比0.2ポイント減の41.5と4カ月ぶりに悪化した。「自治体からの大型案件に期待」(建設)など政策に期待する声や中東情勢の収束による需要回復を期待する声が多く聞かれた。他方で、物価高の影響や地方向けの需要が減少するなど県内人口の減少や市場規模の縮小を懸念する声も聞かれた。「長崎」の景況感は、今後も一進一退を繰り返しながらも景況感は底堅く、引き続き緩やかな回復局面が継続すると見込まれている。

・景気DI

「長崎」の景気DIは前月比0.2ポイント減の41.5となり、4カ月ぶりに悪化した。『九州』8県中4県で悪化し、中でも熊本県が地震の影響で大きく悪化したことから、九州ブロック内順位は前月から1つ上がって5位となった。都道府県別順位は、前月の27位から7つ下がって34位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.5ポイント減の42.4、「中小企業」は同0.1ポイント減の41.4、「中小企業」のうち「小規模企業」は同2.1ポイント減の37.5となった。「大企業」の悪化幅が「中小企業」を上回ったため、規模間格差は前月比0.4ポイント縮小して1.0となった。

・業界別DI

前月から改善した業界は『農・林・水産』『製造』『卸売』『運輸・倉庫』の4業界となった。悪化した業界は『建設』『不動産』『サービス』の3業界となった。中でも『農・林・水産』『運輸・倉庫』が大幅に改善しているのが目立つ。『金融』『小売』は前月比横ばいであった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」43.4(前月比0.5ポイント増)、「6カ月後」44.6(同1.5ポイント増)、「1年後」45.5(同1.2ポイント増)と先へ行くほど改善の見通しとなった。業種別にみると『不動産』『サービス』が先へ行くほど改善の見通しとなっている。

■熊本県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.1

-4.9

景況感急落、震災影響で3カ月ぶり悪化

・概況

「熊本」の景気DIは前月比4.9ポイント減の39.1となり、3カ月ぶりに悪化した。「半導体関連の投資が好調になっている」(建設)との声がある一方、「令和8年熊本地震の影響により主要なイベントが中止となった」(サービス)など不安視する声も聞かれた。半導体関連投資や復興需要は下支え要因となるものの、イベント中止や宿泊キャンセルの影響は幅広い業種に及んでおり、当面の景気は弱含みで推移するとみられる。

・景気DI

「熊本」の景気DIは39.1で前月比4.9ポイント減と3カ月ぶりに悪化した。また、『九州』(43.5)は前月比0.4ポイント減となり、全国(44.6)は同1.0ポイント増となった。なお、「熊本」の都道府県別順位は第44位(前月第12位、前年同月第3位)と前月から32ランク下がった。

・規模別DI

「大企業」の景気DIは42.4と前月から7.6ポイント減となり、「中小企業」は38.8と同4.8ポイント減となった。37カ月連続で「大企業」が「中小企業」の景気DIを上回り、規模間格差(大企業-中小企業)に関しては「中小企業」よりも「大企業」の悪化した幅が大きく、差は3.6ポイントに縮小した。

・業界別DI

9業界中、改善した業界は『建設』『運輸・倉庫』の2業界となった。一方で悪化した業界は『農・林・水産』『金融』『不動産』『製造』『卸売』『小売』『サービス』の7業界となった。金利上昇や原材料価格の高止まり、人件費の上昇が企業収益を圧迫し、悪化した業界が増加した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは「3カ月後」が43.2(前月44.7)、「6カ月後」は45.2(同44.0)、「1年後」は46.4(同46.0)となった。震災による経済活動停滞への懸念などから「3カ月後」は悪化した。一方で、復旧・復興工事や関連需要への期待から、「6カ月後」「1年後」は改善した。

■大分県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

46.6

2.8

2カ月ぶりに改善

・概況

『運輸・倉庫』は夏場の荷動きが好調であったほか、外航でも円安により堅調な推移が続くとみて、DIは大幅に改善した。9月の飲食料品値上げは約4,900品目となり、価格転嫁が進むとの期待から『製造』『卸売』も改善した。賃上げを背景に消費者マインドにやや持ち直しの動きがみられ『小売』も改善した。一方、金利上昇に伴う新築住宅着工戸数の鈍化から住宅関連業界の受注は弱含みが続いているほか、各種商品の価格上昇から、建設や卸売、小売などは先行きを不安視する意見が多く、県内の景気動向は一進一退となる可能性がある。

・景気DI

「大分」の景気DIは46.6となり、2カ月ぶりに改善した。全国順位は第8位(前月第13位・前年同月第5位)と前月から順位を5つ上げた。判断の分かれ目となる「50」を20カ月連続で下回っている。

・規模別DI

「大企業」は前月比4.3ポイント増の52.4、「中小企業」は同2.9ポイント増の46.1となり、「中小企業」のうち「小規模企業」は同1.5ポイント増の44.6となった。規模間格差は6.3となり、10カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

業界別では『運輸・倉庫』が前月比27.8ポイント増と大幅改善し50.0となった。『小売』は同9.1ポイント増の50.0と改善した。一方、『サービス』は同0.8ポイント減の50.0となり全業界の中で唯一悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は49.2(前月46.2)、「6カ月後」50.2(同47.0)、「1年後」49.2(同47.6)といずれも前月から改善した。業界別では、『製造』『サービス』は3指標いずれも50を上回ったが、『卸売』『小売』は3指標いずれも「50」を下回った。

■宮崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

36.2

1.3

2カ月連続改善

・概況

宮崎県経済は、熊本地震に伴う九州全体の観光需要減退や物流寸断により、宿泊・飲食業を中心に大きな打撃を受けた。さらに近年の原材料・エネルギー価格高騰による物価高が重なり、県民の購買力低下や企業の収益圧迫を招いている。特に農業や畜産業などの基幹産業では、資材費や飼料費の上昇が経営を圧迫した。一方で、半導体産業の九州集積に伴う好影響やインバウンド回復などのプラス要因もあるが、災害リスクや物価高の長期化が消費マインドを冷え込ませ、景気の足踏み状態が続く要因となっている。

・景気DI

「宮崎」の景気DIは36.2で、前月比1.3ポイント増と2カ月連続改善した。『九州』(43.5)と比較して7.3ポイント減、全国(44.6)と比較しても8.4ポイント減となった。全国順位に関しては、前月同様に47位と2カ月連続最下位となった。

・規模別DI

「大企業」は45.2で前月比9.6ポイント減となった。「中小企業」は35.4で2.3ポイント増となった。企業間格差(大企業-中小企業)は9.8となり、同11.9ポイント縮小した。「中小企業」に含む「小規模企業」は33.3で同2.3ポイント改善した。

・業界別DI

『製造』は37.2で前月比6.6ポイント増、『非製造』は36.0で同0.4ポイント増となった。『製造』『非製造』ともに2カ月ぶりに改善した。『製造』は「鉄鋼・非鉄・鉱業」が3カ月ぶりに改善した。『非製造』は、「専門サービス」が2カ月ぶりに改善する一方、「人材派遣・紹介」が2カ月ぶりに悪化した。

・先行き見通しDI

景気「3カ月後」見通しに関しては、39.6で前月比3.7ポイント増、「6カ月後」は39.6で同2.3ポイント増、「1年後」は43.0で同3.1ポイント増となった。『九州』と『全国』の「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」と比較しても「宮崎」の先行き見通しDIはそれぞれ下回った。

■鹿児島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41

1.3

3カ月連続の改善

・概況

「鹿児島」の景気DIは41.0と3カ月連続の改善となり、令和8年3月以来の40超えとなった。引き続き「物価高」や「原料調達難」、「中東情勢」に対する懸念の声や、「熊本地震」の影響を受けたとする声が聞かれた。「価格転嫁」が進んだとする声などもあがったが、依然としてマイナスの見方をする企業が過半を占めているなど、先行きへの不透明感は強い。改善は進みつつあるが、力強さに欠ける面は否めず、引き続き県内の景気動向は一進一退の状況が続くものと推察される。

・景気DI

「鹿児島」の景気DIは41.0と前月比1.3ポイント改善、『九州』は同0.4ポイント悪化の43.5、「全国」は同1.0ポイント改善の44.6となった。全国的に改善が進む中で、鹿児島の改善幅は平均を上回ったことで、都道府県別順位は前月から3つ順位を上げ36位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月から11.9ポイント改善の66.7、「中小企業」は同1.5ポイント改善となる40.1、「中小企業」のうち「小規模企業」は同1.1ポイント悪化の36.3となった。中小企業でも改善がみられたものの、大企業の改善幅が大きく、規模間格差(大企業-中小企業)は、10.4ポイントと大きく拡大し、26.6となった。

・業界別DI

『農・林・水産』『金融』『建設』『不動産』『卸売』『サービス』の6業界が改善、『製造』『小売』『運輸・倉庫』の3業界が悪化となった。業界別では一進一退の応対が続いているが、3か月連続で5業界以上が改善しており、徐々に景気が上向いていることがみてとれる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は44.2と前月比2.9ポイントの改善、「6カ月後」は44.5と3.1ポイントの改善となったほか、「1年後」も44.5と同1.3ポイントの改善となるなど各指標で改善がみられた。依然として物価高などを懸念する声も聞かれたが、価格転嫁や中長期での案件創出などもあり、見通しの改善が進んだ形となった。

■沖縄県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

50.5

-1.9

3カ月ぶりに悪化

・概況

「沖縄」の景気DIは3カ月ぶりの悪化となった。物価高騰対策として発行された「商品券・地域振興券」の効果があったとの声はあるが、全体としては、物価高及び人件費高騰と製品・原料不足の影響に加え、台風襲来の影響を受けたことが、事業規模に関係なく景況感が悪化する要因となった。また、中東情勢が落ち着かず影響が長引く可能性があり、先行き景気の「1年後」は2カ月連続の悪化と今後を不安視する声が多いため、引き続き、景況感を注視する必要がある。

・景気DI

「沖縄」の景気DIは前月比1.9ポイント(以下、P)減の50.5となった。業種別では8業界中、6業界が悪化となった。ただ、都道府県別順位は41カ月連続で全国1位が続き、『全国』(44.6)、『九州』(43.5)を上回っている。

・規模別DI

「大企業」(50.0、前月比7.1P減)は4カ月ぶりの悪化、「中小企業」(50.5、前月比1.4P減)は3カ月ぶりの悪化、「中小企業」のうち「小規模企業」(49.4、前月比4.0P減)は2カ月ぶりの悪化となり、3指標とも悪化した。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、『小売』(2.0P増)、『サービス』(2.6P増)の2業界が改善したが、『金融』(16.7P減)、『建設』(5.4P減)、『不動産』(4.8P減)、『製造』(2.7P減)、『卸売』(1.4P減)、『運輸・倉庫』(9.8P減)の6業界が悪化した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「6カ月後」は52.0(前月51.5)で2カ月ぶりの改善となったが、「3カ月後」が52.7(前月53.3)で4カ月ぶりの悪化、「1年後」は50.7(前月50.9)で2カ月連続の悪化となった。

「九州ブロック(2026年8月)」の詳細(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)