レポート

TDB景気動向調査2026年8月(北関東ブロック:茨城・栃木・群馬・山梨・長野)

■北関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.2

1.1

4カ月連続で改善

・概況

『北関東』の景気DIは前月比1.1ポイント増の44.2となり、4カ月連続で改善した。全般的に緩やかな回復トレンドにあるが、同時に、プラス・マイナスの二極化が表れている。同じ観光業でも、インバウンドの動きは良いが、国内旅行者の需要は冷え込んでいるとの声も聞かれ、同業種のなかでも見方が割れる傾向がみられる。明確な好調を示しているのは半導体分野に留まる。中東情勢を理由とした品不足は多少落ち着いた感があるものの、当月は、自然災害や天候不順(熊本、千葉)といった要因が改めて経営者心理を冷え込ませた面がある。

・景気DI

景気DIは44.2となり、前月比1.1ポイント増で4カ月連続して改善した。管内5県では「群馬」と「山梨」が悪化して、「茨城」「栃木」「長野」が改善。「茨城」は同2.9ポイント増と改善幅が大きかった。全国も同1.0ポイント増の改善。『北関東』の全国順位は3位となって前月(3位)と変わらず。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.1ポイント減の47.3、「中小企業」は同1.2ポイント増の43.8、「小規模企業」は同1.2ポイント増の41.3となった。「大企業」が若干悪化し、「中小企業」が改善したことで、規模間格差は3.5ポイントとなり前月から1.3ポイントに縮小。「中小企業」は4カ月連続で前月比改善。

・業界別DI

10業界中、改善は8業界、横ばいが1業界、悪化が1業界。改善幅が大きいのは、『金融』の3.9ポイント増、『運輸・倉庫』の3.8ポイント増。一方で、『製造』は4カ月連続して前月比改善となり、DIは50に迫る48.5となって10業界中最も高くなった。なかでも、半導体分野の好調さが目立つ。

・先行き見通しDI

「3カ月後」45.7(前月44.3)、「6カ月後」45.3(同44.1)、「1年後」45.5(同44.6)となり、3指標ともに前月を上回った。「3カ月後」が最も高くなり、「6か月後」はややダウンして「1年後」若干盛り返す見通し。DIはいずれも45台で、大きく変動する見通しとはなっていない。

■茨城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.1

2.9

3カ月連続改善

・概況

茨城県の景気DI(43.1)は3カ月連続で改善し、企業からも先行きの回復を期待する声が聞かれ始めた。ただし、原材料価格の高止まりや物価高による節約志向の強まりなど、企業の景況感には依然として弱さが残る。9月は県内各地で米の収穫期を迎える一方、概算金の下落が農業関係事業者の景況感を押し下げる可能性がある。製造業の集積が厚い茨城県は、中東情勢など海外を含む外部環境の影響を受けやすく、人手不足も重荷となっている。県内景況感は当面、一進一退の展開が続くとみられ、今後の動向を引き続き注視する必要性がある。

・景気DI

「茨城」の景気DIは43.1となり、前月から2.9ポイント上昇した。改善は7月に続き3カ月連続。中東情勢の緊張緩和期待を背景に原油価格が下落、一時80ドルを下回ったことから、原材料費やエネルギーコストの上昇が一服するとの見方が広がった。半導体関連需要や夏季商材の動きも加わり、企業の景況感が上向いた。

・規模別DI

「大企業」は41.7と前月から横ばい。円安の為替相場への懸念が重荷となった。一方、「中小企業」は43.1と前月比3.0ポイント増、「小規模企業」は41.3と同2.2ポイント増で、ともに3カ月連続改善。原油安でコスト高への懸念が後退し景況感を押し上げた。全規模が「40」台となるのは3月以来5カ月ぶり。

・業界別DI

『小売』『卸売』など6業界が改善した。『農・林・水産』のみ悪化、『金融』『不動産』は横ばいだった。改善幅が大きかった『小売』『卸売』はエアコンや飲料、衣料など好調な夏季商材の動きが追い風に。一方、唯一悪化した『農・林・水産』は猛暑による野菜の生育不良や出荷減、米価格の下落、魚介類の不漁などが響いた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」44.7(前月41.7)、「6カ月後」45.5(前月42.0)、「1年後」44.8(同43.5)と、いずれも前月を上回った。企業からは「工事の受注が増えている、これから良い方向に向かうと思う」などといった声が聞かれ、受注環境や地域需要の持ち直しを背景に先行きに期待する見方も出始めている。

■栃木県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.1

0.3

2カ月連続改善も企業マインドは不安定

・概況

8月の景気DIは、2カ月連続で改善したものの、あとわずかで30台になる水準でもあり、「改善」という表現が使いにくいのが実情だ。企業からも、「仕入れ価格が際限なく上がっており利幅がない」(小売)や、「世界情勢の不安は続く。常に地政学上のリスクが重く、リスク回避が難しい」(製造)、「資材高騰により建設計画が中止、延期になっている」(建設)など、極めて厳しい文言が並んでいた。受注があっても利幅がとれない中では、企業マインドも高まっていかないだろう。負のスパイラルは否めない。

・景気DI

8月の景気DIは41.1と前月比0.3ポイントの改善にとどまった。2カ月連続で改善となっているものの、企業マインドの実態は驚くほど不安と懸念の声が入り交じり不況感を脱出できない状況と見受ける。県別順位も35位と改善は見られず、中東情勢に起因するエネルギー供給をはじめ原料調達を不安視する指摘が多い。

・規模別DI

規模別では、「大企業」44.2(前月46.8)、「中小企業」40.5(同39.7)、「小規模企業」39.7(同37.7)と、規模間格差が縮小した。けん引役の「大企業」の悪化は仕入れ価格の高騰が大きく影響し、ロットの大きな分ダメージも大きいことがわかる。とはいえ、「中小企業」も不況状態が続いている。

・業界別DI

『建設』、『サービス』などでは45を上回っているのに対し、『小売』は20台と業界間格差が大きい。建設では住宅需要の低下はあるが、公共工事などは資材価格高騰を見込んだ発注額がなされているとも聞かれ、一部では価格転嫁も進んでいる。それに対し小売では、価格転嫁が大きな課題となっており、マイナス要因となっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」43.6(前月42.6)、「6カ月後」43.3(同41.5)、「1年後」44.4(同42.1)と、すべてのカテゴリーで改善が見られた。中東情勢に限らず、原油の新たな調達にめどが立つのではないかという意見や、政府による積極的な経済政策が徐々に効力を発揮するといった見方も少なくない。

■群馬県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.2

-0.3

4カ月ぶりに悪化

・概況

群馬県内企業からは「各方面から受注が増加、特に半導体関連が好調」(製造)など、特定分野で明るい声が聞かれる。一方で、「物価高騰による買い控えがみられる」 (小売)、「耐震基準の強化、建材価格の高騰などでマイナス影響が出ている」(建設)といった厳しい意見もあり、8月の景気DIは4カ月ぶりに悪化した。半導体関連など好調分野が下支えしているものの、原材料価格の高止まり、借入金利の上昇、人件費高騰などが先行きの重荷となっている。景気回復は力強さに欠け、一進一退の推移が見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比0.3ポイント減の42.2と4カ月ぶりに悪化した。一方、『全国』は同1.0ポイント増と4カ月連続で改善。この結果、47都道府県別順位は30位(前月21位)に後退した。また『北関東3県』の中では「茨城」「群馬」「栃木」の順となった。

・規模別DI

「大企業」 は前月比0.9ポイント減の45.8と2カ月連続で悪化した。「中小企業」も同0.3ポイント減となり2カ月ぶりに悪化(うち「小規模企業」は同0.4ポイント減)。全ての企業規模で前月を下回った。この結果、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は3.9となり、2カ月連続で縮小した。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界では、 『運輸・倉庫』『製造』など4業界が改善、『サービス』『卸売』など4業界が悪化した。『農・林・水産』は横ばいだった。『製造』は2カ月連続で46台を維持し、先行きも底堅い見通し。『卸売』は全業界の中で最も低位にある。『サービス』は高水準ながら2カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が44.2(前月43.9)、「6カ月後」が43.7(前月45.4)、「1年後」が44.4(前月44.8)となった。「3カ月後」は前月より改善したが、「6カ月後」「1年後」の2指標は悪化している。現状(42.2)から先行き改善を見込むも、『全国』よりは低水準にあり、慎重な見方となっている。

■山梨県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.1

-0.8

3カ月ぶりに悪化

・概況

「山梨」の景気DIは3カ月ぶりに悪化した。半導体関連産業は堅調だが、中東情勢不安に伴い、企業からは「受注に遅れが生じている」「自動車減産の影響がある」(製造)との声が聞かれる。ほか「仕入れコストの上昇に伴い価格転嫁を図るも利幅がとれない」「物価高騰により買い控えが生じている」(小売)などの声が聞かれた。県内経済をけん引する半導体関連産業や、インバウンド需要を取り込む観光関連産業は堅調だが、仕入れコストの上昇など中東情勢不安を要因とし、各業界への影響が拡大している可能性がある。

・景気DI

「山梨」の景気DIは前月比0.8ポイント減の44.1となり、3カ月ぶりに悪化した。全国は同1.0ポイント増の44.6だった。「山梨」は全国を0.5ポイント下回り、都道府県別順位は17位と前月の7位から大きく後退した。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.3ポイント増の52.6、「中小企業」は同1.1ポイント減の42.9、「小規模企業」は同0.6ポイント増の38.0となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は、「中小企業」が悪化したため、前月より2.4ポイント拡大して9.7ポイント差となった。

・業界別DI

前月と比較可能な10業界中、2業界が改善、5業界が悪化、3業界が横ばいとなった。『製造』は、半導体関連産業は堅調だが、中東情勢の影響から材料市況の混乱もあり後退した。判断の分かれ目となる50以上となったのは、前月の5業界から『農・林・水産』『金融』『建設』の3業界に転じた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」44.4(前月45.3)、「6カ月後」45.7(同45.8)、「1年後」45.7(同46.6)となった。現況(44.1)を上回るものの3指標とも前月を下回り、先行き見通しには慎重姿勢もうかがえる。業界別で3指標とも50以上となったのは、『農・林・水産』『金融』『不動産』『製造』の4業界。

■長野県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

47.6

2.0

4カ月連続改善し、全国4位に上昇

・概況

「長野」の全国順位は、2022年10月以来の4位と高水準になった。「半導体関連が好調」(精密機械製造)、「建設機械需要の回復」(機械製造)など製造業及び周辺産業で、受注環境の改善に伴う景況感の上昇がうかがえる。一方、「原材料の高騰、金融機関の貸出金利上昇により収益が悪化」(専門商品小売)などコスト上昇による収益の悪化や、「物価高の影響で取りやめになった建築物がある」(建設)など設備投資の抑制につながるケースも聞かれる。また、今後「熊本地震、千葉豪雨の影響」(飲食料品卸売)を懸念する声も多い。

・景気DI

「長野」の景気DIは47.6と前月比2.0ポイント上昇し、4カ月連続で改善。前年同月からは7.2ポイント改善した。前月からの改善幅は「全国」を1.0ポイント上回り、「全国」より3.0ポイント高くなったことから、都道府県別順位は4位と、前月から2ランク、前年同月からは29ランクアップした。

・規模別DI

規模別は、2022年11月以降「大企業」が最も高く、次いで「中小企業」、「小規模企業」が続いている。改善幅は「中小企業」、「小規模企業」、「大企業」の順でいずれも前月から増加。格差は、「大企業」と「中小企業」、「大企業」と「小規模企業」がそれぞれ縮小した一方、「中小企業」と「小規模企業」は拡大した。

・業界別DI

主要業界別は、半導体関連を中心とした好調な受注が続く『製造』が5カ月連続、『製造』に関わる業務も多い『卸売』が4カ月連続でそれぞれ改善した。『建設』と『小売』が横ばいをはさみ改善。『運輸・倉庫』、『サービス』はともに2カ月連続で改善した。特に『小売』の改善率が4.5ポイントと高かった。

・先行き見通しDI

現在より「1年後」が良くなるとの予想は、規模別の「中小企業」と、主要業界別の『卸売』、『小売』、『サービス』。一方、「長野」全体と「大企業」、「小規模企業」、『建設』、『製造』は現在より悪化。『運輸・倉庫』は、横ばいを予想した。

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