レポート

TDB景気動向調査2026年8月(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)

■近畿ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.4

0.8

4カ月連続の改善ながら、先行きに慎重姿勢

・概況

データセンターやAI関連投資の拡大を背景に、半導体関連を中心に機械関係に上向きな動きが見られている。熊本地震によるサプライチェーンへの影響を懸念する声もみられたが、その影響は限定的とみられる。ただ、円安や中東情勢の不安定化を背景とする物価高に加え、金利上昇や人手不足も相まって、消費者の節約志向は強い。『建設』では、公共工事発注の先行きを懸念する声も上がり始めている。全体として、先行き見通しDIは改善傾向にあるものの上振れは限定的であり、近畿の景気は当面、一進一退で推移する可能性が高い。

・景気DI

『近畿』(43.4、前月比0.8ポイント増)は4カ月連続で改善した。依然として中東情勢の不透明感は残るものの、半導体関連の活況が全体を押し上げ、府県別では「京都」「大阪」など4府県が改善した。ただ、改善幅は全国(44.6、同1.0ポイント増)を下回り、ブロック別順位は前月の5位から6位へ後退した。

・規模別DI

「大企業」(49.0、前月比0.8ポイント増)、「中小企業」(42.5、同0.8ポイント増)ともに4カ月連続で改善した。規模間格差は6.5ポイントと、前月と変わらなかったが、2025年6月から15カ月連続で5ポイントを上回る高水準で推移している。なお、「小規模企業」の改善幅は小幅にとどまった。

・業界別DI

機械分野(電機を含む)の改善が目立った『製造』『卸売』が4カ月連続で改善した。『運輸・倉庫』は6カ月ぶりに40台に回復。猛暑はマイナス要因ながらも、観光・レジャーの回復で『サービス』は2カ月連続で改善した。他方、金利上昇や資材価格高騰が続く『不動産』は4カ月ぶり、『建設』も3カ月ぶりに悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比1.1ポイント増)は4カ月連続で改善。「6カ月後」(同1.0ポイント増)と「1年後」(同0.3ポイント増)は2カ月ぶりに改善した。ただ、「3カ月後」を「1年後」が上回ったのは、業界別で『製造』『卸売』など5業界、府県別では「大阪」「奈良」、規模別では「中小企業」のみとなった。

■大阪府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.3

1.0

4カ月連続で改善も、先行きに不透明感

・概況

「半導体関連の投資が活発」(製造、大阪)といった声が聞かれ、大阪府は4カ月連続で景況感が改善している。他方、「人員確保が難しく、需要と供給のバランスが取れていない」(建設、大阪)との指摘もあった。規模別では「大企業」「中小企業」ともに改善し、規模間格差が縮小したものの、「小規模企業」は僅かに悪化している。資材の調達や物価高、人手不足などの問題に苦しむ「小規模企業」からは先行きを含め厳しい声があがっており、引き続き注視する必要がある。

・景気DI

「大阪」は前月比1.0ポイント増の44.3と、4カ月連続で改善した。特に『製造』や『建設』で、「受注が好調」との声が聞かれた。全国(44.6、同1.0ポイント増)との格差(大阪-全国)は▲0.3ポイントと前月から横ばいだったが、都道府県別順位は16位と1ランクダウンした。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.4ポイント増の48.9で、2カ月ぶりに改善した。「中小企業」は同1.2ポイント増の43.4となり、4カ月連続で改善した。他方、「小規模企業」は同0.1ポイント減の40.1となり、4カ月ぶりに悪化した。規模間格差は同0.8ポイント縮小し、5.5ポイントとなった。

・業界別DI

9業界中5業界で改善した。『製造』『建設』は4カ月連続で改善した。他方、『小売』は飲食料品小売を除く業種で、横ばいもしくは悪化したことで、全体でも前月比2.5ポイント減となり、2カ月連続で悪化した。また、金利上昇などの影響を受ける『不動産』は再び50を割り込み、4カ月ぶりに悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比1.3ポイント増)、「6カ月後」(同1.3ポイント増)、「1年後」(同0.8ポイント増)の3指標がそろって改善。業界別では『製造』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』で先行き3指標が改善した。規模別では、『大企業』『中小企業』ともに先行き3指標が改善した。

■京都府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.7

1.3

4カ月連続の改善、21カ月ぶりの水準

・概況

「京都」の景気DIは4カ月連続で改善した。「物価高が続いているため、早めの修繕を希望する顧客からの依頼が増加」(サービス)など、物価高に伴って受注増となる企業もあるが、「資材価格や土地の高騰、金利上昇で消費者の購入意欲が減退」(卸売)といった声が依然として多く聞かれる。景況感は概ね上向き傾向にあるが、中東情勢の不安定化が続いており、先行きは楽観視できる状況とは言い難い。

・景気DI

「京都」の景気DIは前月比1.3ポイント増の44.7に改善し、21カ月ぶりに44を上回った。5カ月ぶりに『全国』(44.6)を上回り、格差は+0.1ポイント(前月▲0.2ポイント)となった。都道府県別の順位は14位(同14位)、『近畿』の順位は2位(同2位)となり、いずれも横ばいとなった。

・規模別DI

「大企業」は50.0(前月51.8)、「中小企業」は43.9(同42.1)、「小規模企業」は40.8(同39.4)となり、「大企業」のみ悪化した。「大企業」の悪化と「中小企業」の改善により、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は6.1(同9.7)に縮小した。

・業界別DI

『金融』『不動産』が前月比5ポイント以上悪化したものの、50.0を維持した。『製造』『サービス』が47超となったほか、『小売』は大幅改善で4カ月ぶりに40台を回復した。『卸売』は小幅な改善にとどまり、40割れが続く。

・先行き見通しDI

「3カ月後」45.8(前月44.8)、「6カ月後」45.5(同44.6)、「1年後」44.6(同44.5)となり、全指標で前月を上回った。業界別では『建設』『卸売』『サービス』の3業界、規模別では「中小企業」が全指標で改善した。

■兵庫県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.6

0.4

3カ月連続の改善

・概況

「兵庫」の景気DIは3カ月連続の改善となった。中東情勢の不透明感が続くなか『製造』の回復傾向は底堅い模様。ただ同じ製造業でもナフサショックによる影響が強い印刷業と、「中東情勢悪化に伴う先取り受注が好調」という化学品製造業など景況感が大きく異なっている。また兵庫県の財政悪化については8月に「起債許可団体」へ移行したとの報道を受け、『建設』をはじめ公共投資、地域経済への影響を懸念する声も高まっている。今後も中東情勢とその影響、為替や金利動向、物価高と個人消費の動向が注目される。

・景気DI

「兵庫」の景気DIは前月比0.4ポイント増の41.6で3カ月連続の改善となった。前年同月比では0.1ポイント下回った。全国順位は32位(前年同月31位)。『全国』は前月比1.0ポイント増の44.6、『近畿』は同0.8ポイント増の43.4でともに4カ月連続の改善となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.3ポイント減の46.9で4カ月ぶりの悪化となった。「中小企業」は同0.6ポイント増の41.0、うち「小規模企業」は同0.2ポイント増の39.2でともに3カ月連続の改善となった。規模間格差は5.9ポイント(前月6.8)と0.9ポイント縮小した。

・業界別DI

10業界中5業界で改善。『小売』は、前月比4.0ポイント増の35.6で3カ月ぶりの改善。『製造』は同0.4ポイント増の44.3で4カ月連続の改善。他方、『建設』は同0.8ポイント減の38.5で2カ月連続の悪化、『卸売』は同1.2ポイント減の40.6で3カ月ぶりの悪化となった。

・先行き見通しDI

3カ月後は前月比1.0ポイント増、6カ月後は同1.0ポイント増、1年後は同0.3ポイント減と2指標で改善。業界別では『金融』『建設』『製造』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界で全指標改善。一方、『卸売』で全指標悪化となった。規模別では「大企業」が全指標悪化となった。

■滋賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.6

1.0

2カ月連続で改善、近畿ブロック内順位で1位を堅守

・概況

「滋賀」の景気DIは前月比1.0ポイント改善した。設備投資需要が回復基調にある大企業においては前月と比較して改善の兆しが感じられるものの、中小企業からは「戸建て住宅業界では不動産価格が高騰していることから需要が激減しているほか、銀行ローンの厳しさも感じる」(建設)、「業界の人材不足が、より一層深刻化している」(サービス)などの声が聞かれ、大企業と小規模事業規模における景況感の格差が生じており、今後の動向には注視する必要があろう。

・景気DI

「滋賀」の景気DIは45.6と前月比1.0ポイント改善した。業界別では悪化が3業界、改善が4業界、横ばいが1業界となった。近畿ブロック内の2府4県別順位は1位を維持し、全国においては10位(前年同月は13位)となった。

・規模別DI

「大企業」が48.3と前月比9.4ポイント改善した一方、「中小企業」が45.2と同0.1ポイント、「小規模企業」が42.9と同2.0ポイントそれぞれ悪化した。また、「大企業」は5カ月ぶりに「中小企業(うち小規模含む)」を上回った。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中3業界で悪化、4業界で改善、1業界で前月比横ばいとなった。『不動産』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』が改善した一方で、『建設』『製造』『サービス』が悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が46.1(前月44.6)、「6カ月後」が44.3(同44.7)、「1年後」が45.4(同44.9)だった。設備投資の回復を背景に景況感は持ち直しが期待されるものの、人手不足や不動産価格高騰、住宅需要低迷が中小・小規模企業の重荷となり、先行きは緩やかな回復にとどまる見通しである。

■奈良県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.5

横ばい

前月比横ばい

・概況

「奈良」の景気DIは39.5と前月横ばいとなり、前月までの3カ月連続改善がストップした。先行き見通しDIは、3カ月後、6カ月後が前月比改善となり、1年後は同横ばいであったが、依然として原料価格高騰や資材不足などを懸念する声は多く、また、『建設』や『不動産』などでは、設備投資の引き合いの少なさなども懸念されているようだ。こうした背景に個人消費が敏感に反応し、マインドが回復していない状況であり、今しばらくは不透明な状況が続くものと考えられる。

・景気DI

「奈良」の景気DIは、前月横ばいの39.5となり、6カ月連続で40を下回った。「全国」(44.6)との格差は5.1ポイント(前月4.1ポイント)と拡大した。『近畿』内では唯一の30台となり、都道府県別順位においても41位と前月から順位変動がなく、下位にとどまった。

・規模別DI

「大企業」は53.3と前月比8.9ポイント改善、「中小企業」は38.3と同0.7ポイントの悪化、「小規模」は38.5と同1.6ポイントの改善となった。その結果、規模間格差は15.0と前月から9.6ポイント拡大した。

・業界別DI

『サービス』『卸売』の2業界が改善、『建設』『不動産』『製造』『小売』の4業界が悪化、『運輸・倉庫』が横ばいとなった。特に『建設』『不動産』『小売』の3業界は2カ月連続の悪化となった。

・先行き見通しDI

3カ月後42.4(前月41.2)、6カ月後41.2(同40.7)、1年後42.7(同42.7)と、3カ月後・6カ月後は前月より改善、1年後は同横ばいとなった。規模別では「大企業」が、業種別では『製造』『卸売』『小売』『サービス』が3指標ともそれぞれ改善の見通し。

■和歌山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.6

-0.1

前月比わずかに悪化

・概況

「和歌山」は、前月比で0.1ポイント減の40.6と前月に比べて僅かではあるが悪化した。夏の甲子園大会では和歌山県代表の智弁和歌山高校が全国優勝を成し遂げ、県のアピールに繋がった。夏の行楽シーズンを迎え、花火大会など順調に開催がされて観光客は一定の水準は確保したもよう。一方で、県内全体の活気はやや乏しい印象は否めない。為替の円安基調や原材料等の調達コストは増加するばかりで、販売動向は特別良いとは言えない状況が続いている。当面はこの状況が続くと見られるが、見通しは不透明感が強い。

・景気DI

「和歌山」は、前月比で0.1ポイント減の40.6と前月に比べて僅かではあるが悪化した。また、『全国』(44.6)と『近畿』(43.4)を下回っており、平均的な景況感には届いていない。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.2ポイント増の53.3となったものの、「中小企業」が前月比0.7ポイント悪化の38.7に留まった。「大企業」のDIは2カ月連続で50ポイント台を維持したが、「中小企業」のDIが40ポイントに届いておらず、「中小企業」のDI改善が今後の鍵になりそうだ。

・業界別DI

『サービス』(45.8)と『製造』(41.7)が前月比で改善した一方で、『卸売』(38.5)『小売』(37.5)『建設』(36.1)『運輸・倉庫』(33.3)のいずれの業界も前月比で悪化。『卸売』から『運輸・倉庫』までが40ポイントを割り込んでおり、早急な回復が待たれる。

・先行き見通しDI

3カ月後が41.2(前月42.6)、6カ月後が41.9(同43.1)、1年後が41.2(同42.9)と3指標ともに見通しは悪化した。円安の常態化、原材料価格の高騰や人件費の上昇、売上は上がっているものの数量は弱含みなど先行きの不透明感が強まっている。

「近畿ブロック(2026年8月)」の詳細(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)