レポート

TDB景気動向調査2026年7月(東北ブロック:青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)

■東北ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.1

1.7

7カ月ぶりの40台

・概況

景気DI(40.1)は2カ月連続で改善した。旺盛なAI需要を背景に半導体関連産業が好調に推移し、その波及効果から製造業の受注が増加したことで、全体を押し上げた。今後については、コスト上昇にともなう収益悪化に加え、円安の進行による一段の物価上昇や金利負担の増加、中東情勢の不透明感など先行きの懸念材料は依然として山積している。半導体関連企業の集積を進める東北地方は、景気が好転する可能性を秘めているものの、当面は一進一退での展開が続きそうだ。

・景気DI

景気DI(40.1)は前月比1.7ポイント増で2カ月連続で改善し、7カ月ぶりの40台となった。『全国』(43.6)との格差は3.5で同0.7ポイント縮小した。県別では、「秋田」を除く5県(「青森」「岩手」「宮城」「山形」「福島」)で改善した。

・規模別DI

「大企業」(44.4)が前月比1.5ポイント増、「中小企業」(39.6)も同1.6ポイント増となった。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は4.8となり、同0.1ポイント縮小した。

・業界別DI

改善が『製造』『建設』『卸売』などの7業界、横ばいが『農・林・水産』『不動産』の2業界、悪化が『その他』のみとなった。『その他』を除く9業界では『農・林・水産』(45.7)が最も高く、『小売』(33.6)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.4(当月比1.3ポイント増)、「6カ月後」は40.6(同0.5ポイント増)、「1年後」は41.5(同1.4ポイント増)となった。前月との比較では「3カ月後」を除く2指標で悪化した。

■青森県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.2

2.4

2カ月連続改善

・概況

「青森」の景気DIは前月から2.4ポイント増の43.2と、2カ月連続で改善した。物価高が浸透したことで悪化傾向にあった『小売』が改善したほか、地震からの復旧需要などを取り込んだ『建設』が全体を押し上げた。全体としては、物価高や最低賃金の高まりなど、依然としてコスト上昇圧力が強まるなか、今後もしばらくは一進一退の足踏み状態が続く可能性が高い。

・景気DI

景気DIは43.2となり、2.4ポイント改善した。都道府県別順位は18位と、前月の25位から上昇し、東北6県の中ではトップ。『建設』や『卸売』、『小売』などが全体を押し上げた。

・規模別DI

「大企業」が、45.8と前月の39.6から大幅に改善したほか、「中小企業」も43.1と同2.2ポイント改善、「小規模企業」も42.9と同0.7ポイント改善した。

・業界別DI

業界別では、低下傾向にあった『建設』が、6月に発生した大地震からの復旧需要もあり、2カ月連続で改善したほか、畜産向けや野菜類など一次産業の出荷量増加などにより『運輸・倉庫』なども改善した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、3カ月後、6カ月後、1年後のいずれも改善した。特に、『建設』が全体を押し上げたほか、「ねぶた祭」や「八戸三社大祭」など県内で本格化する祭り需要の期待から『小売』も改善した。

■岩手県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.0

5.3

2カ月連続の改善

・概況

景気DIは2カ月連続で改善し、2025年8月以来で40を超え、都道府県順位は全国31位に上昇した。「大企業」は判断の分かれ目となる50を2カ月連続で上回り、「中小企業」も22カ月連続で40を下回ったとは言え39.9まで持ち直した。業界別では『卸売』『製造』『建設』などが改善した。一方で、先行き見通しの「1年後」が38.5に低下するなど、円安や物価高、金利上昇の影響を慎重に見極めようとしている様子もうかがえ、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比5.3ポイント増の41.0となり、2カ月連続で改善した。DIは前月まで10カ月連続で40を下回っていたが、2025年8月以来で40を超えた。都道府県順位は前月の45位から31位まで上昇した(前年同月は全国37位)。

・規模別DI

「大企業」は前月から3.7ポイント改善し、2カ月連続で判断の分かれ目となる50以上となった。「中小企業」は同5.1ポイント増の39.9となったが、22カ月連続で40を下回った。「大企業」と「中小企業」の格差(大企業-中小企業)は13.8となった(前月は15.2)。

・業界別DI

『小売』が5カ月連続で30を下回り低水準にとどまったが、価格転嫁の取り組みが進む『製造』と『卸売』はDIがそれぞれ46.0と38.9まで改善し、いずれも過去1年間で最も高い水準まで回復した。『建設』は2カ月連続で40以上となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が41.0、「6カ月後」が39.2と、いずれも前月から改善した。その一方で、「1年後」はブロック最低の38.5に低下しており、先行き見通しについては慎重姿勢を崩していない様子がうかがえる。

■宮城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

37.5

0.4

2カ月連続の改善

・概況

景気DI(37.5)は前月比0.4ポイント増と2カ月連続で改善しているものの、半数以上の業種で40を割り込んでおり、改善幅も小幅にとどまっている。物価高が続くなか、企業によって好不調の波が激しく、人手不足や金利上昇などさまざまな経営課題が混在している。さらに半導体関連工場の集積地でもある熊本県で発生した「令和8年熊本地震」の影響が今後、全国に及ぶ可能性もあり、好転する要素は乏しいことから景気の急回復への道筋は見えにくく、景気動向は低位で推移することが見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比0.4ポイント増の37.5となり、2カ月連続で改善したものの、19カ月連続で30台にとどまっている。『全国』(43.6)との比較では6.1ポイント下回り、格差は前月から0.6ポイント拡大した。都道府県別順位は45位と前年同月(46位)から改善したが依然として低位にとどまった。

・規模別DI

「大企業」(42.4)が前月比0.7ポイント増、「中小企業」(36.8)が同0.3ポイント増となった。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は5.6で同0.4ポイント拡大した。

・業界別DI

改善は『製造』『農・林・水産』『小売』などの4業界、悪化は『運輸・倉庫』『不動産』『建設』などの4業界、横ばいは『金融』『卸売』の2業界となった。『その他』を除く9業界では『金融』(50.0)が最も高く、『小売』(27.8)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は38.0(当月比0.5ポイント増)、「6カ月後」は39.0(同1.5ポイント増)、「1年後」は40.6(同3.1ポイント増)となった。前月との比較では全ての指標で悪化した。

■秋田県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.3

-1.3

2カ月ぶりに悪化

・概況

景気DIは、『東北』が前月比1.7ポイント、『全国』が同1.0ポイントそれぞれ改善した。『東北』で唯一前月比で悪化したのは秋田県のみであり、他県との差は縮まっている。中東情勢の長期化等もあり依然としてナフサ不足が報じられるほか、あらゆる資材が高値で推移しており、企業経営に与える影響も大きい。また、一部工事の遅れや延期、中止なども散見される。物価高の状況から依然として消費意欲も低迷しており、当面、景気は厳しい状況が続くと予想される。

・景気DI

「秋田」の景気DIは41.3と6月から1.3ポイントダウンし、2カ月ぶりに悪化した。『東北』6県では前月の第1位から第3位に後退したものの『東北』(40.1)を1.2ポイント上回った。また、都道府県順位は前月の第11位から第29位にダウンし、『全国』(43.6)を2.3ポイント下回った。

・規模別DI

規模別では、「大企業」(47.9)は前月と同率であったが、「中小企業」(40.7)は同1.4ポイント悪化した。「中小企業」の中でも「小規模企業」(32.8)は前月比1.7ポイントダウンした。

・業界別DI

業界別では、『サービス』『製造』の2業界が前月比で改善した。一方、『運輸・倉庫』は横ばい、『卸売』『不動産』『小売』『農・林・水産』『建設』の5業界が悪化した。悪化した中では『不動産』(37.5)の同6.9ポイント減が目立った。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、中東問題の長期化やさらに予想される物価高騰等により、「3カ月後」42.9、「6カ月後」40.9、「1年後」41.1と、当面は低調な状況が続くとの見方であり、先行きへの不安要素が増していると言えよう。

■山形県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.5

1.1

3カ月連続改善

・概況

「エアコン2027問題で価格が大幅に上がるため需要が見込まれる」(小売、中小企業)、「農業用機械の製造だが、米価高騰により農家の購買意欲が高い状態が続く」(製造、小規模企業)など、一部業界では事業環境は良好のようだ。一方、「紙などの印刷物減少、物価高騰、資材不足などで厳しい。価格転嫁が課題」(印刷、中小企業)、「婦人服小売は、物価上昇による買い控えを要因に毎月の売り上げは前年割れが続く」(小売、小規模企業)など、現状の厳しさを訴える声も多く、業界によって景況感に差がみられ、明暗が分かれる状況となっている。

・景気DI

「山形」の景気DIは前月比1.1ポイント改善の41.5となり3カ月連続で改善した。『全国』のDIは前月比1.0ポイント改善し43.6となり3カ月連続改善、『東北』のDIは1.7ポイント改善し40.1と2カ月連続改善となった。「山形」のDIが41を上回るのは2021年12月の調査以来となる。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.7ポイント減の38.3となり2カ月連続で悪化した。一方「中小企業」は同1.4ポイント増の41.8を示し、3カ月連続の改善となった。うち「小規模企業」は同2.3ポイント増の37.9と2カ月ぶりに改善した。

・業界別DI

業界別DIは比較可能な9業界のうち『金融』『建設』『不動産』『製造』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界は前月比改善を示し、『農・林・水産』は横ばいとなった。『卸売』『小売』の2業界のみ悪化したが、特に『小売』は2カ月連続の悪化となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比1.7ポイント増の43.4と、3カ月連続で改善、「6カ月後」は同横ばいの42.8となった。「1年後」の見通しについては4カ月連続して改善し、44.5と同0.8ポイント上昇するなど、先行き改善の見方が強まる傾向が続く。

■福島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.6

2.6

2カ月ぶりに改善

・概況

5業界が改善したことを受け、「福島」の景気DIは38.6となり、前月比で2.6ポイント上昇した。企業からは、「多品種少量の生産品が好調」(製造)との前向きな声が聞かれる一方、「中東情勢の影響により資材価格が急騰し、工期の遅延や見直しが増えている」(建設)、「物価高騰に対する単価の見直しが進まない」(製造)、といった厳しい声も寄せられている。中東情勢の影響による資材不足や価格上昇などの影響が中小企業の経営にも着実に波及しており、当面の景気動向は不透明かつ不安定な状態で推移する可能性が高い。

・景気DI

「福島」の景気DIは、38.6と6月を2.6ポイント上回って、2カ月ぶりに改善したが、5カ月連続で30台にとどまった。『全国』の景気DIは、前月(42.6)を1.0ポイント上回り、43.6となった。「福島」の都道府県別順位は、前月と同じく第44位となった。

・規模別DI

「大企業」(43.8)は前月比0.7ポイント上昇、「中小企業」(38.0)は同2.7ポイント上昇、「小規模企業」(35.2)は同4.9ポイント上昇した。格差(大企業-中小企業)は5.8となり、5カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

『建設』『製造』『卸売』『小売』『サービス』は改善したが、『不動産』『運輸・倉庫』の2業界が悪化した。『建設』は3カ月ぶりに40台に改善したほか、『卸売』は2カ月ぶりに40台に改善したが、『小売』は23カ月連続で30台にとどまった。

・先行き見通しDI

「1年後」の先行き見通しDIは5業界が当月からの改善を見込んでいる。特に『金融』は当月(38.9)から11.1ポイント、『運輸・倉庫』『製造』『サービス』なども改善を見込んでいる。一方、業界比率の突出している『建設』の「1年後」が当月(40.5)から横ばいを見込んでおり、やや懸念される。

「東北ブロック(2026年7月)」の詳細(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)