レポート

TDB景気動向調査2026年7月(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)

■九州ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.9

0.9

2カ月連続改善

・概況

『九州』の景気DIは、43.9と2カ月連続で改善した。企業からは「福岡都市圏での分譲マンションの建築需要は旺盛、今後2年程度の受注残有」(福岡県、建設)などの声が聞かれる。DI50台は、県別では「沖縄」のみ。インバウンド需要などは堅調を維持しているものの、長引く中東情勢の影響に加え、令和8年熊本地震の発生もあり、当面、一進一退の推移が見込まれる。

・景気DI

『九州』(43.9、前月比0.9ポイント増)は2カ月連続で改善した。10業界中6業界、8県中7県で改善。『九州』8県中10位以内は2県。先行き見通しDIは「3カ月後」が3カ月連続で改善、「6カ月後」「1年後」は3カ月ぶりに悪化した。ブロック別では17カ月連続で全国2位。

・規模別DI

「大企業」(49.5、前月比3.1ポイント増)、「中小企業」(43.1、同0.6ポイント増)は2カ月連続で改善。40カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。「小規模企業」は41.2(同1.1ポイント増)と3カ月連続で改善。

・業界別DI

『農・林・水産』(40.7、前月比3.1ポイント減)など4業界で悪化したものの、『建設』(46.4、同3.7ポイント増)、『製造』(42.9、同1.3ポイント増)など10業界中6業界で改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(45.2、前月比0.5ポイント増)は3カ月連続で改善、「6カ月後」(45.6、同0.7ポイント減)、「1年後」(46.6、同1.0ポイント減)は3カ月ぶりに悪化した。業界別では、『金融』など5業界で全指標悪化したものの、『建設』など2業界で全指標が改善した。

■福岡県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

46.0

1.5

2カ月連続の改善

・概況

「福岡」の景気DIは、中東情勢の先行き不透明感などの影響もあるものの、インバウンド需要や設備投資の高まりから、2カ月連続で改善した。企業からは「金利上昇などで、住宅購入予定の人の動きが鈍い」(建設)などのコメントがある一方で、「値上げ交渉により、ある程度の商品値上げは進むと思われる」(製造)などの声があった。物価上昇や熊本地震に伴う地域経済への影響などがマイナス要因であるものの、インバウンド効果等により一部の業界は好調を維持しており、今後も景気DIは一進一退の推移が見込まれる。

・景気DI

「福岡」(46.0、前月比1.5ポイント増)は、2カ月連続の改善。業界別では、『農・林・水産』『運輸・倉庫』『サービス』で悪化。『金融』『建設』など7業界で改善。都道府県別順位は5位で前月(6位)よりアップ。『九州』8県での順位も前月(3位)よりアップし2位となった。

・規模別DI

「大企業」50.0(前月比3.1ポイント増)は4カ月連続の改善。「中小企業」45.2(同1.2ポイント増)、「小規模企業」44.2(同1.3ポイント増)はいずれも2カ月連続の改善。規模間格差は「大企業」が「中小企業」を4.8ポイント上回った。

・業界別DI

『農・林・水産』(38.9、前月比11.1ポイント減)、『運輸・倉庫』(43.1、同3.1ポイント減)、『サービス』(50.2、同0.2ポイント減)の3業界で悪化。『金融』(44.4、同5.5ポイント増)、『建設』(49.4、同2.5ポイント増)など7業界で改善。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(47.3、前月比0.7ポイント増)、「6カ月後」(48.1、同0.2ポイント増)は3カ月連続の改善、「1年後」(48.8、同0.3ポイント減)は、3カ月ぶりの悪化。3指標で『農・林・水産』『運輸・倉庫』『その他』はすべて悪化。『建設』『不動産』はすべて改善。

■佐賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.2

0.8

3カ月連続で改善

・概況

「佐賀」の景気DIは前月から0.8ポイント改善し、2024年10月~12月以来の3カ月連続改善となった。約1年半が経過し、景気DIは往時から3.0ポイント低下しており、「佐賀」の景気としては緩やかな減衰傾向が見て取れる。同業界であっても、業種や製品・商材によって良し悪しがあることに加え、同じ業種・業態でも2極化しているようだ。今後も物価上昇に加え、最低賃金の上昇など企業経営にマイナス影響を及ぼす要素は多く、景気後退の懸念が高まっている。

・景気DI

「佐賀」の景気DIは43.2と、前月から0.8ポイント改善した。3カ月連続で改善するのは2024年10月~12月以来。ただ、その時に比べ景気DIは3ポイント低く、景気は減速していると言える。『九州』『全国』とともに「佐賀」の改善幅を上回り、「佐賀」の都道府県別順位は前月の13位から18位に後退した。

・規模別DI

「大企業」は43.9と前月より3.1ポイント悪化したが、「中小企業」「小規模企業」ともに3カ月連続で改善した。依然として「大企業」「中小企業」「小規模企業」の順に景気DIは高いが、規模間格差は前月より4.9ポイント縮小し0.8と大差ない状況となった。

・業界別DI

『製造』では飲食料品は悪化したものの、鉄鋼や機械装置関連が好調に推移した。『建設』では業界内の倒産はあるが、県外の建築案件は多くDIは上昇。『卸売』は、機械装置関連は好調ながら、建材関連は低調推移であるほか、飲食料品関連も厳しさがみられ悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は44.9(前月44.7)、「6カ月後」は45.8(同47.4)、「1年後」は46.0(同45.9)と、3カ月後、1年後で僅かに改善、6か月後は落ち込んだ。中長期的には改善を見込んでいるものの、近時の物価上昇を懸念し、力強さに欠ける状況である。

■長崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.7

2.2

3カ月連続で改善

・概況

「長崎」の景気DIは前月比2.2ポイント増の41.7と3カ月連続で改善した。製造業は前月から悪化したものの、供給不足を背景とした受注増加は継続しているとの声や、来年度以降の受注が増えていくという期待の声も聞かれた。他方人件費や水道光熱費や燃料代が高騰による経費増や県内の高齢化等による市場縮小を懸念する声もあった。「長崎」の今後は、コスト高への対応力強化と人材確保が進めば、今後も緩やかな回復基調が継続することが見込まれている。

・景気DI

「長崎」の景気DIは前月比2.2ポイント増の41.7となり、3カ月連続で改善した。『九州』8県中7県で改善したが、本県の改善幅が大きく九州ブロック内順位は前月から1つ上がって6位となった。都道府県別順位は、前月の34位から7つ上がって27位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比6.0ポイント増の42.9、「中小企業」は同1.6ポイント増の41.5、「中小企業」のうち「小規模企業」は同0.3ポイント減の39.6となった。「大企業」の改善幅が「中小企業」の改善幅を上回ったため、規模間格差は1.4となった。

・業界別DI

前月から改善した業界は『農・林・水産』『建設』『卸売』『サービス』の4業界となった。悪化した業界は『不動産』『製造』『小売』『運輸・倉庫』の4業界となった。『農・林・水産』『建設』『サービス』が大幅に改善した一方、『運輸・倉庫』は物流コストの上昇が影響し悪化する結果となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」42.9(前月比1.0ポイント増)、「6カ月後」43.1(同0.8ポイント減)、「1年後」44.3(同1.5ポイント減)と先へ行くほど改善の見通しとなった。業種別にみると『製造』は先へ行くほど改善の見通しとなっているが、『不動産』は1年後迄低迷が続く見通しとなっている。

■熊本県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.0

0.6

TSMC関連需要が支えるも先行きに慎重感

・概況

「熊本」の景気DIは前月比0.6ポイント増の44.0と2カ月連続で改善した。「TSMCや関連した工事が非常に多くあった」(建設)など明るい話題が見られた一方で、「不安定な中東情勢により仕入価格上昇、買い控えによる物量減の影響がある」(運輸)と不安を示す声は多い。TSMCの第2工場の方針が示されたことで関連した設備投資が進んでいる一方で、金利上昇によるハウスメーカー業界の不振や令和8年熊本地震による企業活動や消費への影響も懸念されるため、今後の景気は一進一退の状況が続くとみられる。

・景気DI

「熊本」の景気DIは44.0で前月比0.6ポイント増と2カ月連続で改善した。また、『九州』(43.9)は前月比0.9ポイント増となり、全国(43.6)も同1.0ポイント増となった。なお、「熊本」の都道府県別順位は第12位(前月第9位、前年同月第7位)と前月から3ランク下がった。

・規模別DI

「大企業」の景気DIは50.0と前月から3.7ポイント増となり、「中小企業」は43.6と同0.4ポイント増となった。36カ月連続で「大企業」が「中小企業」の景気DIを上回り、規模間格差(大企業-中小企業)に関しては「中小企業」よりも「大企業」の改善幅が大きかったため、差は3.3ポイントに拡大した。

・業界別DI

9業界中、改善した業界は『金融』『建設』『卸売』『サービス』の4業界となった。一方で悪化した業界は『不動産』『製造』『小売』『運輸・倉庫』の4業界となり、『農。林・水産』は横ばいとなった。不動産価格の上昇に落ち着きがみられたほか、中東情勢による先行き不透明感もあり、悪化した業界が増加した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは「3カ月後」が44.7(前月44.2)、「6カ月後」は44.0(同46.4)、「1年後」は46.0(同47.1)となった。インバウンド需要などが下支えし「3カ月後」は改善した。一方で、物価高や人件費上昇による収益圧迫が続いていることから、「6カ月後」「1年後」はいずれも悪化した。

■大分県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.8

-1.1

2カ月ぶりに悪化

・概況

中東情勢の悪化により、原油由来の各種商材の調達難等から『運輸・倉庫』など幅広い業種でDIは引き続き低水準となった。原油高は『卸売』でも資材の高騰による各種商品の値上がりで消費者の買い控えがみられる。金利上昇を懸念する業界も多く、新築住宅着工戸数の鈍化から住宅関連業界の受注は弱含みが続いている。引き続きナフサ不足が各種商材の品不足や価格高騰を招き、物価高から消費者の購入マインドが低下し、小売や卸売を含めて幅広い業種で悪影響を及ぼすと不安視する声が多く、県内の景気動向はさらに悪化する可能性がある。

・景気DI

「大分」の景気DIは43.8となり、2カ月ぶりに悪化した。全国順位は第13位(前月第5位・前年同月第5位)と前月から順位を8つ下げた。判断の分かれ目となる「50」を19カ月連続で下回っている。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.2ポイント増の48.1、「中小企業」は同1.3ポイント減の43.2となり、「中小企業」のうち「小規模企業」は同0.5ポイント減の43.1となった。規模間格差は4.9となり、9カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

業界別では『建設』が前月比3.2ポイント増の45.8となり、全業界で唯一改善した。『運輸・倉庫』は同7.8ポイント減の22.2と大きく悪化した。『製造』は同4.2ポイント減の47.1となり2カ月ぶりに「50」を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は46.2(前月45.1)と前月から改善したが、「6カ月後」47.0(同47.6)、「1年後」47.6(同48.2)は前月から悪化した。業界別では、『製造』『サービス』は3指標いずれも50を上回ったが、『建設』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』は3指標いずれも「50」を下回った。

■宮崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

34.9

0.4

2カ月ぶりに改善

・概況

「宮崎県」の景気は個人消費や観光を中心に緩やかな回復基調にあったが、令和8年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」の影響により、先行きには不透明感が強まっている。隣県である熊本の被災に伴う交通・物流インフラの乱れやサプライチェーンの停滞、旅行自粛による観光需要の手控えなどが懸念され、製造業やサービス業への波及が警戒されている。今後は復旧・復興関連の需要が見込まれる一方で、物流の正常化や風評被害の防止を含め、地震が地域経済へ与える影響を慎重に見極める必要がある。

・景気DI

「宮崎」の景気DIは34.9で、前月比0.4ポイント増と2カ月ぶりに改善した。『九州』(43.9)と比較して9.0ポイント減、全国(43.6)と比較しても8.7ポイント減となった。全国順位に関しては、前月の46位から1位ランクダウンして47位となった。

・規模別DI

「大企業」は54.8で前月比4.8増となった。「中小企業」は33.1で0.2ポイント増となった。企業間格差(大企業-中小企業)は21.7となり、同4.5ポイント拡大した。「中小企業」に含む「小規模企業」は31.0で同0.9ポイント悪化した。

・業界別DI

『製造』は30.6で前月比8.3ポイント減、『非製造』は35.6で同1.8ポイント増、『製造』は2ヵ月連続悪化、『非製造』は2ヵ月ぶりに改善した。『製造』は「建材・家具、窯業・土石製品製造」が3ヵ月ぶりに悪化した。『非製造』は、「運輸・倉庫」が2ヵ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

景気「3カ月後」見通しに関しては、35.9で前月比0.4ポイント減、「6カ月後」は37.3で同1.7ポイント減、「1年後」は39.9で同3.1ポイント減となった。『九州』と『全国』の「3か月後」、「6ヵ月後」、「1年後」と比較しても宮崎の先行き見通しDIはそれぞれ下回った。

■鹿児島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.7

0.1

2カ月連続改善

・概況

「鹿児島」の景気DIは39.7と小幅ながら2カ月連続の改善となった。一部企業からは「消費税減税による経済効果」を期待する声もあったが、「物価高」や「原料調達難」、「中東情勢」に対する懸念の声が過半を占めた。依然としてリスク要因が目立つ中で、先行きへの不透明感は強く、引き続き県内の景気動向は一進一退の状況が続くであろう。

・景気DI

「鹿児島」の景気DIは39.7と前月比0.1ポイント改善、「九州」は同0.9ポイント改善の43.9、「全国」も同1.0ポイント改善の43.6となった。全国的に改善が進む中、鹿児島の改善幅は平均を下回ったことで、都道府県別順位は前月から6つ順位を落とし39位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月から7.2ポイント改善の54.8となった一方、「中小企業」は同0.4ポイント悪化となる38.6、「中小企業」のうち「小規模企業」は同1.8ポイント改善の37.4となった。大企業の改善と中小企業の悪化が重なり、規模間格差(大企業-中小企業)は、7.6ポイントと大きく拡大した。

・業界別DI

『農・林・水産』『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』の5業界が改善、『金融』『建設』『不動産』『サービス』の4業界が悪化となった。業界別では一進一退の応対が続いているが、2か月連続で5業界以上が改善するのは令和7年12月以来となる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.3と前月比0.2ポイントの悪化、「6カ月後」は41.4と同0.9ポイントの悪化となったほか、「1年後」も43.2と同1.3ポイントの悪化と各指標において悪化した。不安定な中東情勢や続く値上げ、消費マインドの停滞などから先行きに対し厳しい見方が増えた形となった。

■沖縄県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

52.4

1.5

2カ月連続で改善

・概況

「沖縄」の景気DIは2カ月連続の改善となった。夏場の観光シーズンとなり、円安を背景に国内旅行先として沖縄を選ぶ観光客が多く、連動して飲食料品製造や同小売、各種サービス業の景況が改善した。また、建設及び不動産投資の大型投資が続いており、建設及び不動産業の景況感も連続で改善している。しかし、物価や人件費の上昇は続いており、利益確保に苦労している企業も多く、同じ業界内での格差も広がりつつあることと、中東情勢がまだ不安定なことから、引き続き、景況感を注視する必要がある。

・景気DI

「沖縄」の景気DIは前月比1.5ポイント(以下、P)増の52.4となった。業種別では8業界中、5業界が改善となり、都道府県別順位は40カ月連続で全国1位が続き、『全国』(43.6)、『九州』(43.9)を上回っている。

・規模別DI

「大企業」(57.1、前月比1.5P増)は3カ月連続の改善、「中小企業」(51.9、前月比1.4P増)は2カ月ぶりの改善、「中小企業」のうち「小規模企業」(53.4、前月比6.9P増)も2カ月ぶりの改善となり、3指標とも改善した。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、『金融』(16.7P減)、『卸売』(5.6P減)、『運輸・倉庫』(5.5P減)の3業界が悪化したが、『建設』(5.2P増)、『不動産』(5.2P増)、『製造』(7.2P増)、『小売』(1.5P増)、『サービス』(1.8P増)5業界が改善となった。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」が53.3(前月51.4)で3カ月連続の改善となったが、「6カ月後」は51.5(前月52.7)、「1年後」は50.9(前月52.5)で3カ月ぶりの悪化となった。

「九州ブロック(2026年7月)」の詳細(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)