レポート

TDB景気動向調査2026年7月(北関東ブロック:茨城・栃木・群馬・山梨・長野)

■北関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.1

1.7

3カ月連続で改善

・概況

『北関東』の景気DIは前月比1.7ポイント増の43.1となり、3カ月連続で改善した。1.0ポイントを超える改善幅となったのは2025年7月以来1年ぶり。中東情勢の悪化を受け、年初来弱含みで推移していた景況感だが、「ナフサ不足がやや解消した」(建設)といった声にあるように、収束はしていないものの一時期より落ち着いたとする見方は複数聞かれた。また、当月は半導体関連の好調さが目立ち、製造業を中心に強気な意見も多くみられた。一方、物価高騰による収益面での苦戦のほか、「二極化」を指摘する声も多かった。

・景気DI

景気DIは43.1となり、前月比1.7ポイント増で3カ月連続して改善した。全国と管内5県全てが改善。改善幅は「山梨」以外いずれも1.0ポイント超えで、「群馬」は最大の2.7ポイント増。管内全てがDI40台となったのは4カ月ぶり。『北関東』の全国順位は3位となって前月(6位)から3ランク上昇。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.5ポイント増の47.4、「中小企業」は同1.6ポイント増の42.6、「小規模企業」は同2.1ポイント増の40.1となり、全て前月比1.0ポイント超えの改善となった。「大企業」の改善幅が「中小企業」のそれを上回り、規模間格差は4.8ポイントとなり前月から0.9ポイント拡大した。

・業界別DI

前月と比較可能な10業界中、改善は6業界、悪化が4業界。サンプル数の少ない『金融』や『その他』において変動幅が大きくなっているが、それを除くと『製造』『運輸・倉庫』などが好調。特に『製造』は3カ月連続で改善し、10業界中2番目に高いDI値(47.3)。半導体関連の堅調な動きを反映した格好となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」44.3(前月43.8)、「6カ月後」44.1(同44.4)、「1年後」44.6(同44.9)となり、「3カ月後」のみが前月を上回った。「3カ月後」に比べ「6か月後」はややダウンして「1年後」再び盛り返す見通し。ただ、3指標ともにDIは44台で大きく変動する見通しとはなっていない。

■茨城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.2

1.4

2カ月連続改善

・概況

景気DIは2カ月連続で改善、4カ月ぶりに「40」台を回復した。ただし、かろうじて「40」台に乗せた水準にとどまっており、企業の景況感にはなお弱さが残る。原材料高などによるコスト増は依然重く、物価高で個人消費も力強さを欠く。「景気が改善する動きがみられない」といった企業の声もある。一方、原油安から物価上昇の落ち着きへの期待も出ている。中東情勢をはじめとする外部環境に左右されやすく、総じて茨城県の景況感は当面、一進一退が続きそうだ。改善基調が定着したとは言い難く、先行きには引き続き慎重な見方が残る。

・景気DI

「茨城」の景気DIは40.2となり、前月から1.4ポイント上昇した。改善は6月に続き2カ月連続で、景気DIが「40」台を回復するのは今年の3月以来4カ月ぶり。中東情勢の緊張緩和期待を背景とした原油価格の下落が好材料となり、エネルギー価格の低下が物価高に歯止めをかけるとの見方から、企業心理が上向いた。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.4ポイント増の41.7となり、2カ月ぶりの改善。「中小企業」も同1.3ポイント増の40.1、「小規模企業」においても同0.2ポイント増の39.1、ともに2カ月連続で改善となった。「大企業」「中小企業」「小規模企業」がそろって改善したのは昨年(2025年)12月以来、7カ月ぶり。

・業界別DI

『不動産』『サービス』など5業界が改善した一方、『農・林・水産』『卸売』など3業界が悪化し、『金融』は横ばい。『不動産』は、TX沿線を中心とする県南地区の住宅需要が底堅く、景況感を押し上げた。一方『農・林・水産』は、猛暑による野菜の生育不良や出荷減、水温上昇などにともなう魚介類の不漁が下押し材料に。

・先行き見通しDI

「3カ月後」41.7(前月41.8)、「6カ月後」42.0(同42.6)は前月を下回ったが、「1年後」43.5(同42.9)は改善。「資材の値上がりだけでなく欠品も続いている」といった声もあり、資材高や供給不足への懸念が広がる。一方、原油価格下落を背景に、資材価格の値下がりを期待する見方も出ている。

■栃木県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.8

1.6

改善するも一進一退続く

・概況

7月の景気DIは40台に回復したものの、一進一退が続き、再び30台に下落するリスクは決して少なくない。企業からは、「中東情勢は今後も長引くだろう。物価高に打つ手もなく、同業者の倒産は過去に例がないほど増えている。何らかのカンフル剤も必要なのでは」(建設)、「受注はあるものの、コストは月を追うごとに上がっており、さらに今後は材料の入手が不安定になる憶測もある。仕事がなければ、倒産もやむをえない」(製造)など、厳しい環境に対する不安感が大きく企業マインドを下げている。当面負のスパイラルが続く。

・景気DI

7月の景気DIは40.8(前月比1.6ポイント増)と改善を示したものの、引き続き40前後となり、回復基調とはいいがたい。県別順位は33位と低位が続き、全国の43.6を2.8ポイント下回った。円安が深刻である一方で、イラン情勢悪化による原油の供給不安も高まっており、厳しい事業環境が続くだろう。

・規模別DI

「大企業」46.8(前月40.8)、「中小企業」39.7(同38.9)、「小規模企業」37.7(同37.0)と、すべてのカテゴリーで改善したが、県内企業の大半を占める中小企業が5カ月連続で30台にとどまり厳しい。「大企業」の改善は、一時的な石油関連の流通改善が要因と見られるが、先行きは不透明である。

・業界別DI

けん引役を務める『サービス』(46.5)、『建設』(45.8)は改善を示した。受注面は改善がみられるようだ。しかし、『運輸・倉庫』は前月比1.7ポイント下落し、大きな懸念を含む『小売』は2カ月連続で20台を示すなど、この2業界の企業マインドは低い。コストアップに対して価格転嫁が進んでいない。

・先行き見通しDI

「3カ月後」42.6(前月42.4)、「6カ月後」41.5(同42.4)、「1年後」42.1(同43.1)と、先行き見通しも一進一退が続いている。特に石油の流通問題においては、解決と紛争再開を繰り返している点に対し、県内企業は極めて厳しい反応を示している。中小企業における先行きの不安感が募る。

■群馬県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.5

2.7

3カ月連続で改善

・概況

群馬県内企業からは「半導体関連の受注が拡大しており、2028年頃まで継続すると見込む」(製造)など、特定分野を中心に明るい声が聞かれる。一方で、「米穀業界では保有在庫の価値が大幅に下落している」(卸売)、「物価高、光熱費高騰、人件費上昇のマイナス影響を受けている」(サービス)といった厳しい意見もある。半導体関連など一部に明るい材料があるものの、物価高による消費減退や価格転嫁の難しさも重なり、業種間・企業間の格差がみられ、依然として先行き不透明感が強く、景気の下振れリスクは払しょくできない。

・景気DI

景気DIは前月比2.7ポイント増の42.5と3カ月連続で改善した。『全国』も同1.0ポイント増と3カ月連続で改善。「群馬」の改善幅は『全国』より大きく、47都道府県別順位は21位(前月31位)に上昇した。また『北関東3県』の中で改善幅は最も大きく「群馬」「栃木」「茨城」の順となった。

・規模別DI

「大企業」 は前月比3.3ポイント減の46.7と2カ月ぶりに悪化した。一方で、「中小企業」は同3.2ポイント増となり2カ月ぶりに改善。大企業の停滞と中小企業の持ち直しが同時に進んだ。この結果、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は4.5となり、2カ月ぶりに大きく縮小した。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界では、 『製造』『建設』など6業界が改善、『サービス』『金融』の2業界が悪化した。『不動産』は横ばいだった。『製造』は46.3まで上昇し、先行きも6カ月後50.6と高水準を見込む。『卸売』は前月比で改善したものの30を下回る状態で、価格転嫁の難しさなどが影響しているとみられる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が43.9(前月42.0)、「6カ月後」が45.4(前月43.7)、「1年後」が44.8(前月44.5)となった。「3カ月後」「6カ月後」「1年後」の3指標全てが前月より改善した。現状の42.5から1~3ポイント程度の上昇を予想しており、県内企業は緩やかな回復基調の継続を想定していることがうかがえる。 

■山梨県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.9

0.8

2カ月連続改善

・概況

「山梨」の景気DIは2カ月連続で改善した。企業からは「半導体産業や航空宇宙・防衛産業は業況が拡大している」(製造)との声が聞かれる一方で、「輸入品を主原料としているため、為替変動の影響が大きい」(卸売)との声も聞かれた。先行きについては、中東情勢の悪化に伴うナフサ価格上昇の影響が幅広い業界で懸念されるものの、県内経済をけん引する半導体製造装置関連産業や、インバウンド需要を取り込む観光関連産業は堅調に推移している。このため、県内景況感は改善基調で推移するとみられる。

・景気DI

「山梨」の景気DIは前月比0.8ポイント増の44.9となり、2カ月連続で改善した。全国は同1.0ポイント増の43.6だった。「山梨」は全国を1.3ポイント上回り、都道府県別順位は前月と同じ7位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.9ポイント増の51.3、「中小企業」は同0.4ポイント増の44.0、「小規模企業」は同0.5ポイント減の37.4となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は、「大企業」が大きく改善したため、前月より3.5ポイント拡大して7.3ポイント差となった。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界中、3業界が改善、2業界が悪化、4業界が横ばいとなった。『製造』は、AI向け半導体需要の拡大を受けて半導体製造装置関連産業の市況が回復し、5カ月ぶりに50台へ回復した。判断の分かれ目となる50以上となったのは『農・林・水産』『金融』『建設』『不動産』『製造』の5業界。

・先行き見通しDI

「3カ月後」45.3(前月44.7)、「6カ月後」45.8(同46.6)、「1年後」46.6(同46.9)となった。先行きになるほどDIは高くなっているが、「6カ月後」「1年後」は前月を下回り慎重姿勢もうかがえる。業界別で3指標ともに50以上となったのは、『農・林・水産』『金融』『不動産』『製造』の4業界。

■長野県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

45.6

1.7

3カ月連続改善し、全国6位に上昇

・概況

「長野」の全国順位は前月から2ランクアップし、2022年8月以来の高水準になった。「半導体関連の設備需要が増加」(精密機械製造)、「受注量が増え始めている。日本から中国へ移管した部品を日本へ戻す製品も出始めて来ている」(機械製造)など、『製造』を中心に好調が続くとする声は多い。一方で「人材の確保に企業間格差が生じ、仕事はあっても対応できない」(広告関連)、「石油製品の仕入れが上がっているが、販売価格に結び付けられない」(専門商品小売)など、人手不足やモノ不足、価格高騰など先行きの不安を訴える声もある。

・景気DI

「長野」の景気DIは45.6と前月比1.7ポイント上昇し、3カ月連続で改善。前年同月からは4.2ポイント改善した。前月からの改善幅は「全国」を0.7ポイント上回り、3カ月連続で「全国」を上回った。都道府県別順位は6位と、前月から2ランク、前年同月からは17ランクアップした。

・規模別DI

規模別は、2022年11月以降「大企業」が最も高く推移し、次いで「中小企業」、「小規模企業」が続いている。全ての規模が前月から改善したが、規模が小さいほど増加幅が大きかっため、格差は、「中小企業」と「小規模企業」、「大企業」と「中小企業」、「大企業」と「小規模企業」いずれも縮小した。

・業界別DI

主要業界別は、半導体関連を中心とした好調な受注が続く『製造』が4カ月連続で改善。また、『製造』に関わる業務も多い『卸売』が3カ月連続で改善。『運輸・倉庫』、『サービス』はともに2カ月ぶりに改善した。特に『運輸・倉庫』の改善幅が大きかった。一方、『小売』、『建設』は前月並みとなった。

・先行き見通しDI

現在より「1年後」が良くなると見通すのは、規模別の「中小企業」、「小規模企業」と、主要業界別の『卸売』、『小売』、『サービス』。一方、「大企業」、『建設』、『製造』は現在より悪化。「長野」全体と『運輸・倉庫』は、一進一退の上、横ばいを予想した。

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