レポート

TDB景気動向調査2026年7月(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)

■近畿ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.6

1.1

3カ月連続で改善、設備投資に底入れの兆し

・概況

データセンターやAI関連投資の拡大を背景に、半導体関連を中心に機械関係で上向きな動きが見られた点は好材料ながら、「持続性には疑問」(機械製造業、奈良県)との声も聞かれる。足元では資材の入荷難や価格高騰の影響が多方面に広がるなど、ナフサ不足の影響が依然としてくすぶっており、『建設』では公共工事や住宅関連需要の弱さを指摘する意見も多い。先行きについては、ナフサ不足に伴う資材調達難や価格高騰への警戒感がなお残るほか、個人消費の力強い回復も見込みにくく、近畿の景気は当面、一進一退で推移する可能性が高い。

・景気DI

『近畿』(42.6、前月比1.1ポイント増)は3カ月連続で改善した。米国とイランの停戦合意を受けた原油供給の回復期待から、マインドが上向いた。府県別では全6府県が改善。全国(43.6、同1.0ポイント増)よりも改善幅が大きかったが、ブロック別順位は前月の4位から5位に後退した。

・規模別DI

「大企業」(48.2、前月比0.9ポイント増)、「中小企業」(41.7、同1.2ポイント増)ともに3カ月連続で改善した。両者の格差(規模間格差)は6.5ポイントと、ピーク時の2026年1月(7.7ポイント)より縮小したものの、2025年6月から13カ月連続で5ポイントを上回る高水準で推移している。

・業界別DI

『不動産』『製造』『卸売』が3カ月連続で改善した。『製造』は機械・電気機械分野の改善が目立ち、2021年12月(45.1)以来の水準に。『卸売』では「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」が改善するなど、企業の設備投資に底入れの兆しが見られた。他方、『運輸・倉庫』は2021年9月(34.2)以来の低水準に。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比0.7ポイント増)は3カ月連続で改善した一方で、「6カ月後」(同0.4ポイント減)と「1年後」(同0.3ポイント減)は3カ月ぶりに悪化した。全3指標が改善したのは、府県別では「兵庫」「和歌山」、規模別では「小規模企業」、業界別では『不動産』『小売』『その他』にとどまった。

■大阪府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.3

1.0

中東情勢が小康状態、3カ月連続改善

・概況

米国とイランの軍事衝突が再び小康状態に入ったこともあり、景況感は改善した。幅広い業種で改善が見られた『製造』では、在庫確保を急ぐ顧客の動きは根強く、「先取り注文により、2~2.5カ月先までの受注がある」(化学品製造)などの声が聞かれた。また、内需が中心となる『建設』『不動産』も改善が続いている。しかし、先行きについては悲観的な見方をする企業が多い。値上げの原因となっている原油高や円安が解消されなければ、個人消費が停滞する可能性も高く、大幅な景況感の改善は期待できないだろう。

・景気DI

「大阪」は前月比1.0ポイント増の43.3と、3カ月連続で改善した。米国とイランの軍事衝突が再び小康状態に入ったこともあり、景況感が改善した。全国(43.6、同1.0ポイント増)との格差(大阪-全国)は▲0.3ポイントと前月から横ばいだったが、都道府県別順位は15位と1ランクダウンした。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.5ポイント減の48.5となり、3カ月ぶりに悪化した。一方で、「中小企業」は同1.3ポイント増の42.2となり、3カ月連続で改善した。規模間格差は同1.8ポイント縮小の6.3ポイントとなった。なお、「小規模企業」は同1.9ポイント増の40.2となり、5カ月ぶりに40台に回復した。

・業界別DI

9業界中5業界で改善した。『建設』『不動産』『製造』は3カ月連続で改善した。とりわけ、『製造』については幅広い業種で改善した。一方で、『小売』と『サービス』は2カ月ぶりに悪化した。また、『運輸・倉庫』は4カ月ぶりの大幅悪化となり、需給バランスが崩れ、原油高となった2021年6月に次ぐ低水準となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比0.5ポイント増)、「6カ月後」(同0.9ポイント減)、「1年後」(同0.7ポイント減)と6カ月以上の見通しで悪化した。業界別では、『建設』『不動産』『その他』は先行き3指標が改善した。規模別では、「大企業」「中小企業」ともに「6カ月後」「1年後」が悪化した。

■京都府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.4

1.3

32ヵ月ぶりの3カ月連続回復、規模間格差は二桁に迫る水準

・概況

「京都」の景気DIは3カ月連続で改善した。商業地では地価上昇が続くなど、『不動産』や観光業界では明るい動きが見られる。一方、「資材高騰で需要が大きく減少」(卸売)などマイナスの声が多数聞かれ、中東情勢の不安定化による調達難や資材価格の高騰、円安による輸入コストの上昇が幅広い業界でマイナス要素となっている。中小零細企業では利益確保が困難となる企業も見られ、価格転嫁や賃上げが十分に進まなければ、個人消費の低迷などで景気が下振れする可能性がある。

・景気DI

「京都」の景気DIは前月比1.3ポイント増の43.4となり、32ヵ月ぶりに3カ月連続の回復となった。『全国』(43.6)を下回ったが、格差は▲0.2ポイント(前月▲0.5ポイント)に縮小した。『近畿』の順位は2位(同2位)と横ばいだったが、都道府県別の順位は14位(同16位)に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は51.8(前月48.3)、「中小企業」は42.1(同41.0)、「小規模企業」は39.4(同39.1)となり、全指標で改善した。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は9.7(同7.3)と3ヵ月ぶりに拡大、二桁に迫る水準となった。

・業界別DI

5業界が改善したが、『卸売』『小売』の改善幅は小幅で、依然として40割れが続く。一部の企業ではインバウンドの恩恵を受けるが、「ナフサショックで在庫を積み増した得意先からの受注が減少」(卸売)など、調達難によるしわ寄せ、物価高、金利上昇などを懸念する声が多くを占める。

・先行き見通しDI

「3カ月後」44.8(前月43.7)、「6カ月後」44.6(同44.1)、「1年後」44.5(同44.5)となり、「3カ月後」と「6カ月後」は前月を上回った。業界別では『不動産』『小売』『サービス』、規模別では「中小企業」「小規模」が全指標で前月を上回った。

■兵庫県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.2

0.9

2カ月連続の改善

・概況

「兵庫」の景気DIは2カ月連続の改善となった。中東情勢の不透明感は依然強いなか、大企業を中心として『製造』などでは回復傾向が出始めてきた模様。「液晶、半導体関連はともに好調」(製造)、「インバウンド需要は継続して好調」(卸売)など好調な業界がある一方、資材調達や原油価格など中東情勢の影響を受ける『建設』『運輸・倉庫』ではネガティブな見解も多かった。また兵庫県の財政悪化の報道を受け『建設』では公共投資に対する懸念の声もあった。今後は中東情勢とその影響、為替や物価高、個人消費の動向が注目される。

・景気DI

「兵庫」の景気DIは前月比0.9ポイント増の41.2で2カ月連続の改善となった。前年同月比では0.7ポイント下回った。全国順位は30位(前年同月20位)。『全国』は前月比1.0ポイント増の43.6、『近畿』は同1.1ポイント増の42.6でともに3カ月連続の改善となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.0ポイント増の47.2で3カ月連続の改善となった。「中小企業」は同0.6ポイント増の40.4、うち「小規模企業」は同1.3ポイント増の39.0でともに2カ月連続の改善となった。規模間格差は6.8ポイント(前月4.4)と2.4ポイント拡大した。

・業界別DI

10業界中4業界で改善。『製造』は、前月比1.7ポイント増の43.9で3カ月連続の改善。『卸売』は同2.5ポイント増の41.8で2カ月連続の改善。他方、『運輸・倉庫』は同3.9ポイント減の40.5、『建設』も同1.0ポイント減の39.3でともに2カ月ぶりの悪化となった。

・先行き見通しDI

3カ月後は前月比1.2ポイント増、6カ月後は同0.1ポイント増、1年後は同0.3ポイント増と全指標で改善。業界別では『不動産』『卸売』『小売』『サービス』の4業界で全指標改善。一方、『建設』『運輸・倉庫』などで全指標悪化となった。規模別では「大企業」「小規模企業」で全指標改善となった。

■滋賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.6

2.9

2カ月ぶりに改善、近畿ブロック内順位で1位に返り咲く

・概況

「滋賀」の景気DIは前月比2.9ポイント改善した。企業からは「住宅価格の高騰に加え、各種建材価格や設備が9月に値上がりするとされ景気の悪化に拍車がかかる」(建設業)、「食品向け消費税減税が実施されれば外食産業を直撃する」(飲食業)といった声がある一方、「価格転嫁が以前よりしやすくなった」(卸売業)、「観光客数が増えている」(小売業)などの声が聞かれ、しばらくは景気動向について注視していくことが肝要であろう。

・景気DI

「滋賀」の景気DIは44.6と前月比2.9ポイント改善した。業界別では悪化が4業界、改善が3業界、横ばいが1業界となった。近畿ブロック内の2府4県別順位は1位に上昇し、全国においては10位(前年同月は14位)となった。

・規模別DI

「大企業」が38.9と前月比3.7ポイント、「中小企業」が45.3と同3.0ポイント、「小規模企業」が44.9と同2.3ポイントそれぞれ改善した。また、「大企業」は4カ月連続で「中小企業」を下回った。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中4業界で悪化、3業界で改善、1業界で前月比横ばいとなった。『建設』『製造』『サービス』が改善した一方で、『不動産』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』が悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が44.6(前月44.1)、「6カ月後」が44.7(同44.1)、「1年後」が44.9(同45.0)だった。為替動向の変動や国際情勢が影響して景況感は動いており、資材価格高騰や人件費負担の増加に加え、金利上昇により資金調達に苦戦する中小企業が増える可能性がある。

■奈良県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.5

0.1

3カ月連続改善

・概況

「奈良」の景気DIは39.5と前月より0.1ポイント改善し、3カ月連続で前月を上回ったものの、3カ月後、6カ月後、1年後の先行き見通しDIは悪化した。中東情勢の再燃が懸念されており、各業界では「資材価格が高騰しているが、ダンピング受注が大量増加しどんどん価格が下がっている(建設)」や、「物価高騰に賃金UP、更には中東問題と先行き不透明感が影響している(サービス)」といった足元の厳しい環境を訴える声がある。物価高や不透明な市況への懸念も聞かれ、当面は一進一退が続くであろう。

・景気DI

「奈良」の景気DIは、前月比0.1ポイント改善の39.5と3カ月連続で前月を上回った。都道府県別では41位と前月の35位から悪化。「全国」43.6と比較で4.1ポイント下回った。「近畿」では滋賀が44.6で全国10位、京都が43.4で同14位となり、「近畿」は42.6と前月比1.1ポイント改善した。

・規模別DI

「大企業」は44.4と前月比5.6ポイント悪化、「中小企業」は39.0と同0.5ポイント改善、「小規模」は36.9と横ばいとなった。「中小企業」は改善しており、規模間格差は5.4と前月比6.1ポイント縮小している。

・業界別DI

『不動産』は前月比0.8ポイント悪化し36.7と低調な推移となり、『建設』は44.4と前月比0.6ポイント、『小売』は33.3と同11.1ポイント、『サービス』は40.0と同1.7ポイントそれぞれ悪化した。前月比で改善したのは『製造』『卸売』『運輸・倉庫』の3業界にとどまった。

・先行き見通しDI

3カ月後41.2(前月41.3)、6カ月後40.7(同42.6)、1年後42.7(同43.9)と全3指標で前月より悪化した。全3指標が悪化したのは、規模別では「大企業」、業界別では『建設』『小売』『運輸・倉庫』の3業界。業界別で全3指標が改善したのは『卸売』のみだった。

■和歌山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.7

3.0

2カ月連続で改善

・概況

「和歌山」は、前月比で3.0ポイント増の40.7と2月以来5カ月ぶりに40ポイント台を回復した。ただ、物価高を背景に消費者の節約志向は強まっており、消費動向は総じて鈍い。加えて、戸建ての販売動向も低調であることに加えて、公共工事の案件も前年に比べて少なく、損益環境は厳しい。為替相場も円安基調が続き、輸入価格の上昇もあり、原料等の調達コストは高まる一方で、県内企業も採算ラインの確保に苦労している。当面はこの状況が続くと見られるが、DIが持続的に改善するか確認していきたい。

・景気DI

「和歌山」は、前月比で3.0ポイント増の40.7と2カ月連続改善した。ただ、『全国』(43.6)と『近畿』(42.6)を下回っており、平均的な景況感には至っていない。

・規模別DI

「中小企業」が前月比2.3ポイント増の39.4となったほか、「大企業」も前月比10.4ポイント増の52.1と大幅に改善した。「中小企業」は40ポイントを下回ってはいるものの、「大企業」は50ポイントを回復し、今後も県内の「大企業」がDIを牽引できるか注目が集まる。

・業界別DI

『小売』(45.8)『サービス』(44.1)『製造』(38.0)『建設』(38.0)『運輸・倉庫』(36.1)といずれの業界も前月比では改善した。ただ、『製造』『建設』『運輸・倉庫』は40ポイントを割り込んでおり、回復が待たれる。

・先行き見通しDI

3カ月後が42.6(前月41.7)、6カ月後が43.1(同42.8)、1年後が42.9(同42.4)と3指標ともに見通しは3カ月連続で改善した。前月同様、足元の景況感には力強い回復力には乏しいものの、価格転嫁が少しずつ進み、業況は一応維持されている会社が多く、今後への希望的観測が背景にあると思われる。

「近畿ブロック(2026年7月)」の詳細(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)