レポート

TDB景気動向調査2026年6月(東北ブロック:青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)

■東北ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.4

0.3

4カ月ぶりの改善

・概況

景気DI(38.4)は4カ月ぶりに改善したものの、ブロック別順位は10位にとどまった。自治体の物価高対策で、消費動向に効果を実感する事業者がみられた一方、全体としては中東情勢の影響によるコスト上昇や納期遅延により業況の悪化を感じる声が多かった。コスト上昇を自助努力で吸収するにも限界があるとの意見が散見されるなか、中東情勢の緊張緩和による仕入れ価格上昇の一服に期待が寄せられている。しかし、正常化には時間を要するとみられ、さらなる悪化リスクもはらんでいるため、景気動向は低位で推移すると思われる。

・景気DI

景気DI(38.4)は前月比0.3ポイント増となり、4カ月ぶりに改善した。『全国』(42.6)との格差は4.2で同0.7ポイント拡大した。県別では、改善5県(「青森」「岩手」「宮城」「秋田」「山形」)、悪化1県(「福島」)となった。

・規模別DI

「大企業」(42.9)が前月比1.1ポイント増、「中小企業」(38.0)も同0.3ポイント増となった。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は4.9となり、同0.8ポイント拡大した。

・業界別DI

改善が『金融』『卸売』『建設』などの6業界、悪化が『農・林・水産』『小売』『サービス』などの4業界となった。『その他』を除く9業界では『農・林・水産』(45.7)が最も高く、『小売』(33.5)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は40.6(当月比2.2ポイント増)、「6カ月後」は41.3(同2.9ポイント増)、「1年後」は41.6(同3.2ポイント増)となった。前月との比較では全ての指標で改善した。

■青森県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.8

1.3

2カ月ぶりに改善

・概況

「青森」の景気DIは前月比1.3ポイント増の40.8となり、2カ月ぶりに改善した。物価高の影響により『小売』全般が悪化するなか、低下傾向にあった建設需要の回復により『建設』や「電気機械製造」など一部の『製造』の改善が全体を押し上げた。全体としては、物価高や最低賃金の高まりなど、依然としてコスト上昇圧力が強まるなか、今後もしばらくは一進一退の足踏み状態が続く可能性が高い。

・景気DI

景気DIは40.8となり、1.3ポイント改善した。都道府県別順位は25位と、前月の27位から上昇し、東北6県の中では秋田に次いで2位。全般的に低下傾向にあるなか、電気機械製造などの製造の一部業種が全体を押し上げた。

・規模別DI

「大企業」は39.6と前月から7.6ポイントの大幅悪化となった一方、「中小企業」は40.9と2.1ポイント改善、更に「小規模企業」も42.2と前月から3.5ポイント改善された。

・業界別DI

業界別では、低下傾向にあった『建設』が改善したほか、関連する「建材卸売」なども改善した。一方、物価高を受けて、『小売』全般で悪化したほか、一部連動する『運輸・倉庫』も悪化した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」、「6カ月後」が前月比改善した一方、「1年後」は横ばいとなった。「3カ月後」は2カ月ぶり、「6カ月後」は4カ月ぶりにそれぞれ改善され、特に6月下旬に発生した地震による復旧需要を一部見込んだ『建設』などが全体を押し上げた。

■岩手県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

35.7

0.1

一進一退を繰り返す

・概況

景気DIは2カ月ぶりに改善したが、10カ月連続で40を下回り、都道府県順位は全国45位に低下した。「大企業」が判断の分かれ目となる50を3カ月ぶりに回復したが、「中小企業」は21カ月連続で40を下回った。業界別では『卸売』『小売』『サービス』の苦境が目立つ。先行き見通しは「3カ月後」「6カ月後」「1年後」のすべてで40を下回った。円安や物価高、金利上昇の影響に加え、中東情勢の行方にも留意が必要であり、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比0.1ポイント増の35.7となり、2カ月ぶりに改善したが、10カ月連続でDIが40を下回った。過去1年間で40を上回ったのは2025年8月の1度のみ。都道府県順位は前月の44位から45位に低下した(前年同月は全国41位)。

・規模別DI

「大企業」は前月から3.7ポイント改善し、今年3月以来で判断の分かれ目となる50を回復した。「中小企業」は同0.1ポイント増の34.8にとどまり、21カ月連続で40を下回った。「大企業」と「中小企業」の格差(大企業-中小企業)は15.2となった(前月は11.6)。

・業界別DI

『小売』が前月比2.5ポイント増の29.6と上向いたが、引き続き低水準にとどまった。『卸売』は過去1年間で最も低い25.0に悪化し、『サービス』も前月比5.7ポイント減の36.5に低下した。『建設』は2026年に入ってから初めて40を回復した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が39.3、「6カ月後」が38.9、「1年後」が39.7と、いずれも前月から改善したが40には届かなかった。特に「6カ月後」はブロック最低にとどまり、全国の水準にも及ばなかった。

■宮城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

37.1

1.8

4カ月ぶりの改善

・概況

景気DI(37.1)は前月比1.8ポイント増と4カ月ぶりに改善に転じたものの、18カ月連続で30台にとどまっている。ナフサ不足を背景とした資材不足の影響がみられるほか、個人消費の落ち込みなど不安定な状況が続いている。特に『製造』は、原材料や資材、人件費などあらゆるコストの上昇が経営に大きなダメージを与えている。今後も中東情勢が長期的に影響を及ぼすことが想定されるなか、金利上昇の影響も懸念され、景気動向は低位で推移することが見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比1.8ポイント増の37.1となり、4カ月ぶりに改善に転じたものの、18カ月連続で30台にとどまっている。『全国』(42.6)との比較では5.5ポイント下回り、格差は前月から0.8ポイント縮小した。都道府県別順位は42位と前年同月(46位)から改善したが依然として低位にとどまった。

・規模別DI

「大企業」(41.7)が前月比4.2ポイント、「中小企業」(36.5)が同1.4ポイントそれぞれ増加した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は5.2で同2.8ポイント拡大した。「大企業」は3カ月ぶりに40台となった。

・業界別DI

改善は『運輸・倉庫』『卸売』『建設』などの5業界、悪化は『農・林・水産』『不動産』『小売』などの4業界、横ばいは『金融』の1業界となった。業界別では『金融』(50.0)が最も高く、『小売』(27.0)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は39.3(当月比2.2ポイント増)、「6カ月後」は41.2(同4.1ポイント増)、「1年後」は42.4(同5.3ポイント増)となった。前月との比較では全ての指標で改善した。

■秋田県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.6

2.5

3カ月ぶりに改善

・概況

景気DIは、『東北』が前月比0.3ポイント、『全国』は同1.0ポイント改善した。一方、米国とイランの紛争終結と緊張緩和を目指す「合意文書」の署名により、今後、景気は持ち直すとの見方もあるが、恒久的な最終合意に至るまで道のりは不透明な状況に変わりはない。このような中で、依然としてナフサ不足等から様々な資材価格の上昇が続いており、一部工事の遅延や延期、中止なども散見される。加えて県内では例年に比べて公共工事の発注が少ないとの声もあり、当面の景気は厳しい局面が続くと予想される。

・景気DI

「秋田」の景気DIは42.6と5月から2.5ポイントアップし、3カ月ぶりに改善した。『東北』6県では前月の第1位をキープし、『東北』(38.4)を4.2ポイント上回った。また、都道府県順位は前月の第22位から第11位にアップし、『全国』(42.6)と同率となった。

・規模別DI

規模別では、「大企業」(47.9)は前月から6.2ポイントアップしたほか、「中小企業」(42.1)は同2.1ポイント改善した。「中小企業」の中でも小規模企業(34.5)は前月比4.5ポイントアップした。

・業界別DI

業界別では、『サービス』の1業界が前月比で悪化した一方、『運輸・倉庫』は横ばい、『卸売』『製造』『不動産』『小売』『農・林・水産』『建設』の6業界が改善した。改善した中では『不動産』(44.4)の同11.1ポイント増が目立った。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、イラン情勢が今後落ち着くとみて、「3カ月後」43.9、「6カ月後」44.3と緩やかに上昇するとしている。しかし、「1年後」42.8と再びダウンするとの見方であり、資材不足や物価高等により先行きへの不安要素が払しょくされたとは言えないようだ。

■山形県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.4

0.4

2カ月連続改善

・概況

「市場での販売単価が好調に推移した」(農・林・水産、小規模企業)、「農業機械メーカー。昨年の米価高騰で農家の購買意欲が高い状態が続き景気は良好」(製造、小規模企業)など、一部業界では好調な声が聞かれる。一方で「資材高騰、労務費高騰、公共工事の減少」(建設、中小企業)、「少子化、物価高、金利上昇」(不動産、小規模企業)、「ホルムズ海峡、ナフサ不足の影響が値上げという形で出ている」(飲食料品小売、中小企業)など、全体的な物価高騰に加え、人口減少などの市場環境を要因とした厳しいコメントが依然として多い。

・景気DI

「山形」の景気DIは前月比0.4ポイント改善の40.4となり2カ月連続で上昇した。『全国』のDIも前月比1.0ポイント改善し42.6となり、『東北』のDIは4カ月ぶりに改善に転じ同0.3ポイント増の38.4となった。「山形」は2023年8月に示したDI40.5以来の高い水準となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比5.0ポイント悪化の40.0を示した。「中小企業」は2カ月連続の改善となり前月比0.8ポイント上回る40.4を示した。うち「小規模企業」は前月比2.5ポイント低下の35.6と2カ月ぶりに悪化に転じた。

・業界別DI

業界別DIは前月比改善したのは2業界で、2カ月ぶりに改善の『製造』、3カ月ぶり改善の『卸売』のみ。前月比悪化したのは『農・林・水産』『建設』『不動産』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界。『金融』は同横ばい。ただし、DIが40を上回るのは『農・林・水産』『製造』『小売』『サービス』の4業界。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は2カ月連続改善し、前月比1.6ポイント増の41.7、「6カ月後」も同様に2カ月連続改善の同2.0ポイント上昇の42.8を示した。「1年後」は3カ月連続改善の43.7と前月比0.9ポイント上昇するなど、先行きが改善する見方が強まる。

■福島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

36.0

-3.7

3カ月ぶりに悪化

・概況

6業界が悪化したことを受け、「福島」の景気DIは36.0となり、前月比で3.7ポイント低下した。企業からは、「案件を順調に獲得」(建設)との前向きな声が聞かれる一方、「県北地方では公共事業が少ない」(建設)、「ナフサ由来製品の入荷が滞り、出荷できない製品がある」(製造)、「建設資材の納品遅れや舗装合材の品薄の影響で苦戦している」(サービス)といった厳しい声も寄せられている。資材不足や価格上昇などの影響が中小企業の経営にも着実に波及しており、当面の景気動向は不透明かつ不安定な状態で推移する可能性が高い。

・景気DI

「福島」の景気DIは、36.0と5月を3.7ポイント下回って、3カ月ぶりに悪化したほか、4カ月連続で30台にとどまった。『全国』の景気DIは、前月(41.6)を1.0ポイント上回り、42.6となった。「福島」の都道府県別順位は、前月の第25位から第44位となった。

・規模別DI

「大企業」(43.1)は前月比2.8ポイント上昇、「中小企業」(35.3)は同4.3ポイント低下、「小規模企業」(30.3)は同5.1ポイント低下した。格差(大企業-中小企業)は7.8となり、4カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

『金融』『不動産』は改善したが、『農・林・水産』『製造』『卸売』『小売』『サービス』『建設』の6業界が悪化した。『製造』は2カ月ぶりに30台に悪化したほか、『建設』は2カ月連続30台で推移したうえ、『小売』は22カ月連続で30台にとどまった。

・先行き見通しDI

「1年後」の先行き見通しDIは7業界が当月からの改善を見込んでいる。特に『運輸・倉庫』は当月(33.3)から11.9ポイント、『小売』は同(33.3)から5.9ポイント、『金融』『製造』『卸売』なども改善を見込んでいる。一方、業界比率の突出している『建設』の「1年後」が当月(36.0)から2.0ポイント低下を見込んでおり、やや懸念される。

「東北ブロック(2026年6月)」の詳細(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)