レポート

TDB景気動向調査2026年6月(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)

■九州ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.0

1.0

4カ月ぶりに改善

・概況

『九州』の景気DIは、43.0と4カ月ぶりに改善した。企業からは「政権の政策もあり造船業界の設備投資が活況で、今後の電力需要増に伴う発電所関係の引き合いも増加している」(福岡県、機械製造)などの声が聞かれる。DI50台は、県別では「沖縄」のみ。依然として、中東情勢の影響にともなう関連製品の価格高騰、調達難もあるが、インバウンド需要などは堅調を維持していることから、当面、一進一退の推移が見込まれる。

・景気DI

『九州』(43.0、前月比1.0ポイント増)は4カ月ぶりに改善した。10業界中6業界、8県中7県で改善。『九州』8県中10位以内は4県。先行き見通しDIは「3カ月後」、「6カ月後」「1年後」の全てで2カ月連続改善した。ブロック別では16カ月連続で全国2位。

・規模別DI

「大企業」(46.4、前月比0.8ポイント増)は5カ月ぶり、「中小企業」(42.5、同1.0ポイント増)は4カ月ぶりに改善。39カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。「小規模企業」は40.1(同1.5ポイント増)と2カ月連続で改善。

・業界別DI

『金融』(43.3、前月比1.8ポイント減)など4業界で悪化したものの、『不動産』(47.3、同5.8ポイント増)、『運輸・倉庫』(42.9、同2.4ポイント増)など10業界中6業界で改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(44.7、前月比2.5ポイント増)、「6カ月後」(46.3、同3.6ポイント増)、「1年後」(47.6、同3.0ポイント増)の全てで2カ月連続改善した。業界別では、『農・林・水産』で全指標悪化したものの、『金融』など8業界で全指標が改善した。

■福岡県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.5

1.3

4カ月ぶりの改善

・概況

「福岡」の景気DIは、中東情勢の先行き不透明感などの影響もあるものの、インバウンド需要や設備投資の高まりから、4カ月ぶりに改善した。企業からは「中東情勢の影響でモノの動きが鈍い」(卸売)などのコメントがある一方で、「受注環境は良好で、分譲マンションや小規模ホテルの需要は引き続き堅調」(建設)などの声があった。中東情勢等の影響による物価上昇などが多くの業界でマイナス要因であるが、インバウンド効果により一部の業界は好調を維持しており、今後も景気DIは一進一退の推移が見込まれる。

・景気DI

「福岡」(44.5、前月比1.3ポイント増)は、4カ月ぶりの改善。業界別では、『農・林・水産』『建設』『不動産』など7業界で改善。『金融』『小売』『その他』で悪化。都道府県別順位は6位で前月と同じ。『九州』8県での順位も前月と同じ3位となった。

・規模別DI

「大企業」46.9(前月比0.1ポイント増)は3カ月連続の改善。「中小企業」44.0(同1.5ポイント増)、「小規模企業」42.9(同2.1ポイント増)はいずれも4カ月ぶりの改善。規模間格差は「大企業」が「中小企業」を2.9ポイント上回った。

・業界別DI

『農・林・水産』(50.0、前月比8.3ポイント増)、『建設』(46.9、同1.7ポイント増)、『不動産』(49.2、同1.1ポイント増)など7業界で改善。『金融』(38.9、同2.8ポイント減)、『小売』(39.3、同1.4ポイント減)、『その他』(41.7%、同8.3ポイント減)で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(46.6、前月比3.0ポイント増)、「6カ月後」(47.9、同4.2ポイント増)、「1年後」(49.1、同3.1ポイント増)は、いずれも2カ月連続の改善。『農・林・水産』『その他』を除く8業界で3指標全て改善した。

■佐賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.4

0.2

2カ月連続で改善

・概況

「佐賀」の景気DIは前月から0.2ポイントと小幅ながら改善し、2カ月連続の改善となった。これまで改善と悪化を繰り返すことが続き、2カ月連続で改善したのは2024年12月以来となった。中東情勢の影響を受けつつも、徐々に調達面の支障も軽減してきており、回復への期待感は高まっている。ただ、今後も食料品だけでなく各種資材まで幅広く値上げが行われる様相であり、個人消費の減速による景気後退は懸念され、今後の景気の行方が注視される。

・景気DI

「佐賀」の景気DIは42.4と、前月から0.2ポイントと軽微ながら2カ月連続で改善した。2カ月連続で改善するのは2024年12月以来1年6カ月ぶり。『九州』では「宮崎」を除く全県で改善し43.0。『全国』(42.6)とともに改善し、「佐賀」の都道府県別順位は前月の10位から13位に後退した。

・規模別DI

「大企業」「中小企業」「小規模企業」のいずれの規模で前月より改善した。全規模で2カ月連続改善したのは2020年7月以来。「大企業」の0.1ポイント改善に比べ、「中小企業」「小規模企業」の改善幅が大きく、規模間格差は5.7と前月より0.6ポイント縮小した。

・業界別DI

『卸売』『小売』では、飲食料品関連は堅調ながら、中東情勢の影響を受けているナフサに由来する商品を扱う先が悪化している。他業界においても取り扱う商材のほか、得意先が石油化学系となる先は苦戦しており、一概に良悪を言い難い状況が続いている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は44.7(前月42.2)、「6カ月後」は47.4(同42.7)、「1年後」は45.9(同43.5)と全指標で前月より改善した。中東情勢の影響を受けているものの、徐々に緩んできており、中長期的には改善を見込んでいる先が多かった。

■長崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.5

0.8

2カ月連続で改善

・概況

「長崎」の景気DIは前月比0.8ポイント増の39.5と2カ月連続で改善した。「全国的な供給不足により生産が伸びているが材料価格も上昇している」(製造)や「造船業界の仕事量は多くなっている」(製造)など主に製造業で受注増加を背景とした前向きな声が聞かれた。他方で、「大企業は活況だが中小企業への恩恵はまだ」(サービス)といった声や「政策金利の引き上げによる住宅ローン金利の上昇」(不動産)を懸念する声もあり、「長崎」の今後は、受注回復や価格転嫁の浸透により緩やかな回復軌道に移行する可能性が見込まれる。

・景気DI

「長崎」の景気DIは前月比0.8ポイント増の39.5となり、2カ月連続で改善した。『九州』8県中7県で改善したため、九州ブロック内順位は7位のままであった。都道府県別順位は、前月の35位から1つ上がって34位となったが、全国平均(42.6)との差は依然として大きい。

・規模別DI

「大企業」は前月比5.1ポイント増の36.9、「中小企業」は同0.4ポイント増の39.9、「中小企業」のうち「小規模企業」は同4.0ポイント増の39.9となった。「大企業」の改善幅が「中小企業」の改善幅を上回ったため、規模間格差は▲3.0に縮小した。

・業界別DI

前月から改善した業界は『建設』『不動産』『製造』の3業界となった。悪化した業界は『農・林・水産』『金融』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界となった。中でも『不動産』が大幅に改善した一方、『小売』『運輸・倉庫』などコスト負担が高い業種ほど悪化が目立つ結果となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」41.9(前月比1.4ポイント増)、「6カ月後」43.9(同3.1ポイント増)、「1年後」45.8(同2.6ポイント増)と各項目とも前月から改善し、先へ行くほど改善の見通しとなった。業種別にみると『建設』『製造』が先へ行くほど改善の見通しとなっている。

■熊本県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.4

2.5

景気は緩やかな回復基調も、企業のコスト負担は増加

・概況

「熊本」の景気DIは前月比2.5ポイント増の43.4と2カ月ぶりに改善した。「TSMCの熊本県進出を契機とした半導体企業の集積による経済への波及効果は大きい」(サービス)など明るい話題が見られた一方で、「ナフサ不足により商品が流通しないなどの間接的な影響が出ている」(卸売)と不安を示す声は多い。賃上げが継続し個人消費の下支えになっているが、人件費上昇により企業負担は増加している。また、資材価格やエネルギー価格の高止まりが企業収益を圧迫していることから、今後の景気は足踏みの状況が続くとみられる。

・景気DI

「熊本」の景気DIは43.4で前月比2.5ポイント増と2カ月ぶり改善した。また、『九州』(43.0)は前月比1.0ポイント増となり、全国(42.6)も同1.0ポイント増となった。なお、「熊本」の都道府県別順位は第9位(前月第16位、前年同月第4位)と前月から7ランク上がった。

・規模別DI

「大企業」の景気DIは46.3と前月から0.4ポイント減となり、「中小企業」は43.2と同2.7ポイント増となった。35カ月連続で「大企業」が「中小企業」の景気DIを上回り、規模間格差(大企業-中小企業)に関しては「大企業」が悪化し「中小企業」は改善したため、差は3.1ポイントに縮小した。

・業界別DI

9業界中、改善した業界は『農・林・水産』『不動産』『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の7業界となった。一方で悪化した業界は『金融』『建設』の2業界となった。TSMC第2工場建設の進展により半導体関連投資とこれらに付随した需要が県内経済を下支えし、改善した業界が増加した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは「3カ月後」が44.2(前月41.2)、「6カ月後」は46.4(同41.2)、「1年後」は47.1(同43.1)となった。一定のインバウンド需要は保たれており、これに関連したサービス業なども好調となっているため、「3カ月後」「6カ月後」「1年後」はいずれも改善した。

■大分県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.9

1.0

6カ月ぶりに改善

・概況

中東情勢において先行き不透明感が強まり、原油由来の各種商材の調達難から幅広い業種でDIは低水準となった。建設資材の調達難や値上げにより現場に遅れが出るなど影響が続いている。小売でも資材の高騰や不足による各種商品の値上がりから、消費者の節約志向は高まっている。政府による為替介入はあったが円安基調に変わりはなく、ナフサ不足が各種商材不足や価格高騰を招き出口が見えず、幅広い業種で不安視する意見が広がっている。事態の改善には時間を要するため、県内の景気動向は改善に向けて模索する局面になると推察される。

・景気DI

「大分」の景気DIは44.9となり、6カ月ぶりに改善した。全国順位は第5位(前月第4位・前年同月第2位)と前月から順位を1つ下げた。判断の分かれ目となる「50」を18カ月連続で下回っている。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.7ポイント増の47.9、「中小企業」は同0.7ポイント増の44.5となり、「中小企業」のうち「小規模企業」は同1.1ポイント増の43.6となった。規模間格差は3.4となり、8カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

業界別では『小売』が前月比4.8ポイント増の44.4となり、『サービス』は同2.8ポイント増の51.9となって2カ月ぶりに「50」を上回った。『運輸・倉庫』は同3.3ポイント減の30.0と悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」45.1(前月44.1)、「6カ月後」47.6(同44.8)、「1年後」48.2(同45.7)と3指標のいずれも前月から改善した。業界別では、『製造』は2指標が50を上回ったが、『建設』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』は3指標いずれも「50」を下回った。

■宮崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

34.5

-1.1

2カ月ぶりに悪化

・概況

宮崎県の景気は「緩やかに回復」と据え置かれたが、長引く円安や米イラン間の緊迫化が、この月の動きに影を落としている。歴史的な円安水準や地政学リスクに伴う原油高は、インバウンドや好調な観光を支える一方、輸入原材料のコスト高を一段と加速させた。この影響で、6月も製造業の生産活動や住宅投資には「弱めの動き」が続いている。コスト圧迫による企業の設備投資への慎重姿勢や、家計の購買力低下といった先行きへのリスクが、6月時点でより意識される形となっている。

・景気DI

「宮崎」の景気DIは34.5で、前月比1.1ポイント減と2カ月ぶりに悪化した。『九州』(43.0)と比較して8.5ポイント減、全国(42.6)と比較しても8.1ポイント減となった。全国順位に関しては、前月の33位から13位ランクダウンして46位となった。

・規模別DI

「大企業」は50.0で横ばいだった。「中小企業」は32.8で2.0ポイント悪化した。規模間格差(大企業-中小企業)は17.2となり、同2.0ポイント拡大した。「中小企業」に含む「小規模企業」は31.9で同1.4ポイント改善した。

・業界別DI

『製造』は38.9で前月比0.5ポイント減、『非製造』は33.8で同1.2ポイント減となり、『製造』『非製造』ともに2カ月ぶりに悪化した。『製造』は「鉄鋼・非鉄・鉱業」が2カ月ぶりに悪化した。『非製造』は、「機械・器具卸売」、「運輸・倉庫」が悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は36.3で前月比2.3ポイント増、「6カ月後」は39.0で同3.1ポイント増、「1年後」は43.0で同3.6ポイント増とそれぞれ前月と比較して改善した。『九州』と『全国』の「3か月後」、「6カ月後」、「1年後」と比較しても宮崎の先行き見通しDIはそれぞれ下回った。

■鹿児島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.6

0.7

4か月ぶり改善

・概況

「鹿児島」の景気DIは39.6と4カ月ぶりの改善となった。一部企業からは「販売価格の高値推移」や「株価高騰による景気上昇」などを期待する声も上がったが、「物価高」や「原料調達難」、「中東情勢」に対する懸念を口にする企業が過半を占めた。特に「原料高騰」を不安視する声が多く聞かれるなどリスク要因が目立つ中で、先行きへの不透明感は払拭されない状態が続いており、引き続き県内情勢は今しばらくの苦戦を強いられるであろう。

・景気DI

「鹿児島」の景気DIは39.6と前月比0.7ポイント改善、「九州」は同1.0ポイント改善の43.0、、「全国」も同1.0ポイント改善の42.6となった。全国的に改善が進む中、鹿児島の改善幅は平均を下回ったことで、都道府県別順位は前月から変わらず33位に留まった。なお、26年上半期の平均DIは40.6と前年同期平均DIに対し2.4ポイント悪化した。

・規模別DI

「大企業」は前月から0.9ポイント改善の47.6であったほか、「中小企業」は同0.5ポイント改善となる39.0、「中小企業」のうち「小規模企業」は同0.5ポイント改善の35.6となった。各規模で改善がみられたが、「大企業」の改善幅が大きかったことで、規模間格差(大企業-中小企業)は、0.4ポイント拡大した。

・業界別DI

『金融』『建設』『不動産』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界が改善となった一方、『農・林・水産』『製造』、『卸売』の3業界が悪化した。6業界以上が改善するのは令和8年2月以来となる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は41.5と前月比1.6ポイントの改善、「6カ月後」は42.3と同2.2ポイントの改善となったほか、「1年後」も44.5と同1.9ポイント改善した。中東情勢の改善などを背景にナフサ関連の落ち着きなどを期待する企業もみられ、各指標で改善がみられた。

■沖縄県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

50.9

0.4

3カ月ぶりに改善

・概況

「沖縄」の景気DIは3カ月ぶりに改善した。建設や不動産業界での投資継続と、観光業界がけん引した形となっている。ただ、改善幅は僅かであり、「中東情勢による石油由来製品不足及び価格高騰の影響が出ている」との声も多く、1年前の景気DI(55.9)と比べ5ポイントも悪化しているため、景況感は決して良い状態とは言い難い。また、中東問題解決に向かう前向きなニュースが流れているものの、その影響はすぐに解消できるものでもないため、引き続き景況感を注視する必要がある。

・景気DI

「沖縄」の景気DIは前月比0.4ポイント(以下、P)増の50.9となった。業種別では8業界中、4業界が改善となり、悪化は2業界のみとなった。また、都道府県別順位は39カ月連続で全国1位が続き、『全国』(42.6)、『九州』(43.0)を上回っている。

・規模別DI

「大企業」(55.6、前月比5.6P増)は2カ月連続の改善、「中小企業」(50.5、前月比横ばい)は3カ月連続の悪化を回避したが、「中小企業」のうち「小規模企業」(46.5、前月比8.1p減)は3カ月ぶりの悪化となり下落幅が大きくなった。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、『小売』(9.1P減)、『サービス』(2.0P減)の2業界が悪化し、『金融』、『運輸・倉庫』の2業界が横ばいだったが、『建設』(1.2P増)、『不動産』(1.9P増)、『製造』(3.2P増)、『卸売』(9.5P増)の4業界が改善となった。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」が51.4(前月48.9)、「6カ月後」は52.7(前月50.7)、「1年後」は52.5(前月50.2)で、3指標とも2カ月連続の改善となった。

「九州ブロック(2026年6月)」の詳細(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)