レポート

TDB景気動向調査2026年6月(北関東ブロック:茨城・栃木・群馬・山梨・長野)

■北関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.4

0.4

2カ月連続で改善

・概況

『北関東』の景気DIは前月比0.4ポイント増の41.4となり、2月連続で改善した。管内の4県、5業界で改善した。先行き見通しDIも3指標とも改善した。一部業界からは「設備投資が盛んで、建築物件が多い」(群馬、製造)、「酷暑でないため、客足が好調」(山梨、製造)など前向きな声が聞かれる一方、「原料・資材の高騰に歯止めがきかず、価格転嫁が進まない」(群馬、卸売)など中東情勢の影響が根強く残る。好調な業界は一部にとどまり、全体の現況としては低調のまま推移し、先行きは不透明な状況が続いている。

・景気DI

『北関東』の景気DIは前月比0.4ポイント増の41.4となり、2カ月連続で改善した。全国も改善し、県別では「山梨」が最も上昇幅が大きく、同1.9ポイント増の44.1で全国7位。「長野」、「群馬」、「茨城」も改善した一方、「栃木」は悪化した。全国10地域別の順位は6位(前月3位)となった。

・規模別DI

「大企業」(44.9、前月47.4)、「中小企業」(41.0、同40.3)、「小規模企業」(38.0、同38.6)となり、「中小企業」のみが改善した。「大企業」は前月比2.5ポイント減となり、昨年7月以来の44台。「小規模企業」は同0.6ポイントの減少。規模間格差は3.2ポイント縮小の3.9となった。

・業界別DI

全10業界中、5業界で改善。『建設』(前月比0.2ポイント増)は6カ月ぶりに改善した。『金融』は同5.5ポイントのプラスとなった。悪化したのは『不動産』(同4.2ポイント減)、『運輸・倉庫』(同1.3ポイント減)など4業界で『サービス』は3カ月連続で悪化した。『小売』は前月と変わらなかった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(43.8、前月41.1)、「6カ月後」(44.4、同41.2)、「1年後」(44.9、同43.1)となり、3指標とも前月から改善。県別では「3カ月後」は「長野」、「6か月後」「1年後」は「山梨」が最も高かった。業界別では「製造」の「1年後」が最も高く、「小売」の「3カ月後」が最も低い。

■茨城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.8

0.1

3カ月ぶりに改善

・概況

6月の景気DIは上昇するも改善幅は極めて限定的で、県内企業のマインドは弱含みが続く可能性が高い。中東情勢による材料価格の上昇、日銀利上げに伴う資金調達コスト増、過度な円安への警戒感が重荷となるだろう。原油価格は下落しているが、歴史的な円安で効果が相殺され、原材料高は長期化する公算が大きい。農業や製造業、物流関連が集積する茨城県では、材料費・燃料費の動向が収益を左右しやすい。価格転嫁が進みにくい中小・小規模企業を中心に下押し圧力は根強く、景況感は為替相場と中東情勢に左右される展開が続くとみられる。

・景気DI

景気DIは38.8と前月比0.1ポイント上昇し3カ月ぶりの改善。米国とイランが戦闘終結に向けた覚書で合意したとの発表を受け、中東情勢の緊迫感が後退。ホルムズ海峡封鎖の解除で、原油価格が下落に転じたことも好材料となり企業心理を下支えした。一方、原材料・エネルギー高への警戒感は根強く改善幅は限定的だった。

・規模別DI

「大企業」は38.3と前月比1.7ポイント悪化、円安進行に伴うコスト上昇や先行き不透明感が押し下げた。一方、「中小企業」38.8、「小規模企業」38.9は0.2ポイント改善。原油価格下落による物流費・燃料費の負担軽減への期待が、同プラス材料になるも改善幅は小幅にとどまり、全体的に弱さが残る結果になった。

・業界別DI

『農・林・水産』『運輸・倉庫』など6業界が改善した一方、『不動産』『サービス』の2業界が悪化、『金融』は横ばいだった。『農・林・水産』はホルムズ海峡封鎖解除で資材調達難の緩和が期待され、原油安による燃料・輸送費負担の軽減も追い風に。『不動産』は金利上昇による販売不振や投資抑制懸念が重荷となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」41.8(前月38.9)、「6カ月後」42.6(同40.3)、「1年後」42.9(同42.1)といずれも前月から改善。中東情勢の緊張の緩和を背景に、短期・中長期の双方で景気回復への期待が広がる。一方、原材料高の長期化や円安への警戒感は根強く、先行きには慎重な見方も残るとの企業の声も多い。

■栃木県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.2

-1.2

景気の足腰弱く、再び30台に転落

・概況

6月の景気DIは30台と厳しい環境を反映した結果となった。株価だけが異常な高騰を見せているものの、足元の地域経済や中小企業にはあまり関係のない現象だ。相変わらず、「価格転嫁に応じてもらえない」、「原材料の値上がりが酷く、利幅が確保できない」、「石油由来の商品流通が不安定」など、多くの業種や、事業規模に関係なくその懸念は広がっている。さらに、近時の円安も非常に不安をあおっている。栃木県内は製造業のボリュームが大きいこともあり、原価の高騰にいつまで持ち堪えられるのかといった声も聞かれる。

・景気DI

6月の景気DIは39.2と2カ月ぶりの悪化となり再び30台に転落した。イラン紛争に伴う原油の供給不安や、円安に歯止めがかからない影響もあり、一般消費の減退も著しい。県内製造業でもナフサ関係の供給不安が現実となり、大企業のマインドが下がり、業界別でも小売が再び20台になるなど厳しい景況感である。

・規模別DI

「大企業」40.8(前月47.7)、「中小企業」38.9(同39.0)、「小規模企業」37.0(同39.2)と、全ての規模で悪化した。大企業の悪化は著しく、大きなロットで原料を輸入するため、円安の影響を大きく受けることになる。一方で価格転嫁が進まない点や消費の減退の影響が中小企業を直撃している。

・業界別DI

景気をけん引していた『サービス』が3カ月連続で大幅な悪化となり40.2まで下落、『小売』も大幅悪化で28.2と20台になった。『建設』や『製造』なども一進一退が続いており、全体的に重苦しい感覚がある。集約できる点として、大半の川下企業では価格転嫁と一般消費は大きな障壁であると言える。

・先行き見通しDI

「3カ月後」42.4(前月41.3)、「6カ月後」42.4(同39.8)、「1年後」43.1(同40.9)と、すべてのカテゴリーで改善が見られた。ホルムズ海峡の開放などのニュースが入り、一時的な回復基調が見込まれた。しかし、依然混とんとしている中東情勢を見ると、決して楽観はできないと言えるだろう。

■群馬県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.8

0.1

2カ月連続で改善

・概況

群馬県内企業からは「半導体関連の短納期案件が増えており、多忙な状況が続く見込み」(製造)など、設備投資の活発化や増産対応の動きが見られるなど、局所的には明るい声が聞かれる。一方で、「原料・資材の高騰に歯止めがかからず、価格転嫁が進まない」(卸売)など厳しい意見もある。中東情勢の不透明感を危惧する企業は多く、供給面・コスト面の不確実性が高まっている。半導体関連など成長分野が下支えしているものの、人件費上昇、貸出金利の引き上げなど企業収益の足かせ要因が多く、景気の下振れリスクを高めている。

・景気DI

景気DIは前月比0.1ポイント増の39.8と2カ月連続で改善した。『全国』も同1.0ポイント増と2カ月連続で改善。「群馬」の改善幅は『全国』より小さく、47都道府県別順位は31位(前月25位)に後退した。他方、DIは40近くまで改善し、『北関東3県』においては「群馬」「栃木」「茨城」の順となった。

・規模別DI

「大企業」 は前月比1.9ポイント増の50.0と2カ月ぶりに改善した。一方で、「中小企業」は同0.1ポイント減となり2カ月ぶりに悪化。大企業の回復と中小企業の停滞が同時に進んだ。この結果、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は11.0となり、2カ月ぶりに拡大した。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界では、 『サービス』『小売』など3業界が改善。他方、『建設』『卸売』など6業界が悪化した。『建設』は2カ月連続で悪化、資材価格や人件費上昇による採算圧迫が景況感を抑制している可能性がある。価格転嫁に難航する 『卸売』も2カ月連続で悪化し、業界別で最低水準となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が42.0(前月39.8)、「6カ月後」が43.7(前月40.4)、「1年後」が44.5(前月42.0)となった。「3カ月後」「6カ月後」「1年後」の3指標全てが前月より改善した。「大企業」が54程度までの上昇を見込む一方で、「中小企業」は43、「小規模企業」については40前後にとどまる見通し。

■山梨県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.1

1.9

4カ月ぶりに改善

・概況

「山梨」の景気DIは4カ月ぶりに改善した。企業からは「塗料、テープ、養生ビニールなどが高騰、納期未定で仕事ができない」(建設)などの声に対し、「半導体製造装置メーカーの受注増加で製造が活発」(製造)などの声も聞かれた。先行きについては、半導体製造装置関連の受注が回復していることに加え、アメリカとイランが戦闘終結に向けた覚書に署名し、原油の安定供給に期待が高まり、景況感は改善したが、両国には未解決の課題が多く残されており、恒久的平和は不透明なため、一進一退が続くとみられる。 

・景気DI

「山梨」の景気DIは前月比1.9ポイント増の44.1となり、4カ月ぶりに改善した。全国は同1.0ポイント増の42.6だった。「山梨」は全国を1.5ポイント上回り、都道府県別順位は前月の10位から7位に上がった。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.6ポイント減の47.4、「中小企業」は同2.5ポイント増の43.6、「小規模企業」は同1.6ポイント増の37.9となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は、「大企業」が悪化したため、前月より5.1ポイント縮小して3.8ポイント差となった。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界中、4業界が改善、2業界が悪化、3業界が横ばいとなった。『建設』は中東情勢の緊迫化で資材価格が高騰し前月より4.5ポイント悪化した。判断の分かれ目となる50以上となったのは『農・林・水産』『金融』『不動産』の3業界。

・先行き見通しDI

「3カ月後」44.7(前月41.9)、「6カ月後」46.6(同42.5)、「1年後」46.9(同45.8)となった。先に行くほどDIは高くなっており、3指標とも前月の先行き見通しを上回っている。業界別で3指標ともに50以上となったのは、『農・林・水産』『金融』の2業界。

■長野県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.9

1.0

2カ月連続改善

・概況

「長野」の景気DIは2カ月連続で改善し、都道府県別順位は前月に続き8位と高水準となった。「半導体関連が活況」(出版・印刷)、「建設機械部品及び物件需要の増加」(機械製造)など、基幹産業である『製造』と『建設』が好調であるとする意見が聞かれる。一方で、「中東情勢の影響で石油製品が充分に入荷されない」(専門商品小売)、「仕入商品(石油製品)の値上がり、販売商材が未入荷、顧客の売り上げ減」(建材・家具卸売)など、モノ不足や価格高騰などから先行きについて不透明感を訴える声は依然多い。

・景気DI

「長野」の景気DIは43.9と前月比1.0ポイント上昇し、2カ月連続で改善。前年同月からも4.9ポイント改善した。前月からの改善幅は「全国」と同じで、2カ月連続で「全国」を1.3ポイント上回った。都道府県別順位は8位と、前月と同じで、前年同月からは28ランクアップした。

・規模別DI

規模別は、2022年11月以降「大企業」が最も高く推移し、次いで「中小企業」、「小規模企業」が続いている。「中小企業」が前月から増加した一方、「大企業」、「小規模企業」は前月から悪化した。格差は、「中小企業」と「小規模企業」は拡大したが、「大企業」と「中小企業」、「大企業」と「小規模企業」はともに縮小した。

・業界別DI

主要業界別は、半導体関連を中心とした好調な受注が続く『製造』が3カ月連続で改善。また、『製造』に関わる業務も多い『卸売』が2カ月連続、『建設』が4カ月ぶりにそれぞれ改善した。一方、コスト上昇を価格に転嫁し難い『小売』は4カ月連続で悪化。『運輸・倉庫』『サービス』はともに2カ月ぶりに悪化した。

・先行き見通しDI

現在より「1年後」が良くなるとの予想は、「長野」全体と主要業界別の『製造』、『卸売』、『小売』、『運輸・倉庫』、『サービス』、規模別の「中小企業」と「小規模企業」であった。一方、『建設』は現在より悪化、「大企業」は横ばいを予想。

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