レポート

TDB景気動向調査2026年6月(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)

■近畿ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.5

1.2

米・イラン停戦期待で改善

・概況

半導体やデータセンター関連に明るい動きが見られる一方で、中東情勢の不安定化に起因する原油・ナフサ不足を背景として、資材の価格高騰や供給遅延が広がっている。コスト増に対する価格転嫁の遅れや需要の弱さが共通課題となるなか、景況感は総じて停滞気味で、業界間や企業規模間で二極化が鮮明となっている。先行きについては、停戦合意を受けた先行き3指標の好転からも改善期待がうかがえるものの、『小売』『サービス』の改善幅は他業界に比べて小さく、個人消費の伸び悩みが持続的な景気改善の足かせとなる可能性がある。

・景気DI

『近畿』は前月比1.2ポイント増の41.5と、2カ月連続で改善した。米国とイランが停戦合意したことでマインドが上向いた。府県別では「滋賀」を除く5府県が改善。水準としては全国(42.6、同1.0ポイント増)を下回ったものの、ブロック別順位は4位に浮上した(前月6位)。

・規模別DI

「大企業」(47.3、前月比1.4ポイント増)、「中小企業」(40.5、同1.2ポイント増)ともに、2カ月連続で改善した。「中小企業」は3カ月ぶりに40台を回復したが、「大企業」の改善幅が大きく、規模間格差は6.8ポイントと、依然として高水準。なお、「小規模企業」は4カ月ぶりに改善した。

・業界別DI

『サービス』は「飲食店」や「情報サービス」が、コスト増と投資抑制で弱含んだ。他方、4カ月ぶりに40台に乗せた『製造』のほか、2カ月連続で改善した『卸売』は化学・半導体関連が需要増で好調。『建設』は資材不足が長期化するなか、供給混乱の緩和期待から4カ月ぶりに改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比3.5ポイント増)、「6カ月後」(同3.4ポイント増)、「1年後」(同2.3ポイント増)の3指標いずれも2カ月連続で改善した。全府県、全規模で先行き3指標が改善。業界別では、『農・林・水産』『その他』を除く8業界の先行き3指標が前月以上となった。

■大阪府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.3

1.1

2カ月連続で改善

・概況

米国とイランの戦闘終結に向けた覚書合意を受けて、中東情勢の緊迫感が和らいだことで、景況感は2カ月連続で改善した。規模別では「大企業」「中小企業」ともに改善し、業界別では『卸売』『その他』を除く7業界で改善した。他方、建材や紙関係の卸売は悪化が続き、企業からは「原材料価格は短期間での改善が期待できない」(建材・家具、窯業・土石製品卸売)などの声が聞かれた。足元の景況感は改善しているものの、資材の調達不安や物価高に伴う個人消費の低迷などは当面続く見込みで、先行きは注視する必要がある。

・景気DI

「大阪」は前月比1.1ポイント増の42.3と、2カ月連続で改善した。米国とイランの戦闘終結に向けた覚書合意を受け、緊迫感が和らいだことで景況感が改善した。全国(42.6、同1.0ポイント増)との格差(大阪-全国)は▲0.3ポイントと前月から縮小したが、都道府県別順位は14位と横ばいだった。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.4ポイント増の49.0、「中小企業」は同0.9ポイント増の40.9となり、それぞれ2カ月連続で改善した。「小規模企業」は横ばいの38.3だった。規模間格差は同1.5ポイント拡大の8.1ポイントで、2026年3月に並び、統計を開始した2002年5月以降で過去最大となった。

・業界別DI

9業界中7業界で改善した。『建設』(46.0、前月比2.8ポイント増)の改善幅は、2023年10月(4.2ポイント増)以来の大きさとなったが、中東情勢の緊迫化の影響で大幅に悪化した2026年4月からの反動増とみられる。『運輸・倉庫』は3カ月連続、『建設』『不動産』『製造』は2カ月連続で改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比3.6ポイント増)、「6カ月後」(同3.5ポイント増)、「1年後」(同2.6ポイント増)の3指標がそろって2カ月連続で改善。業界別では『その他』を除く8業界で、先行き3指標が改善した。規模別では、すべてで先行き3指標が改善した。

■京都府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.1

1.1

2カ月連続の回復、

規模間格差は7カ月ぶりの1桁台に

・概況

「京都」の景気DIは2カ月連続で改善した。一部の「大企業」からは「京都市内の建築需要は活況」(建設)、49カ月ぶりに45超となった『製造』からは「原料調達にめどがついた」(製造)といったプラスの声も聞かれる。一方、中東情勢の不安定化に伴う調達価格の上昇、価格転嫁の遅れ、金利上昇、消費低迷など先行きを不安視する声が大半を占めており、今後もサプライチェーンの混乱が続けば、景況感を下押しする可能性がある。

・景気DI

「京都」の景気DIは、前月比1.1ポイント増の42.1に改善した。『全国』(42.6)を下回ったが、格差は▲0.5ポイント(前月▲0.6ポイント)に縮小した。都道府県別の順位は16位(同15位)に後退したが、『近畿』の順位は2位(同3位)に上昇した。

・規模別DI

「大企業」は48.3(前月51.2)、「中小企業」は41.0(同39.4)、「小規模企業」は39.1(同37.0)となり、「大企業」のみ悪化した。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は7.3(同11.8)に縮小し、7カ月ぶりの1桁台となった。

・業界別DI

『金融』が60超となったほか『製造』が49カ月ぶりに45を上回るなど回復基調の業界もあるが、『卸売』『小売』『運輸・倉庫』は40割れとなるなど、業界ごとに判断が分かれた。『不動産』は「土地価格・建築費・金利の上昇に家賃相場がついてこない」といった声が聞かれ、一進一退が続く。

・先行き見通しDI

「3カ月後」43.7(前月40.4)、「6カ月後」44.1(同42.2)、「1年後」44.5(同42.9)となり、3指標とも前月を上回った。先行き3指標が全て改善したのは、業界別では『建設』『不動産』『製造』『卸売』の4業界、規模別では「中小企業」のみとなった。

■兵庫県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.3

1.7

4カ月ぶりの改善

・概況

「兵庫」の景気DIは4カ月ぶりの改善となった。米国とイランの和平合意、ホルムズ海峡解放へとの報道を受け、原油相場高騰が終息するとの期待感がある一方、「塗料などの調達がいつ改善されるか見通しがつかない」(製造)、「梱包材の値上がりは今後本格化する」などいまだ資材調達は不安定で不透明との声も多かった。また「物価高騰による買い控え」(卸売)など、止まらない円安と物価高で個人消費もさらに厳しくなったとの声も多い。今後は中東情勢と原油由来製品の流通状況、為替や物価高、個人消費の動向などが注目される。

・景気DI

「兵庫」の景気DIは前月比1.7ポイント増の40.3で4カ月ぶりの改善となり40台を回復した。前年同月比では1.5ポイント下回った。全国順位は29位(前年同月21位)。『全国』は前月比1.0ポイント増の42.6、『近畿』は同1.2ポイント増の41.5でともに2カ月連続の改善となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.7ポイント増の44.2で2カ月連続の改善となった。「中小企業」は同1.8ポイント増の39.8、うち「小規模企業」は同3.0ポイント増の37.7でともに4カ月ぶりの改善となった。規模間格差は4.4ポイント(前月5.5)と1.1ポイント縮小した。

・業界別DI

10業界中5業界で改善。『建設』は、前月比4.6ポイント増の40.3で5カ月ぶりの改善。『運輸・倉庫』は同5.5ポイント増の44.4で8カ月ぶりの改善となった。他方、『小売』は同1.0ポイント減の31.7、『サービス』も同1.7ポイント減の40.6で2カ月ぶりの悪化となった。

・先行き見通しDI

3カ月後は前月比3.1ポイント増、6カ月後は同4.3ポイント増、1年後は同2.5ポイント増と全指標で改善。業界別では『建設』『不動産』『製造』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界で全指標改善。規模別でも全ての規模で全指標改善。幅広い業種・規模で底打ち感が支配的な状況となった。

■滋賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.7

-0.1

2か月ぶりに悪化

・概況

「滋賀」の景気DIは前月比0.1ポイント悪化した。企業からは「中東問題決着による物量の回復」(製造業)といった声がある一方、「3か月後に自動車産業の稼働停止の計画がある」(運輸・倉庫業)、「食料品の消費税減税があるため外食事業への影響が大きく出るであろう」(飲食店)などの声が聞かれ、外部環境に対して懸念を抱く企業が複数あり、明るい見通しを見いだせないとの声は今後も続くとみられる。

・景気DI

「滋賀」の景気DIは41.7と前月比0.1ポイント悪化した。業界別では悪化が4業界、改善が3業界、横ばいが1業界となった。近畿ブロック内の2府4県別順位は3位に後退し、全国においては21位(前年同月は11位)となった。

・規模別DI

「大企業」が35.2と前月比0.2ポイント、「小規模企業」が42.6と同2.2ポイント改善したが、「中小企業」が42.3と同0.3ポイント悪化した。また、「大企業」は3カ月連続で「中小企業(うち小規模含む)」を下回った。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中4業界で悪化、3業界で改善、1業界で前月比横ばいとなった。『建設』『不動産』『小売』が改善した一方で、『製造』『卸売』『運輸・倉庫』『サービス』が悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が44.1(前月41.2)、「6カ月後」が44.1(同42.2)、「1年後」が45.0(同42.7)だった。中東情勢の緊迫化が続くなか、3カ月連続で大企業の景気DIは35台で推移しており、近い将来においてその影響が中小企業へ波及するとの見方が強く感じられる。

■奈良県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.4

2.0

2カ月連続改善

・概況

「奈良」の景気DIは2カ月連続で改善し39.4となった。中東情勢の影響が次第に落ち着くといった観測が広がり、3カ月後、6カ月後、1年後の先行き見通しDIも改善している。ただ、「材料費高騰、人手不足、物不足の影響が著しい。」(建設)や、「業界的に人件費、資材高騰につき価格上昇に伴い、お客さまの反応が鈍い」(不動産)といった足元の厳しい環境を訴える声もみられた。

・景気DI

景気DIは前月から2.0ポイント改善し39.4となった。都道府県別順位は前月の40位から改善し35位となった。「近畿」では、滋賀が0.1ポイント悪化したが、その他府県では改善となり、「近畿」全体では前月比1.2ポイント改善、「全国」でも同1.0ポイント改善となった。

・規模別DI

「大企業」は50.0と前月比3.3ポイント改善、「中小企業」は38.5と同2.0ポイント、「小規模」は36.9と同3.6ポイントそれぞれ改善した。「大企業」「中小企業」「小規模」のいずれも改善しており、規模間格差は11.5と前月比1.3ポイント拡大している。

・業界別DI

『サービス』(41.7)は前月比6.2ポイント、『卸売』(33.3)は同10.5ポイントそれぞれ悪化した。一方で、『建設』(45.0)は同11.7ポイント、『製造』(38.4)は同4.4ポイント『小売』(44.4)は同6.9ポイント、『運輸・倉庫』(25.0)は同8.3ポイントそれぞれ改善した。

・先行き見通しDI

3カ月後は41.3(前月36.5)、6カ月後は42.6(同37.6)、1年後は43.9(同41.4)で、3指標とも改善見通しとなった。特に6カ月後は前月比5.0ポイント改善しており、景気改善を見込んでいる企業が多いことを示している。

■和歌山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

37.7

1.0

4カ月ぶりに改善

・概況

「和歌山」は、前月比で1.0ポイント増の37.7と小幅ながら4カ月ぶりに改善した。原材料の調達コストは6月以降さらに高まっており、企業業績に与える影響が懸念される。県内では主に注文住宅の建築工事業者として知られていた「国土建設(株)」が倒産したことが大きな話題となったほか、県内各業種ともに価格転嫁を進めて売上は増収になる企業は多いものの、受注数量は減少している会社が多く、増収減益の企業が多く散見される。今後の改善が継続するのか注視していきたい。

・景気DI

「和歌山」は、前月比で1.0ポイント増の37.7と4カ月ぶりに改善した。ただ、依然として40ポイントを割り込んでいるほか、『全国』(42.6)と『近畿』(41.5)を下回り、平均的な景況感には至っていない。

・規模別DI

「中小企業」が前月比0.8ポイント増の37.1となったほか、「大企業」も前月比2.1ポイント増の41.7と改善したものの、改善には力強さを欠き、全体のDIとしては40ポイントを割り込んでいる。

・業界別DI

『建設』(36.1)『サービス』(38.9)は悪化したものの、『小売』(33.3)が前月と同じ、『運輸・倉庫』(27.8)『製造』(36.3)『卸売』(41.7)は改善した。ただ、いずれの業種も低水準に留まっており、大幅な改善には至っていない。

・先行き見通しDI

3カ月後が41.7(前月38.4)、6カ月後が42.8(同38.4)、1年後が42.4(同40.8)と3指標ともに見通しはやや改善した。足元の景況感には改善に力強さを欠くものの、米国とイランによる一時的な戦闘中止の合意もあり、原材料の価格も落ち着いていくという希望的見通しによるものと思われる。

「近畿ブロック(2026年6月)」の詳細(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)