レポート

TDB景気動向調査2026年5月(東北ブロック:青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)

■東北ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.1

-0.1

3カ月連続の悪化

・概況

景気DI(38.1)は3カ月連続で悪化し、イラン情勢が景況感に影を落としている。業界を問わずナフサの供給不安が広がるなか、エンジンオイルや塗料、工場用潤滑油などで品薄や価格高騰が生じているほか、『建設』では資材の納入遅れにより案件が停滞するなど、影響が徐々に顕在化している。今後は包装資材の納入不安を懸念する声も多く、対応を迫られる事業者は増えるとみられる。さらなる価格高騰への懸念から先行きにも停滞感が漂っており、当面は厳しい局面が続くと予想される。

・景気DI

景気DI(38.1)は前月比0.1ポイント減となり、3カ月連続で悪化した。『全国』(41.6)との格差は3.5で同0.2ポイント拡大した。県別では、改善2県(「山形」「福島」)、悪化4県(「青森」「岩手」「宮城」「秋田」)となった。

・規模別DI

「大企業」(41.8)が前月比0.1ポイント減、「中小企業」(37.7)も同0.1ポイント減となった。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は4.1となり、同横ばいとなった。

・業界別DI

改善が『運輸・倉庫』『農・林・水産』『製造』などの5業界、悪化が『不動産』『建設』『小売』の3業界、横ばいが『金融』『卸売』の2業界となった。『その他』を除く9業界では『農・林・水産』(49.2)が最も高く、『卸売』(33.2)が最も低かった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は38.2(当月比0.1ポイント増)、「6カ月後」は38.6(同0.5ポイント増)、「1年後」は40.3(同2.2ポイント増)となった。前月との比較では「3カ月後」および「1年後」が悪化した。

■青森県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.5

-1.1

2カ月ぶりに悪化

・概況

「青森」の景気DIは39.5となり、前月から1.1ポイント悪化し、2カ月ぶりに悪化した。公共投資の抑制やコスト上昇による建築需要の減退などにより、『建設』が悪化した。また、中東情勢の緊迫化を背景とした燃料費の高騰により『運輸・倉庫』も悪化し、さらに原材料の高騰で『製造』、『卸売』、『小売』がいずれも悪化した。全体としては、物価高や最低賃金の高まりなど、依然としてコスト上昇圧力が強まるなか、今後もしばらくは一進一退の足踏み状態が続く可能性が高い。

・景気DI

景気DIは39.5となり、1.1ポイント悪化した。都道府県別順位は27位と前月の15位から大幅に低下し、東北6県の中では4位。公共投資の抑制や住宅をはじめとした建築需要の低迷から、建設のほか関連する建材卸売などが低下した。

・規模別DI

「大企業」が、47.2と前月から2.8ポイント悪化したほか、「中小企業」も38.8と同1.1ポイント低下した。一方、「小規模企業」は38.7と同1.3ポイント上昇し、2カ月ぶりの改善となった。

・業界別DI

業界別では、公共投資の抑制のほか、建築資材の高騰を背景とした住宅需要の減退などから、『建設』と関連する「建材卸売」などが悪化した。また、原材料の価格高騰を受けて、『製造』のほか『卸売』、『小売』がいずれも悪化した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、3カ月後、6カ月後、1年後がいずれも前月から悪化した。特に、6カ月後は3カ月連続、1年後は4カ月連続で悪化し、中東情勢の緊迫化を受けて、『運輸・倉庫』などが悪化した。

■岩手県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

35.6

-1.3

2カ月ぶりに悪化

・概況

景気DIは2カ月ぶりに悪化、9カ月連続で40を下回り、都道府県順位は全国44位に低下した。「大企業」が判断の分かれ目となる50を2カ月連続で割り込み、「中小企業」は20カ月連続で40を下回った。業界別では『小売』『卸売』『建設』の苦境が目立つ。先行き見通しは「3カ月後」「6カ月後」「1年後」のすべてでブロック最低にとどまった。円安や物価高、金利上昇の影響に加え、中東情勢の行方にも留意が必要であり、当面は一進一退の景気動向が続くと見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比1.3ポイント減の35.6となり、2カ月ぶりに悪化し、9カ月連続でDIが40を下回った。過去1年間で40を上回ったのは2025年8月の1度のみ。都道府県順位は前月の41位から44位に低下した(前年同月は全国39位)。

・規模別DI

「大企業」は前月から変動なく46.3となり、前月に続いて判断の分かれ目となる50を割り込んだ。「中小企業」は同1.2ポイント減の34.7となり、20カ月連続で40を下回った。「大企業」と「中小企業」の格差(大企業-中小企業)は11.6となった(前月は10.4)。

・業界別DI

『小売』が前月比1.1ポイント増の27.1と上向いたが、引き続き低水準にとどまった。『卸売』は27.1、『建設』は35.6、『サービス』は42.2と、いずれも前月から低下した。『建設』は2026年に入り5カ月連続で40を下回った。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が35.6、「6カ月後」が35.0、「1年後」が36.9と、いずれも前月から悪化した。「3カ月後」「6カ月後」「1年後」のすべてでブロック最低にとどまり、全国の水準にも及ばなかった。

■宮城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

35.3

-1.3

17カ月連続の30台

・概況

景気DI(35.3)は前月比1.3ポイント減、直近1年で最低となった。業界を問わず、昨今のナフサ不足により資材や部品、商品が手に入らないという声が多く聞かれる。特に『建設』は資材確保が深刻で工事の完成が遅れるケースもある。さらに中東情勢を背景とした先行きの不透明感から工事の延期、中止が発生しており、業界全体として先行きが懸念される。3カ月連続で半数以上の業界が前月から悪化している。今後も中東情勢の悪化が長期化する厳しい状況が続くとみられ、景気動向は低位で推移していくことが見込まれる。

・景気DI

「宮城」の景気DIは前月比1.3ポイント減の35.3となり、17カ月連続で30台、直近1年で最低に沈んだ。『全国』(41.6)との比較では6.3ポイント下回り、格差は前月から1.4ポイント拡大した。都道府県別順位は46位と前年同月(47位)から改善しているものの依然として低位にとどまった。

・規模別DI

「大企業」(37.5)が前月比1.9ポイント、「中小企業」(35.1)が同1.1ポイントそれぞれ減少した。その結果、「大企業」と「中小企業」の格差は2.4で同0.8ポイント縮小した。「大企業」は2カ月連続で40を割り込んだ。

・業界別DI

改善は『卸売』などの2業界、悪化は『農・林・水産』『小売』『サービス』などの5業界、横ばいは『金融』『不動産』『運輸・倉庫』の3業界となった。『その他』を除く9業界では『金融』(50.0)が最も高く、『小売』(27.5)が最も低かった。3カ月連続で半数以上の業界が前月から悪化している。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は36.1(当月比0.8ポイント増)、「6カ月後」は37.2(同1.9ポイント増)、「1年後」は39.6(同4.3ポイント増)となった。前月との比較では全ての指標で悪化した。

■秋田県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.1

-0.5

2カ月連続で悪化

・概況

景気DIは、『東北』が前月比0.1ポイントダウン、『全国』は同0.1ポイントアップと、いずれも4月調査と大きな変化はなかった。『東北』では、「山形」と「福島」の2県がやや改善したものの、本県とそのほか3県が悪化している。『建設』は、ナフサ不足から資材の調達が困難となる企業も多く、その他の業種も同様であり先行きの不透明感を懸念する見方が強くなっている。今後はさらに資材不足が一層顕著となる可能性が高く、あらゆる商品、製品の値上げも続く見通しであることから、当面は弱含みの景気動向が予想される。

・景気DI

「秋田」の景気DIは40.1と4月から0.5ポイントダウンした。『東北』6県では前月の第1位をキープし、『東北』(38.1)を2.0ポイント上回ったものの、都道府県順位は前月の第15位から第22位にダウンし、『全国』(41.6)を1.5ポイント下回った。

・規模別DI

規模別では、「大企業」(41.7)は前月と同率であったものの、「中小企業」(40.0)は同0.5ポイントダウンした。「中小企業」の中でも小規模企業(30.0)は前月比5.9ポイントダウンしたのが目立った。

・業界別DI

業界別では、『卸売』『サービス』の2業界が前月比で改善したものの、『製造』『その他』は横ばい、『不動産』『小売』『農・林・水産』『建設』の4業界が悪化した。悪化した中では『不動産』(33.3)の同4.2ポイント減が目立った。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、混沌とするイラン情勢もあり、「3カ月後」38.7、「6カ月後」38.9、「1年後」39.6と40台を下回り、現在よりも厳しく、先行きへの不安要素がさらに強まっている。

■山形県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.0

2.6

3カ月ぶりに改善

・概況

「異常気象を要因に全国から集まるスキーヤーが例年になく多い」(旅館・ホテル、小規模企業)、「観光施設への来館者数、売上高ともに前年同月を+5%以上で推移している」(小売、大企業)など、一部業界は良好に推移している。一方「中東情勢により塗料シンナー、建築資材入手困難が加わり先行き不透明」(建設、中小企業)、「値上げや材料等の入荷制限が生じ厳しい状況。人件費、物流高騰、その他材料費など価格転嫁が追いつかず粗利が減少」(出版・印刷、中小企業)等の声が多数を占め、中東問題が企業運営に及ぼす影響が顕著となった。

・景気DI

「山形」の景気DIは前月比2.6ポイント改善し40.0となった。『全国』のDIは3カ月ぶりに改善し同0.1ポイント上回り41.6となった。『東北』のDIは3カ月連続悪化し、同0.1ポイント低下の38.1となった。「山形」は3カ月ぶりに改善し40台に回復した。

・規模別DI

「大企業」は前月比10.0ポイントの大幅な改善になり45.0を示した。「中小企業」は3カ月ぶりの改善で同2.0ポイント上回る39.6となり、うち「小規模企業」は5カ月ぶりの改善となり同3.8ポイント改善して38.1を示した。

・業界別DI

業界別DIにおいて前月比改善したのは『農・林・水産』『建設』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の5業界。『金融』『不動産』は横ばい。『製造』『卸売』の2業界は悪化した。特に『製造』のなかでも「化学品製造」は前月比大幅に悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は前月比2.1ポイント増の40.1と、3カ月ぶりに改善した。「6カ月後」は同2.3ポイント増の40.8と、5カ月ぶりに改善し、「1年後」は同1.4ポイント増の42.8と、2カ月連続で改善した。

■福島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.7

0.6

3カ月連続で30台にとどまる

・概況

5業界が改善したことから、「福島」の景気DI(39.7)は前月比0.6ポイント上昇した。企業からは「大型工事が増えている」(建設)との声がある一方、「価格競争が起きて利幅の取れない工事が多い」(建設)、「潤滑油の入手が困難で設備の稼働停止を懸念」(製造)、「オイル、シンナー系の仕入価格が高騰しているほか今後の仕入も不安」などの声も聞かれた。中東情勢の緊張継続に伴い、資材の不足や価格上昇など中小企業の経営にも影響が徐々に波及しており、当面の景気動向は不透明かつ不安定に推移する可能性が高い。

・景気DI

「福島」の景気DIは、39.7と4月を0.6ポイント上回って、2カ月連続で改善したものの、3カ月連続で30台にとどまった。『全国』の景気DIは、前月(41.5)を0.1ポイント上回り、41.6となった。「福島」の都道府県別順位は、前月の第29位から第25位となった。

・規模別DI

「大企業」(40.3)は前月比4.1ポイント低下、「中小企業」(39.6)は同1.2ポイント上昇、「小規模企業」(35.4)は同0.8ポイント上昇した。格差(大企業-中小企業)は0.7となり、3カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

『不動産』『建設』は悪化したが、『製造』『運輸・倉庫』『小売』『卸売』『サービス』の5業界が改善した。『製造』は3カ月ぶりに40台に改善したものの、『建設』は2カ月ぶりに30台に悪化したほか、『小売』は21カ月連続で30台にとどまった。

・先行き見通しDI

「1年後」の先行き見通しDIは4業界が当月からの改善を見込んでいる。特に『金融』は当月(33.3)から11.1ポイント、『運輸・倉庫』は同(33.3)から8.4ポイント、『製造』『卸売』も改善を見込んでいる。一方、業界比率の突出している『建設』の「1年後」が当月(38.2)から1.4ポイント低下を見込んでおり、やや懸念される。

「東北ブロック(2026年5月)」の詳細(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)