レポート

TDB景気動向調査2026年5月(南関東ブロック:埼玉・千葉・東京・神奈川)

■南関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.8

-0.2

3カ月連続で悪化

・概況

『南関東』の景気DIは全国順位でトップを維持したものの、3カ月連続で悪化した。規模別では、「大企業」の改善に対して「中小企業」「小規模企業」が悪化し、規模間格差が拡大した。「原料高は吸収できている、仕入先との関係構築もできている」「受注には対応できている」(建設、大企業)との声がある一方で、「仕事は来ても資材、人手が足りず受けられない」「資材の値上がりが転嫁できない」(同、小規模企業)との声もあり、企業規模や商流によって明暗がこれまで以上にはっきりと分かれている現状が見て取れる。

・景気DI

『南関東』の景気DIは前月から0.2ポイント減の44.8となり、3カ月連続で悪化。2023年2月(43.9)以来3年3カ月ぶりに45.0を下回った。都県別では、「埼玉」(前月比1.8ポイント増)を除く、3都県で悪化。「千葉」「東京」は3カ月連続で悪化した。全国順位は15カ月連続でトップを維持。

・規模別DI

「中小企業」「小規模企業」ではそれぞれ前月比0.3ポイント減、同0.9ポイント減と3カ月連続で悪化した。一方で、「大企業」は前月比0.5ポイント増と3カ月ぶりに改善した。「小規模企業」は、2023年2月(42.4)以来3年3か月ぶりに43.0を下回った。規模間格差は0.8ポイント拡大した。

・業界別DI

業界別では『金融』『卸売』『運輸・倉庫』『製造』の4業界は改善したが、そのほか『農・林・水産』『建設』『サービス』など6業界で悪化。『建設』『不動産』『サービス』は3カ月連続での悪化となった。中東情勢悪化にともなう建設資材の高騰や調達難が顕在化し、金利上昇等もあり住宅関連の消費マインドが冷え込んでいる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は44.5(前月44.0)、「6カ月後」は44.8(同44.3)、「1年後」は46.3(同46.1)と若干ながら改善予想。業界別では、今後1年間すべての業界で50.0を上回らない見込みであり、現状唯一の50.0以上である『不動産』も、中東情勢にともなう市況悪化を踏まえ「1年後」は45.9と低位。

■埼玉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.0

1.8

3カ月ぶりに改善

・概況

埼玉県の景気DIは前月比1.8ポイント増の43.0となり、3カ月ぶりに改善した。2カ月連続して1.0ポイント以上のマイナスを記録した前月からの反動でやや戻した格好。ただし、企業からの声は厳しいものが目立ち、プラスの見方は機械関係と半導体(いずれも製造)、サービスの一部に限られる。引き続き、中東情勢の影響による物資の入手困難、価格高騰への懸念に加え、石油関連製品では実際に足下で支障を来したとする企業は少なくない。また、事態の長期化を心配する声も大きく、先行きまで含め企業心理を冷え込ませている。

・景気DI

景気DIは43.0となり、前月比1.8ポイント増で3カ月ぶりに改善した。全国は微増、『南関東』は微減。管内都県は「埼玉」以外は悪化したが、いずれも1.0ポイント未満の微減。「埼玉」の全国順位は7位となって前月(10位)から上昇。2021年9月以来4年8カ月ぶりの上位1ケタ入り。

・規模別DI

「大企業」は前月比3.2ポイント増の46.8、「中小企業」は同1.6ポイント増の42.5、「小規模企業」は同0.1ポイント増の41.2となり、いずれの規模も改善した。「大企業」の改善幅が「中小企業」のそれを大きく(2倍)上回ったことで、規模間格差は4.3ポイントとなり前月から1.6ポイント拡大した。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界中、改善は5業界、悪化が4業界。『農・林・水産』と『金融』は前月から大幅マイナスとなったものの、サンプル数が少ないため全体を大きく押し下げているわけではない。一方で、『不動産』の改善幅が大きかったが、前月が5年2カ月ぶりに30台まで落ち込んだ反動といった側面が強い。

・先行き見通しDI

「3カ月後」42.1(前月39.7)、「6カ月後」42.9(同41.1)、「1年後」45.2(同44.1)となり、3指標ともに前月を上回った。2カ月連続して3指標とも悪化した前月からは一変。先へ行くほど上昇の傾向に変化はなく、全国、『南関東』、管内都県では「東京」以外が同様の見通しとなっている。

■千葉県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.5

-0.6

3カ月連続で悪化

・概況

「千葉」の景気DIは42.5となり、前月比0.6ポイント減少し3カ月連続で悪化したが、先行き見通しDI(「3カ月後」「6カ月後」)は改善した。企業からは、「建設材料の入荷が遅れ、現場が止まることもある。工期遅れの影響は大きい」(建設)、「原材料高騰の影響を受けつつある」(印刷)などの声が聞かれた。石油由来製品の価格上昇、調達難が続き、依然として先行きの不透明感が残るものの、一部には持ち直しの兆しも出てきた。

・景気DI

「千葉」の景気DIは42.5となり、前月比0.6ポイント減少し、3カ月連続で悪化した。全国は前月から0.1ポイント増の41.6となり、「千葉」は全国を0.9ポイント上回ったが、全国順位は9位で前月(7位)から後退した。

・規模別DI

「大企業」は45.8で前月比2.6ポイント減少し、2カ月ぶりに悪化。「中小企業」は同0.4ポイント減の42.1となった。これにより、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は3.7ポイント(前月5.9ポイント)へと縮小した。

・業界別DI

『その他』を除く9業界のうち、『金融』『不動産』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』の5業界は前月比改善した一方で、『農・林・水産』『建設』『製造』『サービス』の4業界は悪化した。『建設』は、イラン情勢にともなう建設資材の調達遅れや価格上昇を背景に、前月比5.9ポイント減少し、2カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.8(前月41.6)、「6カ月後」は43.3(同41.7)、「1年後」は44.3(同44.3)となり、先へ行くほど高くなっており、「3カ月後」「6カ月後」は3カ月ぶりに前月比改善した。イラン情勢の緊迫化にともなう先行き見通しの不透明感は、わずかながらも薄らいできたとみられる。

■東京都

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

46.0

-0.2

3カ月連続で悪化、3年3カ月ぶりの低水準に

・概況

「東京」の景気DIは46.0と3カ月連続で悪化し、低水準での推移が続いている。企業からは「ナフサ由来製品の製造が全く進んでおらず、材料の入手が困難で工事が進まない状態にある」(建設)や「原油の影響によりお客さまが価格に非常にシビアで、高価格品に関しては買い控えが顕著である」(小売)といった声が聞かれた。中東情勢や円安によるコスト増が下押し要因となる一方で、大企業や一部業種で改善の動きもみられた。先行きには持ち直しへの期待も残るが、中小企業を中心に慎重な見方は根強い。

・景気DI

「東京」の景気DIは46.0(前月46.2)で、3カ月連続で悪化した。同水準となるのは2023年2月以来3年3カ月ぶり。都道府県別順位は2位と前月(2位)と横ばいで、1位「沖縄」(50.5)との差は先月から0.7ポイント縮まった。

・規模別DI

「大企業」は49.0(前月比0.3ポイント増)と6カ月ぶりに前月から改善した。「中小企業」は45.2(同0.3ポイント減)、「小規模企業」は44.3(同1.0ポイント減)と、どちらも3カ月連続で悪化した。

・業界別DI

全10業界中、5業界が改善、5業界が悪化した。前の月、直近3年で最低値となっていた『建設』(46.6)は前月から2.3ポイント悪化した。中東情勢の緊迫化や円安による仕入れコスト増が影響した『小売』(42.9)は同3.2ポイント悪化。『サービス』(48.7)は3年4カ月ぶりに50を割り込んだ。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(45.6、前月45.3)、「6カ月後」は(45.6、同45.4)、「1年後」は(47.0、同46.8)と、いずれも3カ月ぶりに改善した。業界別では、『製造』『卸売』で3指標がいずれも改善した一方で、『小売』『サービス』ではいずれも悪化した。

■神奈川県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.9

-0.7

2カ月連続の前月比悪化

・概況

「神奈川」のDIは2カ月連続の前月比悪化となった。足下の厳しさを表す声が過半を占め、とりわけ、「ナフサの影響により仕事があっても作業ができない」(建設)、「塗料、シンナー、塗装資材すべてに出荷制限がかかっており、受注停止の商品も多い」(化学品卸売)など、中東情勢の影響の顕在化による事業環境の悪化を指摘する声が目立った。「中東問題の行方がわからないので、現状良くなるとは考えられない」(輸送用機械・器具製造)など、先行きへの懸念は一段と高まっている。

・景気DI

「神奈川」の景気DIは43.9と前月(44.6)から0.7ポイント減少し、2カ月連続の前月比悪化となった。44.0を下回ったのは2025年5月(43.1)以来で、この1年での最低値となった。全国順位は4位で、前月の5位から上昇した。

・規模別DI

「大企業」は50.0(前月比2.1ポイント増)と改善した一方、「中小企業」は43.0(同1.1ポイント減)、「小規模企業」は40.6(同1.1ポイント減)と悪化し、それぞれこの1年の最低値となった。「小規模企業」は5カ月連続の悪化で、「大企業」と「中小企業」の格差は7.0ポイントと乖離幅は拡大した。

・業界別DI

9業界中、5業界で前月比悪化となった。『サービス』は4カ月連続の悪化、『建設』『不動産』『運輸・倉庫』はそれぞれ2カ月連続の悪化となり、悪化幅は『運輸・倉庫』が最大となった。また、『卸売』は2カ月ぶり、『小売』は2カ月連続の改善となったが、それぞれ依然として低水準にとどまっている。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は44.0(前月43.8)、「6カ月後」は44.6(同44.0)と前月から改善した一方で、「1年後」は46.1(同46.3)と悪化した。それぞれ当月(43.9)は上回ったものの、『金融』を除くすべての業界が3指標ともに50.0を下回るなど、先行きに対する高い不透明感が継続している。

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