レポート

TDB景気動向調査2026年5月(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)

■九州ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.0

-0.2

3カ月連続の悪化

・概況

『九州』の景気DIは、42.0と3カ月連続で悪化した。企業からは「ナフサ由来の製品の納期が未定状態となり、注文を頂いても納品できないものばかりで、固定費のみが出ていく形となってきている」(福岡県、機械・器具卸売)などの声が聞かれる。DI50台は、県別では「沖縄」のみ。中東情勢の影響にともなう関連製品の価格高騰、調達難もあるが、インバウンド需要などは堅調を維持していることから、当面、一進一退の推移が見込まれる。

・景気DI

『九州』(42.0、前月比0.2ポイント減)は3カ月連続で悪化した。10業界中5業界、8県中5県で悪化。『九州』8県中10位以内は4県。先行き見通しDIは「3カ月後」が4カ月ぶり、「6カ月後」「1年後」は3カ月ぶりに改善した。ブロック別では15カ月連続で全国2位。

・規模別DI

「大企業」(45.6、前月比0.4ポイント減)は4カ月連続、「中小企業」(41.5、同0.2ポイント減)は3カ月連続で悪化。38カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。「小規模企業」は38.6(同0.2ポイント増)と5カ月ぶりに改善。

・業界別DI

『農・林・水産』(43.1、前月比2.9ポイント増)など5業界で改善したものの、『サービス』(45.9、同2.1ポイント減)、『建設』(40.9、同1.7ポイント減)など10業界中5業界で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(42.2、前月比0.8ポイント増)は4カ月ぶり、「6カ月後」(42.7、同0.7ポイント増)、「1年後」(44.6、同0.6ポイント増)は3カ月ぶりに改善した。業界別では、『その他』で全指標悪化したものの、『農・林・水産』など5業界で全指標が改善した。

■福岡県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.2

-0.7

3カ月連続の悪化

・概況

「福岡」の景気DIは、インバウンド需要や設備投資の高まりが見られるものの、中東情勢の先行き不透明感などの影響もあり、3カ月連続で悪化した。企業からは「受注を選ばなければならないほどの建築ラッシュ」(建設)などのコメントがある一方で、「不動産の流通量が減少している。特に戸建て住宅用地が顕著となっている」(不動産)などの声があった。インバウンド効果により一部の業界は好調を維持しているが、中東情勢等による物価上昇が多くの業界でマイナス要因となっており、今後も景気DIは弱含みでの推移が見込まれる。

・景気DI

「福岡」(43.2、前月比0.7ポイント減)は、3カ月連続の悪化。業界別では、『不動産』『製造』『小売』『運輸・倉庫』の4業界で改善。『農・林・水産』『金融』など6業界で悪化。都道府県別順位は6位で前月と同じ。『九州』8県での順位も前月と同じ3位となった。

・規模別DI

「大企業」46.8(前月比0.1ポイント増)は2カ月連続の改善。「中小企業」42.5(同0.9ポイント減)、「小規模企業」40.8(同0.4ポイント減)はいずれも3カ月連続の悪化。規模間格差は「大企業」が「中小企業」を4.3ポイント上回った。

・業界別DI

『不動産』(48.1、前月比4.2ポイント増)、『製造』(38.4、同0.6ポイント増)など4業界で改善。『金融』(41.7、同8.3ポイント減)、『建設』(45.2、同1.2ポイント減)など6業界で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(43.6、前月比1.0ポイント増)は4カ月ぶり、「6カ月後」(43.7、同0.7ポイント増)、「1年後」(46.0、同0.6ポイント増)はいずれも3カ月ぶりの改善。『金融』『その他』は3指標全て悪化、『建設』など5業界で全て改善。

■佐賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.2

1.2

3カ月ぶりに改善

・概況

「佐賀」の景気DIは3カ月ぶりに改善し、42.2と前月より1.2ポイント上昇した。中東情勢を受け商材によって濃淡はあるものの、影響が表面化しており、大きな懸念材料となっている。消費者においても各種値上げの影響があり、今後の営業活動への影響も拡大する可能性が高い。これらの要因は「佐賀」に限ったことではないものの、景気後退の懸念が高まっている。

・景気DI

「佐賀」の景気DIは42.2で、3カ月ぶりに改善し、前月より1.2ポイント上昇した。前年同月と比較すると下回っているが、「九州」の42.0、「全国」の41.6を上回っており、「佐賀」の都道府県別順位は前月の12位から10位に上昇した。

・規模別DI

「大企業」「中小企業」「小規模企業」のいずれの規模も前月より改善した。ただ、「大企業」は2.9ポイント改善し、「中小企業」「小規模企業」の改善幅を大きく上回ったことから、規模間格差は6.3と前月より2.5ポイント拡大した。

・業界別DI

『建設』『製造』『サービス』は前月より悪化、『卸売』『小売』『運輸・倉庫』が改善した。公共工事の減少や資材価格高が『建設』および関連する『卸売』に影響が出ているが、機械・器具関連の『卸売』が伸長し、業界を牽引した。ただ、1年後の見通しをみると、一過性の要因がうかがえる。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は42.2(前月40.5)および「1年後」は43.5(同42.8)と改善したが、「6カ月後」は42.7(同42.8)と悪化した。中東情勢の影響を受け商材調達が制限される中で、短期的な厳しさはみられるが、長期的には改善を見込んでいる業界が多い。

■長崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.7

1.0

5カ月ぶりに改善

・概況

「長崎」の景気DIは前月比1.0ポイント増の38.7と5カ月ぶりに改善した。「受注は増加しているが、ナフサや原材料不足の影響がこれから出てきそう」(建設)や「半導体市況は活況だが、一部製品は生産調整に入った」(サービス)など、受注増加を喜びながらも中長期的な効果を疑問視する声も聞かれた。「中東情勢の回復次第であるが、ある程度収まっていると回復は本格的になる」(製造)など、中東情勢の早期収束を期待しながら、「長崎」の今後は緩やかな回復局面で推移していくことが見込まれる。

・景気DI

「長崎」の景気DIは前月比1.0ポイント増の38.7で5カ月ぶりに改善した。『九州』8県中5県が悪化したが、九州ブロック内順位は7位のままであった。都道府県別順位は、前月の38位から3つ上がって35位となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.4ポイント減の31.8、「中小企業」は同0.8ポイント増の39.5、「中小企業」のうち「小規模企業」は同3.1ポイント増の35.9となった。「中小企業」が改善した一方で、「大企業」が悪化したため、規模間格差は▲7.7となった。

・業界別DI

前月から改善した業界は『農・林・水産』『金融』『不動産』『製造』『小売』『運輸・倉庫』の6業界となった。悪化した業界は『建設』『卸売』『サービス』の3業界となった。中でも『小売』『農・林・水産』が前月から大幅に改善した。消費関連は回復、資材依存業種は悪化するなどの格差がみられた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」40.5(前月比2.5ポイント増)、「6カ月後」40.8(前月比1.4ポイント増)、「1年後」43.2(同2.8ポイント増)と各項目とも前月から改善し、先へ行くほど改善の見通しとなった。業種別にみると『製造』『サービス』が先へ行くほど改善の見通しとなっている。

■熊本県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.9

-2.2

2カ月ぶりに悪化

・概況

「熊本」の景気DIは前月比2.2ポイント減の40.9と2カ月ぶりに悪化した。「注文数や問い合わせの増加を感じている」(製造)など明るい話題が見られた一方で、「ナフサ不足で配管材やインフラ資材の供給が滞っている」(卸売)と不安を示す声は多い。物価や人件費が上昇を続けていることで、多くの業界への悪影響が出ている。特にハウスメーカー業界では建築棟数が減少しているほか、主要食品メーカー195社では6月に1,078品目の値上げが予定されている。実質所得が伸び悩んでいるなか、消費はさらに落ち込むとみられる。

・景気DI

「熊本」の景気DIは40.9で前月比2.2ポイント減と2カ月ぶり悪化した。また、『九州』(42.0)は前月比0.2ポイント減となり、「全国」(41.6)は同0.1ポイント増となった。なお、「熊本」の都道府県別順位は第16位(前月第7位、前年同月第2位)と前月から9ランク下がった。

・規模別DI

「大企業」の景気DIは46.7と前月から4.7ポイント減となり、「中小企業」も40.5と同1.9ポイント減となった。34カ月連続で「大企業」が「中小企業」の景気DIを上回り、規模間格差(大企業-中小企業)に関しては「中小企業」よりも「大企業」の悪化した幅が大きく、差は6.2ポイントに縮小した。

・業界別DI

9業界中、改善した業界は『小売』『運輸・倉庫』の2業界となった。一方で悪化した業界は『農・林・水産』『建設』『不動産』『製造』『卸売』『サービス』の6業界となり、『金融』は横ばいとなった。不安定な中東情勢の影響で原油の輸入状況が不透明となり、あらゆる業界に影響が出ているため、悪化した業界が増加した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは「3カ月後」が41.2(前月42.5)、「6カ月後」は41.2(同43.1)、「1年後」は43.1(同44.3)となった。ナフサ不足により製品仕入に苦戦しており、見通しが立たない企業も増えたことから、「3カ月後」「6カ月後」「1年後」はいずれも悪化した。

■大分県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.9

-0.8

4カ月連続で悪化

・概況

原油由来の各種商材等の調達難から、幅広い業種で悪化した。『建設』では資材の調達難や値上げによって、現場に遅れや着工の延期が出ていると不安視している。『小売』でも各種商品の値上がりが続いて、消費者の購買意欲は一層抑制されると懸念している。こうしたなか、日銀は6月以降の「利上げ」に含みを持たせており、金利上昇は中小企業にとって支払利息の負担増となる。引き続きナフサ不足が、各種商材の品不足や価格高騰を招き、幅広い業種で事態は深刻化するとの見立てが多く、県内の景気動向は下降局面で推移すると推察される。

・景気DI

「大分」の景気DIは43.9となり、4カ月連続で悪化した。全国順位は第4位(前月第4位・前年同月第5位)と前月から順位は変わらなかった。判断の分かれ目となる「50」を17カ月連続で下回っている。

・規模別DI

「大企業」は前月比2.4ポイント減の45.2、「中小企業」は同0.6ポイント減の43.8となり、「中小企業」のうち「小規模企業」でも同3.8ポイント減の42.5となった。規模間格差は1.4となり、7カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

業界別では『製造』が前月比3.3ポイント増となった。一方、『サービス』は同3.7ポイント減と下げ幅が最大となったほか、『卸売』は同1.1ポイント減の36.4、『小売』も同1.1ポイント減の39.6と悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」44.1(前月43.2)、「6カ月後」44.8(同42.5)、「1年後」45.7(同44.3)と3指標のいずれも前月から改善した。業界別では、『製造』は3指標すべて50を上回ったが、『建設』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』はいずれも「50」を下回った。

■宮崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

35.6

4.5

3カ月ぶりに改善

・概況

宮崎県の経済は、原油価格の高騰に伴う「ナフサショック」の直撃を受け、足踏み感が強まっている。ナフサの急騰はプラスチック製品や化学肥料、農業用ビニールなどの資材コストを大きく押し上げており、県内の中核である施設園芸農業や製造業の利益を圧迫している。雇用環境が底堅さを維持し、観光業も緩やかな回復を続けているものの、原材料高の長期化が中小企業の採算を直撃。コスト上昇分を価格転嫁しきれない企業も多く、県内景気は不透明感が漂う厳しい局面を迎えている。

・景気DI

「宮崎」の景気DIは35.6で、前月比4.5ポイント増と3カ月ぶりに改善した。『九州』(42.0)と比較して6.4ポイント減、全国(41.6)と比較しても6.0ポイント減となった。全国順位に関しては、44位と同3位ランクアップした。

・規模別DI

「大企業」は50.0で再び悪化、「中小企業」は34.8で5.5ポイント改善した。規模間格差(大企業-中小企業)は15.2となり、同12.2ポイント縮小した。「中小企業」に含む「小規模企業」は30.5で同4.8ポイント改善した。

・業界別DI

『製造』は39.4で前月比10.2ポイント増、『非製造』は35.0で同3.5ポイント増、『製造』『非製造』ともに3カ月ぶりに改善した。『製造』は「飲食料品・飼料製造」が2カ月連続悪化した。『非製造』は、「運輸・倉庫」、「医療・福祉・保健衛生」が改善する一方、「専門商品小売」等が悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」見通しに関しては、34.0で前月比2.6ポイント増、「6カ月後」は35.9で同4.1ポイント増、「1年後」は39.4で同3.4ポイント増とそれぞれ前月と比較して改善した。『九州』と『全国』の「3か月後」、「6カ月後」、「1年後」と比較しても「宮崎」の先行き見通しDIはそれぞれ下回った。

■鹿児島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.9

-0.9

3カ月連続の悪化

・概況

「鹿児島」の景気DIは38.9と3カ月連続の悪化となった。一部企業からは「販売価格の高値推移」や「業況は堅調」などの声も上がったが、「物価高」や「原料調達難」、「中東情勢」に対する懸念を口にする企業が過半を占めた。特に「中東情勢」を不安視する声が多く聞かれるなどリスク要因が目立つ中で、先行きへの不透明感は払拭されない状態が続いており、引き続き県内情勢は今しばらくの苦戦を強いられるであろう。

・景気DI

「鹿児島」の景気DIは38.9と前月比0.9ポイント悪化した。「九州」は同0.2ポイント悪化の42.0ながら、「全国」は同0.1ポイント改善の41.6となった。全国的には横ばい推移ながら、「鹿児島」は3カ月連続の悪化となったことで、都道府県別順位は前月の27位から33位まで後退した。景気DIが2か月連続で40台を下回るのは22年4月ぶり。

・規模別DI

「大企業」は前月から5.2ポイント悪化の46.7であったほか、「中小企業」は同0.2ポイント悪化となる38.5、「中小企業」のうち「小規模企業」は同0.6ポイント悪化の35.1となった。各規模で悪化となったが、「大企業」の悪化幅が大きかったことで、規模間格差(大企業-中小企業)は、5.0ポイント縮小した。

・業界別DI

『金融』『不動産』『製造』の3業界が改善となったほか、『農・林・水産』『サービス』の2業界が横ばいとなったが、『建設』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』の4業界が悪化した。特に『小売』では5ポイント以上の悪化となるなど、落ち込み幅が目立つ結果となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は39.9と前月比0.3ポイントの改善ながら、「6カ月後」は40.1と同1.6ポイントの悪化となったほか、「1年後」も42.6と同1.3ポイント悪化した。短期的には改善しているが、ナフサ関連などで先行きを不安視する企業が増加する形となった。

■沖縄県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

50.5

-0.9

2カ月連続で悪化

・概況

「沖縄」の景気DIは2カ月連続の悪化となった。これは、好調な沖縄観光と大型工事の継続による恩恵を受けている企業の業績は好調だが、中東情勢が落ち着かず、石油由来製品の高騰及び品薄の状況が拡大し、その影響を強く受けている業者が増えていることが要因と思われる。さらに、人手不足と原材料高騰の影響が加わり、景気DIが前年同月を下回る状況が続いていることから、景況感の動向に注視を払う必要がある。

・景気DI

「沖縄」の景気DIは前月比0.9ポイント(以下、P)減の50.5となった。業種別では8業界中、4業界が悪化した。ただ、都道府県別順位は38カ月連続で全国1位となり、『全国』(41.6)、『九州』(42.0)を上回っている。

・規模別DI

「大企業」(50.0、前月比2.8P増)は2カ月振りの改善、「中小企業」(50.5、前月比1.3P減)は2カ月連続の悪化、「中小企業」のうち「小規模企業」(54.6、前月比3.2P増)は2カ月連続の改善となった。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、『金融』(16.7P増)、『不動産』(2.0P増)、『小売』(6.8P増)、『運輸・倉庫』(19.4P増)の4業界が改善となったが、『建設』(1.3P減)、『製造』(5.6P減)、『卸売』(3.4P減)、『サービス』(7.0P減)の4業界が悪化した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」が48.9(前月48.6)、「6カ月後」は50.7(前月47.9)、「1年後」は50.2(前月48.8)で、3指標とも5カ月振りの改善となった。

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