レポート

TDB景気動向調査2026年5月(北関東ブロック:茨城・栃木・群馬・山梨・長野)

■北関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.0

0.9

4カ月ぶりに改善

・概況

『北関東』の景気DIは前月比0.9ポイント増の41.0となり、4カ月ぶりに改善した。管内の3県、5業界で改善した。一部業界からは「半導体が好調で、もう少しでキャパオーバーになる状況」(群馬、製造)などAI、半導体需要の高まりで受注が増加傾向にあるという声が聞かれる一方、「塗料の出荷停止、ビニールシートやテープ類の価格高騰で仕事ができない」(山梨、建設)など中東問題長期化の影響が多くの業界から出ている。全体として、現況は低調のまま推移し、先行きは中東情勢次第で不透明な状況が続いている。

・景気DI

『北関東』の景気DIは前月比0.9ポイント増の41.0となり、4カ月ぶりに改善した。県別では「長野」が最も上昇幅が大きく、同1.8ポイント増の42.9で全国8位。「栃木」、「群馬」も改善した一方、「山梨」は3カ月、「茨城」は2カ月連続で悪化した。全国10地域別の順位は3位(前月4位)となった。

・規模別DI

「大企業」(47.4、前月46.6)、「中小企業」(40.3、同39.5)、「小規模企業」(38.6、同37.2)となり、すべての規模で改善した。「大企業」、「中小企業」は4カ月ぶりに改善し、「小規模企業」は前月比1.4ポイント増で上昇幅が最も大きかった。規模間格差は前月と変わらず、7.1となった。

・業界別DI

全10業界中、5業界で改善。『運輸・倉庫』(前月比3.4ポイント増)は3カ月、『農・林・水産』(同3.1ポイント増)は4カ月ぶりに改善した。「製造」は前年同月比で8.7ポイントのプラスとなった。悪化したのは『金融』、『サービス』など5業界。『建設』は5カ月、『小売』は4カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(41.1、前月39.5)、「6カ月後」(41.2、同40.5)、「1年後」(43.1、同43.3)となり、「3カ月後」、「6か月後」は前月から改善した。県別では、「山梨」と「長野」がすべての区分で40を上回った。規模別では、月数の経過とともに規模間格差が小さくなる傾向がある。

■茨城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.7

-0.4

2カ月連続悪化

・概況

景気DIは2カ月連続で低下し、県内企業のマインドは弱含みで推移している。原油高を背景とした原材料・エネルギーコスト上昇に加え、ナフサ不足による供給制約が納品遅延や受注停滞を招き、企業活動に広く波及している。足元では原油価格が100ドルを下回り、やや落ち着きを見せているものの、中東情勢の不透明感は依然として強く、中小・小規模企業を中心に下押し圧力が続く。県内企業の景況感は原油価格とナフサ供給の行方に左右されるといっても過言ではなく、引き続きアメリカ・イランの合意動向に大きな影響を受ける局面にある。

・景気DI

景気DIは38.7と前月比0.4ポイント低下し2カ月連続の悪化。39を下回ったのは2020年12月以来で企業マインドの弱さが改めて鮮明になっている。背景には中東情勢の緊迫が長期化していることによるエネルギー価格の不安定さがあり、調査直前まで原油価格が100ドル超で推移したことが警戒感を一段と高めた。

・規模別DI

「大企業」40.0は前月比2.5ポイント改善。「中小企業」38.6(同0.6ポイント減)、「小規模企業」38.7(同1.4ポイント減)は悪化。「大企業」は価格転嫁力を背景にコスト上昇を吸収しやすいのに対し、「中小企業」「小規模企業」はエネルギー価格の影響を受けやすく、企業マインドの回復を阻む要因に。

・業界別DI

『不動産』『卸売』など5業界で悪化、『農・林・水産』『運輸・倉庫』など3業界が改善、『金融』は横ばいとなった。『不動産』は金利上昇や建築コスト高が購買意欲を抑制、悪化幅を大きくした。一方、『農・林・水産』は前月の大きな落ち込みからの反動に加え、天候安定による出荷量回復などが寄与し、改善幅が拡大した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」38.9と小幅に改善した一方、「6カ月後」40.3、「1年後」42.1と弱含みが見込まれ、回復力の乏しさが示されている。企業からは「資材高で入札金額が合わない」との声や「石油関連資材の不足」「資材高による住宅需要の下振れ」懸念が広がる。コスト増と供給制約が企業の慎重姿勢を招く構図が続く。

■栃木県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.4

1.5

5カ月ぶりの改善も、

企業マインドは総体的に低い

・概況

5月の景気DIは5カ月ぶりに改善が見られ、辛うじて40台に回復した。ただし懸念材料は山積しており、特に中小企業では、ナフサショックによる原材料の供給不全が表面化し、「仕事があっても設備が入ってこないので受けられない」(建設)といったケースが増えている。引き続き価格転嫁が進んでおらず、人件費の高騰も企業収益を圧迫する形となっている。特にナフサ関連商品の値上げはこれから本格的に反映されることを考えると、当然、物価高はさらに拍車がかかり、購買力の低下も心配される。いずれにしても、厳しい環境は否めない。

・景気DI

5月の景気DIは40.4、前月比1.5ポイントの上昇となり、栃木県は5カ月ぶりの改善となった。40をわずかに上回ったが、企業マインドは弱含みだ。イラン紛争に始まる石油の流通不全は日本経済に大きな影を落としており、メーカーの多い栃木県の体質としてその影響は大きいと判断せざるを得ない。

・規模別DI

「大企業」47.7(前月46.1)、「中小企業」39.0(同37.8)、「小規模企業」39.2(同37.7)と、すべてのカテゴリーで上昇した。中・小規模の不振を大企業がカバーしている様相だ。規模間格差も8.7と大きく開いており、価格転嫁やコストアップなど、中・小規模の業況維持が懸念材料だ。

・業界別DI

主要6業界を見ると、『サービス』と『建設』が44台とまずまずの景況感を維持し、『製造』が40台を回復、『卸売』『運輸・倉庫』『小売』は30台にとどまった。まだ、石油の流通不全の影響は少ない時期であり、原材料の高騰よりも一般消費の不安定や価格転嫁が進んでいないことが要因となっているイメージが強い。

・先行き見通しDI

「3カ月後」41.3(前月38.4)、「6カ月後」39.8(同38.5)、「1年後」40.9(同40.1)と、前月との比較では全ての指標で上昇が見られた。ただしDIを見ると、辛うじて40台を維持するか若干割り込むかという内容であり、決して楽観できるものではない。石油の流通不全が長引く懸念は極めて大きい。

■群馬県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.7

1.1

3カ月ぶりに改善

・概況

群馬県内企業からは「半導体関連が好調で、部材の受注が急増」(製造)、「得意先の増産計画に対応するため協力企業の確保を検討している」(製造)との明るい声が聞かれる。一方で、「仕入価格が高騰する中、価格転嫁が進まない」(小売)、「中東情勢の影響で機械油が不足しているため、設備停止の懸念がある」(製造)など厳しい声もある。中東情勢の帰結次第で、原材料や資材の供給制約や価格変動の影響が拡大する可能性がある。半導体など一部成長分野が景気を下支えしているものの、全体として弱含みで推移すると見込まれる。

・景気DI

景気DIは前月比1.1ポイント増の39.7と3カ月ぶりに改善した。『全国』も同0.1ポイント増と3カ月ぶりに改善。「群馬」の改善幅は『全国』より大きく、47都道府県別順位は25位(前月36位)に上昇した。DIは40近くまで改善し、『北関東3県』においては「栃木」「群馬」「茨城」の順となった。

・規模別DI

「大企業」 は前月比3.6ポイント減の48.1と2カ月ぶりに悪化した。一方で、「中小企業」は同1.4ポイント増となり5カ月ぶりに改善した。この結果、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は9.0に縮小している。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界では、 『製造』『小売』など3業界が改善。 『製造』『小売』は前月比5ポイント前後、大きく改善した。他方、『建設』『サービス』など3業界が悪化、『金融』など3業界は横ばいだった。『小売』は3カ月ぶりに改善。一方で、『サービス』は2カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が39.8(前月38.3)、「6カ月後」が40.4(前月38.9)、「1年後」が42.0(前月41.7)となった。「3カ月後」「6カ月後」「1年後」の3指標全てが前月より改善した。先に行くほどDI は高く、現在1.9ポイントの全国との格差は 「1年後」は1.7となる見通し。

■山梨県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.2

-0.8

3か月連続悪化

・概況

「山梨」の景気DIは3カ月連続で悪化した。企業からは「遠方への旅行を控えるため都内への人出が多く、都内の取引先からの受注が増えた」(飲食料品製造)などの声が聞かれた。一方、「ほとんどの材料が手に入りにくく、価格も高騰し見積もりができない」(建設)などマイナスの声が多い。先行きについては、中東情勢の緊迫化に伴う「ナフサ不足」の影響が全業界に出ているのに加え、人手不足、物価高はさらに深刻化しているため、景況感の悪化傾向は続くとみられる。

・景気DI

「山梨」の景気DIは前月比0.8ポイント減の42.2となり、3カ月連続で悪化した。全国は同0.1ポイント増の41.6だった。「山梨」は全国を0.6ポイント上回っているが、都道府県別順位は前月の9位から10位に下がった。

・規模別DI

「大企業」は前月比横ばいの50.0、「中小企業」は同0.8ポイント減の41.1、「小規模企業」は同1.7ポイント減の36.3となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は、「中小企業」が悪化したため、前月より0.8ポイント拡大して8.9ポイント差となった。

・業界別DI

前月と比較可能な10業界中、2業界が改善、5業界が悪化、3業界が横ばいとなった。『製造』は中東情勢の悪化で資材価格が高騰し3カ月連続悪化した。判断の分かれ目となる50以上となったのは『農・林・水産』『金融』の2業界。

・先行き見通しDI

「3カ月後」41.9(前月41.6)、「6カ月後」42.5(同42.7)、「1年後」45.8(同45.9)となった。先に行くほどDIは高くなっているが、「6カ月後」、「1年後」は前月の先行き見通しを下回っている。業界別で3指標ともに50以上となったのは、『農・林・水産』『金融』の2業界。

■長野県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.9

1.8

4か月ぶりに改善し、全国8位に上昇

・概況

「長野」の景気DIは4カ月ぶりに改善し、都道府県別で8位と2022年11月以降の最高順位となった。「半導体装置に関する部品製造が好調である」(鉄鋼・非鉄・鉱業)、「『AIバブル』によるAI関連、半導体関連需要」(運輸・倉庫)など、『製造』及び周辺産業の好調さが景況感を引き上げた傾向が窺える。一方、「中東情勢が落ち着かないと先行き不透明」(建材・家具、窯業・土石製品卸売)など幅広い規模、業界から予測の困難さを訴える声は依然多く、短期的、中期的な見込みは現実的、長期的な見込みは希望的な観測が伺える。

・景気DI

「長野」の景気DIは42.9と前月比1.8ポイント上昇し、4カ月ぶりに改善。前年同月からも3.4ポイント改善。「全国」よりも前月からの改善幅が1.7ポイント大きく、2022年12月ぶりに全国を上回った(1.3ポイント)。都道府県別順位は8位と、前月より3ランク、前年同月からは27ランク、それぞれアップした。

・規模別DI

規模別は、2022年11月以降「大企業」が最も高く推移。次いで「中小企業」、「小規模」が続いたが、いずれも前月より上昇。改善幅は「大企業」、「小規模企業」、「中小企業」の順で大きかった。格差は、「大企業」と「中小企業」は拡大したが、「大企業」と「小規模企業」、「中小企業」と「小規模企業」は縮小した。

・業界別DI

主要業界別は、半導体関連を中心とした好調な受注が続く『製造』が2カ月連続で改善。また、『製造』に関わる業務も多い『卸売』や『運輸・倉庫』、『サービス』も前月から改善した。一方、中東情勢の影響で資材調達が困難な『建設』や、コスト上昇を価格に転嫁し難い『小売』はそれぞれ3カ月連続で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月」、「6カ月後」の見通しはそれぞれ様々であるが、紆余曲折を経て現在より「1年後」が良くなるとの予想は、「長野」全体と主要業界別の『製造』、『卸売』、『小売』、『サービス』、規模別の「中小企業」と「小規模企業」。一方、1年後が現在より悪化するとの予想は、『建設』、『運輸・倉庫』、「大企業」であった。

「北関東ブロック(2026年5月)」の詳細(茨城・栃木・群馬・山梨・長野)