レポート

TDB景気動向調査2026年5月(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)

■近畿ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.3

0.4

マインド悪化は一服も、なお予断許さず

・概況

中東情勢の緊迫化の影響が多方面に波及している。『建設』からは「塗装・コーキング・梱包材など資材が入ってこないため、施工を先延ばししている」(滋賀県)との声が聞かれた。DIが改善した業界においても、資機材の入荷難に加え、「中東向け出荷が止まっている」(機械・器具卸、京都府)といった影響が生じている。混乱の収束が見通せない状況は、先行きの下押し要因にもなっている。さらに、『製造』では超硬材料不足を指摘する声が複数みられるなど、新たな制約要因も浮上している。当面、予断を許さない状況が続きそうだ。

・景気DI

『近畿』は前月比0.4ポイント増の40.3。中東情勢の緊迫化に伴うマインドの悪化が一服し、3カ月ぶりに改善した。府県別では「滋賀」を筆頭に4府県が改善した一方で、「兵庫」は2022年2月(38.6)以来、「和歌山」は2021年2月(36.7)以来の低水準に。ブロック別順位は前月と同じ6位だった。

・規模別DI

「大企業」(45.9、前月比0.6ポイント増)、「中小企業」(39.3、同0.4ポイント増)とも3カ月ぶりに改善。規模間格差(6.6ポイント)は、12カ月連続で5ポイントを上回った。「小規模企業」(37.1、同0.3ポイント減)は3カ月連続で悪化し、2022年2月(36.8)以来の低水準に。

・業界別DI

10業界中5業界が悪化、5業界が改善と、強弱が入り交じった。『建設』は2022年7月(39.6)以来3年10カ月ぶりに40を下回ったほか、前月に改善した『小売』『運輸・倉庫』が悪化に転じた。他方、改善したのは『不動産』『卸売』など。『製造』では「輸送用機械・器具製造」の改善傾向が続いた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比1.4ポイント増)、「6か月後」(同1.3ポイント増)、「1年後」(同0.5ポイント増)の3指標とも3カ月ぶりに改善した。先行き3指標が全て改善したのは、規模別で全規模、府県別で「兵庫」を除く5府県。業界別では『不動産』『製造』『卸売』『小売』『サービス』の5業界だった。

■大阪府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.2

0.4

中東情勢が小康状態、景況感改善

・概況

中東情勢における緊張が一時的に和らいだことから、景況感が3カ月ぶりに改善した。企業からは「中東危機から一時的な特需が起こっている」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)、「顧客が早めに発注している」(化学品卸売)など、受注環境は好調を維持する声が多く聞かれる。しかし、物価高による需要低下を懸念する声は根強く、消費者に近い『小売』や『サービス』では景況感が悪化した。足元では原油高に起因した値上げも取り沙汰されるなど、先行きの不透明感は強く、景況感は当面大きな改善は期待できないだろう。

・景気DI

「大阪」は前月比0.4ポイント増の41.2と、3カ月ぶりに改善した。米国とイランの停戦合意交渉が進展し、緊張が一時的に和らいだことで、景況感が改善した。全国(41.6、同0.1ポイント増)との格差(大阪-全国)は▲0.4ポイントに縮小。都道府県別順位は13位から14位に低下した。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.8ポイント増の46.6となり、5カ月ぶりに改善。「中小企業」は同0.4ポイント増の40.0、「小規模企業」は同0.6ポイント増の38.3となり、ともに3カぶりに改善した。「大企業」と「中小企業」との格差は同0.4ポイント拡大の6.6ポイントとなり、依然高水準となっている。

・業界別DI

9業界中6業界で改善した。『不動産』は8カ月ぶりに改善し、前月比3.7ポイント増の48.4となった。『建設』『製造』『卸売』『運輸・倉庫』も改善した。なお、『サービス』は3カ月連続の悪化となり、コロナ禍後半の2022年4月以来の水準となる46.4となった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(前月比1.5ポイント増)、「6カ月後」(同1.6ポイント増)、「1年後」(同0.4ポイント増)の3指標とも、3カ月ぶりに改善した。業界別では、『不動産』『製造』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の5業界で、規模別では『大企業』『中小企業』で先行き3指標が改善した。

■京都府

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.0

0.3

2カ月ぶりの回復も41.0と低迷、規模間格差は6カ月連続の2桁台

・概況

「京都」の景気DIは2カ月ぶりに改善した。「酷暑対策、家庭用エアコンの2027年問題などの影響で受注増」(建設)、「中東情勢の影響で、価格度外視の注文が入る」(化学品卸売)などプラス面の声が聞かれるものの、資材不足による生産量減少、工期の遅れに伴う売り上げ減少など、依然としてマイナスの声が多くを占める。中東情勢の正常化にはしばらく時間を要するとみられるため、調達難に伴う物価高や消費低迷が景況感を下押しする可能性がある。

・景気DI

「京都」の景気DIは、前月比0.3ポイント増の41.0に改善した。『全国』(41.6)との格差は▲0.6ポイント(前月▲0.8ポイント)となり、『全国』を下回った。『近畿』の順位は3位(同2位)、都道府県別の順位は15位(同14位)となり、いずれも後退した。

・規模別DI

「大企業」は51.2(前月51.1)、「中小企業」は39.4(同38.9)、「小規模企業」は37.0(同37.7)となり、「大企業」「中小企業」が改善した。「大企業」と「中小企業」の規模間格差は11.8(同12.2)に縮小したが、2002年の調査開始以降最長の6カ月連続の2桁台となった。

・業界別DI

『金融』『不動産』は50を上回ったが、『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』など5業種が40割れとなるなど、好調な業界は限られる。また、同一業界内においても良否が分かれる意見があり、まだら模様の状況にある。

・先行き見通しDI

「3カ月後」40.4(前月39.4)、「6カ月後」42.2(同40.1)、「1年後」42.9(同42.7)となり、全期間で前月を上回った。業界別では『不動産』『運輸・倉庫』が全期間で悪化、『小売』が全期間で改善見通し。規模別では6か月後は全規模で改善見通しだが、それ以外は意見が分かれた。

■兵庫県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.6

-0.2

3カ月連続の悪化

・概況

「兵庫」の景気DIは3カ月連続の悪化となった。中東情勢の混迷はいまだ収束せず、幅広い業種に影響が及んでいる。「オイル、ナフサ資材不足で日程調整が不透明である」(建設)など建設関連では特に資材の調達難や材料支給のストップで納期遅延が発生していると指摘する声が多かった。また「仕入れ値上昇、需要減少」(小売)など、物価高で個人消費も厳しいとの声も少なくない。今後は中東情勢の動向と原油由来製品の目詰まりの状況、為替や物価高、個人消費に対する政府の経済対策の動向などが注目される。

・景気DI

「兵庫」の景気DIは前月比0.2ポイント減の38.6で3カ月連続の悪化。前年同月比でも3.3ポイント下回った。全国順位は37位(前年同月18位)。『全国』は前月比0.1ポイント増の41.6、『近畿』は同0.4ポイント増の40.3でともに3カ月ぶりの改善となった。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.4ポイント増の43.5で5カ月ぶりの改善となった。「中小企業」は同0.3ポイント減の38.0、うち「小規模企業」は同2.5ポイント減の34.7でともに3カ月連続の悪化となった。規模間格差は5.5ポイント(前月4.8)と0.7ポイント拡大した。

・業界別DI

10業界中5業界で悪化。『建設』は、前月比3.3ポイント減の35.7で4カ月連続の悪化。『卸売』は同1.1ポイント減の38.0で3カ月連続の悪化。なった。他方、『製造』は同1.1ポイント増の38.9で6カ月ぶりの改善となった。

・先行き見通しDI

3カ月後は前月比0.7ポイント増、6カ月後は同0.1ポイント減、1年後は横ばいと6カ月後のみ悪化。業界別では『不動産』『運輸・倉庫』の2業界で全指標悪化。規模別では小規模企業において3カ月後、6カ月後の2指標で悪化となった。

■滋賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.8

1.6

3カ月ぶりに改善も大企業の回復は進まず

・概況

「滋賀」の景気DIは前月比1.6ポイント改善した。企業からは「イラン情勢の影響で塗装、コーキング、梱包材他資材が入ってこないため、見積依頼はあっても施工を1年程度先延ばししている状況にある」(建設)、「原材料の高騰に伴い、ありとあらゆる物価の上昇が消費者の購買マインドを阻害している」(小売)といった声がある一方、「物価高騰、資材高騰、原材料高騰などで売上は上がっている」(サービス)との声が聞かれ、対外情勢や物価上昇による影響を不安視する向きがあるなかで、一進一退の状況が続くとみられる。

・景気DI

「滋賀」の景気DIは41.8と前月比1.6ポイント改善した。業界別では悪化が2業界、改善が5業界、横ばいが1業界となった。近畿ブロック内の2府4県別順位は1位に返り咲き、全国においては12位(前年同月は10位)となった。

・規模別DI

「大企業」が35.0と前月比0.9ポイント悪化したが、「中小企業」が42.6と同1.8ポイント、「小規模企業」は40.4と同0.2ポイントそれぞれ改善した。また、「大企業」は2カ月連続で「中小企業(うち小規模含む)」を下回った。

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中2業界で悪化、5業界で改善、1業界で前月比横ばいとなった。『建設』『不動産』が悪化した一方で、『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』が改善を果たした。

・先行き見通しDI

「3カ月後」が41.2(前月37.8)、「6カ月後」が42.2(前月39.4)、「1年後」が42.7(前月41.8)だった。中小企業を中心に一部で持ち直しの動きがみられるが、中東情勢の緊迫化が続いているなかで、大企業の弱さや業種間のばらつきが下振れ要因となる可能性がある。

■奈良県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

37.4

2.1

3カ月ぶりに改善

・概況

「奈良」の景気DIは3カ月ぶりに改善し37.4となった。中東情勢の影響が次第に落ち着くといった観測が広がった。また、同影響に伴う仕入コスト高騰に対する価格転嫁も徐々に進んだようで、3カ月後、6カ月後、1年後の先行き見通しDIも改善している。今後も中東情勢の行方があらゆる業界の先行きに影響を及ぼすと思われる。

・景気DI

景気DIは前月から2.1ポイント改善し37.4となった。都道府県別順位は前月の45位から改善し40位となった(前年同月順位43位)。近畿では滋賀が41.8で全国12位、次いで大阪が41.2で同14位となった。「近畿」全体では前月比0.4ポイント改善、「全国」でも同比0.1ポイント改善となった。

・規模別DI

「大企業」は46.7と前月比8.6ポイント改善、「中小企業」は36.5と同1.6ポイント、「小規模」は33.3と同1.6ポイントそれぞれ改善した。「大企業」「中小企業」「小規模」のいずれも改善しており、規模間格差は10.2と前月比7.0ポイント拡大している。

・業界別DI

『サービス』(47.9)は前月比10.4ポイント、『卸売』(43.8)は同8.4ポイント、『製造』(34.0)は同2.1ポイントそれぞれ改善した。一方で、『不動産』(37.5)は前月比4.2ポイント、『建設』(33.3)は同3.4ポイント、『小売』(37.5)は同2.5ポイントそれぞれ悪化した。

・先行き見通しDI

3カ月後は36.5(前月35.6)、6カ月後は37.6(同35.9)、1年後は41.4(同40.1)で、3指標とも改善見通しとなった。特に6カ月後は前月比1.7ポイント改善しており、景気改善を見込んでいる企業が多いことを示している。

■和歌山県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

36.7

-0.1

3カ月連続で悪化

・概況

「和歌山」は、前月比で0.1ポイント減の36.7と3カ月連続で悪化した。中東情勢の悪化の影響を受け、住宅用接着剤や業務用塗料・シンナー、スーパーなどで利用されている商品のトレイやラップなどの包装資材など、原材料の調達コストが増加しているほか、必要「量」の調達が容易ではなくなっている。ただし、パニックになるほどの状況ではなく、県内企業は冷静な対応を進めている。新設住宅着工戸数の低迷が続き、大型の公共工事も乏しく、当面はこの状況が続くと予想される。

・景気DI

「和歌山」は、前月比で0.1ポイント減の36.7と3カ月連続で悪化し、30ポイント台に留まった。『全国』(41.6)と『近畿』(40.3)を下回り、『近畿』の中でも落ち込み目立っている。

・規模別DI

「中小企業」が前月比0.8ポイント増の36.3となったが、「大企業」が39.6と前月比8.3ポイント悪化し、全体を大きく押し下げる結果となった。「大企業」「中小企業」いずれも40ポイントを割り込んでおり、DIの低さが顕著になっている。

・業界別DI

『卸売』(40.7)『サービス』(40.2)は前月比で改善したものの、『建設』(38.5)『小売』(33.3)『製造』(31.6)『運輸・倉庫』(22.2)が前月比で悪化した。とりわけ、『小売』や『製造』の低さは懸念される。

・先行き見通しDI

3カ月後が38.4(前月35.5)、6カ月後が38.4(同37.5)、1年後が40.8(同38.4)と3指標ともに見通しはやや改善した。中東情勢の影響により、原材料の値上げや計画的な調達がしににくくなっている状況はあるものの、全く不透明という先月の状況からは脱しつつある。

「近畿ブロック(2026年5月)」の詳細(近畿ブロック:滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山)