レポート

TDB景気動向調査2026年4月(九州ブロック:福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄)

■九州ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

42.2

-1.6

2カ月連続悪化

・概況

『九州』の景気DIは、42.2と2カ月連続で悪化した。企業からは「大手半導体製造企業の工事の遅れ、国際情勢の悪化による資材高騰、資材が手に入りにくいことが影響している」(熊本県、建設)などの声が聞かれる。DI50台は、県別では「沖縄」のみ。インバウンド需要もあるが、人件費負担増に加え、中東情勢の影響に伴う関連製品の価格高騰、調達難も聞かれることから、当面は弱含みの推移が見込まれる。

・景気DI

『九州』(42.2、前月比1.6ポイント減)は2カ月連続で悪化した。10業界中7業界、8県中7県で悪化。『九州』8県中10位以内は4県。先行き見通しDIは「3カ月後」が3カ月連続、「6カ月後」「1年後」は2カ月連続で悪化した。ブロック別では14カ月連続で全国2位。

・規模別DI

「大企業」(46.0、前月比0.8ポイント減)は3カ月連続、「中小企業」(41.7、同1.7ポイント減)は2カ月連続で悪化。37カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。「小規模企業」は38.4(同2.9ポイント減)と4カ月連続で悪化。

・業界別DI

『農・林・水産』(40.2、前月比0.4ポイント増)など3業界で改善したものの、『小売』(38.8、同5.3ポイント減)、『不動産』(40.1、同3.4ポイント減)など10業界中7業界で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(41.4、前月比1.8ポイント減)は3カ月連続、「6カ月後」(42.0、同1.9ポイント減)、「1年後」(44.0、同1.5ポイント減)は2カ月連続で悪化した。業界別では、『運輸・倉庫』で全指標改善したものの、『農・林・水産』など5業界で全指標が悪化した。

■福岡県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.9

-0.6

2カ月連続の悪化

・概況

「福岡」の景気DIは、インバウンド需要や設備投資などの高まりはあるものの、先行き不透明な中東情勢などもあって、2カ月連続で悪化した。企業からは「宿泊市況はインバウンドを中心に稼働状況が良好に推移している」(不動産)などのコメントがある一方で、「材料の高騰が止まらない」(建設)などの声があった。インバウンド効果などによって一部の業界は好調なものの、人件費増に加え、中東情勢の影響で物価上昇などが多くの業界でマイナスとなっており、今後も弱含みの推移が見込まれる。

・景気DI

「福岡」(43.9、前月比0.6ポイント減)は、2カ月連続の悪化。業界別では、『農・林・水産』『卸売』『サービス』の3業界で改善。『金融』『建設』など6業界で悪化。都道府県別順位は6位で前月(7位)からアップ。『九州』8県での順位は前月と同じ3位となった。

・規模別DI

「大企業」46.7(前月比1.1ポイント増)は3カ月ぶりの改善。「中小企業」43.4(同0.9ポイント減)、「小規模企業」41.2(同3.2ポイント減)は2カ月連続の悪化。規模間格差は「大企業」が「中小企業」を3.3ポイント上回った。

・業界別DI

『農・林・水産』(50.0、前月比8.3ポイント増)、『卸売』(42.1、同2.6ポイント増)など3業界で改善。『金融』(50.0、同5.6ポイント減)、『建設』(46.4、同1.8ポイント減)など6業界で悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(42.6、前月比2.2ポイント減)は3カ月連続、「6カ月後」(43.0、同2.2ポイント減)、「1年後」(45.4、同1.6ポイント減)は2カ月連続で悪化。3指標改善した業界はなく、10業界中5業界で3指標全て悪化した。

■佐賀県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.0

-2.4

2カ月連続で悪化

・概況

「佐賀」の景気DIは2カ月連続で悪化し41.0と前月より2.4ポイントダウンした。業界を問わず中東情勢を懸念する声が聞かれ、既に影響が出ている業種も少なくない。「佐賀」に限ったことではなく、全国47都道府県の内、41都道府県が悪化し、2カ月連続で全ブロックが悪化する結果となった。原油由来の商材は多く、円安基調の政策下では消費者ほど影響は大きく、景気後退を避け難い状況が見受けられ、いずれも厳しい経営環境が続く懸念が高まっている。

・景気DI

「佐賀」の景気DIは41.0で、前月より2.4ポイント後退した。41ポイント台まで落ち込むのは、2022年3月以来4年1カ月ぶり。「九州」は熊本以外、すべての県で悪化し、「全国」的に軒並み悪化したことから、「佐賀」の都道府県別順位は2ランクダウンの12位にとどまった。

・規模別DI

「大企業」「中小企業」「小規模企業」のいずれの規模も前月より悪化した。いずれも中東情勢に関わる声が多く、「大規模」<「中小企業」<「小規模企業」の順に悪化幅が大きかった。規模が小さいほど影響が出ているようで、規模間格差は3.8と前月より2.6ポイント拡大した。

・業界別DI

販売単価の上昇で改善した業界はあるが、軒並み中東情勢を受けた原油価格の高騰による資材の調達不足や価格上昇が利益を圧迫しているほか、消費者に近いところでは販売量の減少がみられた。『卸売』『小売』『運輸・倉庫』が大幅に悪化し、不安定な状況が続く懸念がある。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は40.5(前月41.0)「6カ月後」は42.8(同43.2)、「1年後」は42.8(同44.0)と全指標で悪化した。中東情勢の影響を受け、短期・中期的に見通し難く、調達難も懸念されている。1年後は回復して欲しいとの願望が多く聞かれたが、業界を問わず先行きの見えない厳しさがうかがえる。

■長崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

37.7

-2.5

4カ月連続で悪化

・概況

「長崎」の景気DIは前月比2.5ポイント減の37.7と4カ月連続で悪化した。「新規建設の需要減少に加えて中東情勢による物価高と物資のストップで大変厳しい状況」(建設)という深刻な声がありながらも、「需要はあるが、受注するための人材が不足している」(サービス)といった人手不足問題を挙げる声も聞かれた。物価高や材料調達の停止など直近では厳しいものの、1年後には世界情勢の安定化やエネルギー供給の回復が期待されることから、「長崎」の今後は景況感は下げ止まりから緩やかな回復局面へ移行するものと推察される。

・景気DI

「長崎」の景気DIは前月比2.5ポイント減の37.7で4カ月連続の悪化となった。『九州』8県中7件が悪化したことにより、九州ブロック内順位は8県中7位のままであった。都道府県別順位は前月の33位から5つ落として38位となり、九州平均・全国平均ともに下回った。

・規模別DI

「大企業」は前月比11.4ポイント減の32.2、「中小企業」は同1.0ポイント減の38.7、「中小企業」のうち「小規模企業」は同0.5ポイント減の32.8となった。「中小企業」の減少幅が最小限に抑えられた一方で、「大企業」が大幅に悪化したため、規模間格差は逆転して▲6.5となった。

・業界別DI

前月から改善した業界は『不動産』『卸売』『運輸・倉庫』の3業界となった。悪化した業界は『農・林・水産』『建設』『製造』『小売』『サービス』の5業界となった。中でも『農・林・水産』の悪化幅が目立つ結果となった。『金融』は前月と同水準であった。

・先行き見通しDI

「3カ月後」38.0(前月比1.2ポイント減)「6カ月後」39.4(前月と同水準)「1年後」40.4(同0.7ポイント減)と各項目とも前月から悪化したが、先へ行くほど改善の見通しとなった。業種別にみると『建設』『運輸・倉庫』が先へ行くほど改善の見通しとなっている。

■熊本県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.1

0.3

2カ月ぶりに改善

・概況

「熊本」の景気DIは前月比0.3ポイント増の43.1と2カ月ぶりに改善した。「インバウンド需要が旺盛であり、業界と地域のいずれも景気が良い」(農・林・水産)など明るい話題が見られた一方で、「消費が落ち込んでおり、公共事業が減少し民間投資も鈍化している」(建設)と不安を示す声は多い。不安定な世界情勢により原油の輸入が懸念され、多くの業界への影響が出ているほか、ハウスメーカー業界も不振の状態が続いているため、今後の景気は一進一退になるとみられる。

・景気DI

「熊本」の景気DIは43.1で前月比0.3ポイント増と2カ月ぶり改善した。また、『九州』(42.2)は前月比1.6ポイント減となり、「全国」(41.5)も同1.4ポイント減となった。なお、「熊本」の都道府県別順位は第7位(前月第15位、前年同月第5位)と前月から8ランク上がった。

・規模別DI

「大企業」の景気DIは51.4と前月から1.4ポイント増となり、「中小企業」も42.4と同0.4ポイント増となった。33カ月連続で「大企業」が「中小企業」の景気DIを上回り、規模間格差(大企業-中小企業)に関しては「中小企業」よりも「大企業」の改善した幅が大きく、差は9.0ポイントに拡大した。

・業界別DI

9業界中、改善した業界は『建設』『不動産』『卸売』『サービス』の4業界となった。一方で悪化した業界は『農・林・水産』『製造』『小売』『運輸・倉庫』の4業界となり、『金融』は横ばいとなった。熊本県内においては一定のインバウンド需要を維持した一方で、価格を転嫁できていない企業が多い点は懸念材料と言える。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは「3カ月後」が42.5(前月41.8)、「6カ月後」は43.1(同43.3)、「1年後」は44.3(同45.6)となった。人手不足が進み、対応できる受注が限定されているため「6カ月後」と「1年後」がいずれも悪化した。

■大分県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

44.7

-0.8

3カ月連続で悪化

・概況

ホルムズ海峡の外航輸送の滞りが長期化し、原油由来の各種商材等の調達難等から、悲観的な見方が拡大している。県内の倒産・廃業は増加しているほか、各種資材の調達難や値上げなどによる中小企業の負担増加の声が聞かれ、全業種で先行きの不安が広がっている。4月以降は、食料品をはじめ幅広く値上げが相次ぎ、消費者の購買意欲の低下や買い控えが不安視され、日銀は5月以降の利上げに含みを持たせており、中小企業の負担増の懸念もあって、県内の景気動向は更に下降すると推察される。

・景気DI

「大分」の景気DIは44.7となり、3カ月連続で悪化した。全国順位は第4位(前月第4位・前年同月第2位)と前月から順位は変わらなかった。判断の分かれ目となる「50」は16カ月連続で下回っている。

・規模別DI

「大企業」は前月比0.3ポイント減の47.6、「中小企業」も同0.8ポイント減の44.4となり、「中小企業」のうち「小規模企業」でも同0.4ポイント減の46.3となった。規模間格差は3.2となり、6カ月連続で「大企業」が「中小企業」を上回った。

・業界別DI

業界別では『運輸・倉庫』が前月比3.3ポイント増、『サービス』が同0.6ポイント増となった。『小売』は同7.2ポイント減の40.7と最大の下げ幅となったほか、『製造』が同5.3ポイント減の47.8、『卸売』も同1.4ポイント減の37.5、『建設』でも同1.2ポイント減と悪化した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」43.2(前月44.4)、「6カ月後」42.5(同45.3)、「1年後」44.3(同45.1)と3指標のいずれも前月から悪化した。業界別では『サービス』の「1年後」は50以上となったが、『建設』『製造』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』はいずれも3指標ともに「50」を下回り楽観していない。

■宮崎県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

31.1

-7.1

2カ月連続悪化

・概況

依然として中東ホルムズ海峡の緊張が続いている。米トランプ政権とイランは「14項目の覚書」を巡る交渉が大詰めを迎えるが、米軍によるイラン港湾封鎖は継続し、物流の停滞は解消されていない。この情勢は遠く離れた宮崎経済を直撃。原油高に伴い、ビニールハウスの加温燃料や漁船の燃油、輸入肥料が一段と高騰している。県は漁業者への積立金支援など対策に乗り出しているが、生産現場の負担増は限界に近い。物価高による消費冷え込みも懸念され、海峡の安定が県内の景気回復のカギを握る状況だ。

・景気DI

「宮崎」の景気DIは31.1で、前月比7.1ポイント減と2カ月連続で悪化した。『九州』(42.2)と比較して11.1ポイント減、全国(41.5)と比較しても10.4ポイント減となった。全国順位に関しては、47位となり最下位となった。

・規模別DI

「大企業」は56.7で5カ月ぶりに改善、「中小企業」は29.3で8.0ポイント悪化した。規模間格差(大企業-中小企業)は27.4となり、同14.7ポイント拡大した。「中小企業」に含む「小規模企業」は25.7で同11.8ポイント減と悪化した。

・業界別DI

『製造』は29.2で前月比5.8ポイント減、『非製造』は31.5で同7.1ポイント減、『製造』『非製造』ともに2カ月連続で悪化した。『製造』は「鉄鋼・非鉄・鉱業」が悪化した。『非製造』は、「飲食料品卸売」、「機械・器具卸売」、「飲食料品小売」、「広告関連」が悪化した。

・先行き見通しDI

景気「3カ月後」見通しに関しては、31.4で前月比5.7ポイント減、「6カ月後」は31.8で同6.6ポイント減、「1年後」は36.0で同5.2ポイント減とそれぞれ前月と比較して悪化した。『九州』と『全国』の「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」と比較しても宮崎の先行き見通しDIはそれぞれ下回った。

■鹿児島県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.8

-2.3

2カ月連続で悪化

・概況

「鹿児島」の景気DIは39.8と22年8月以来となる30台となった。近時は12カ月連続で悪化と改善が続いたが、ここにきて大きく悪化した。依然として「物価高」や「人手不足」などを懸念する声は聞かれたが、「中東情勢」や「原油高騰・調達難」に対する不安が多く上がった。一方、「政権への期待」や「民需の回復」など先行きに対し明るい声もあったが、不安・懸念の声が多く、県内情勢は今しばらくの苦戦を強いられるであろう。

・景気DI

「鹿児島」の景気DIは39.8と前月比2.3ポイント悪化した。「九州」は同1.6ポイント悪化の42.2、「全国」も同1.4ポイント悪化の41.5となった。全国的に悪化が進んだが、「鹿児島」の悪化幅が大きく、都道府県別順位は前月の21位から27位に後退した。近時は悪化と改善を繰り返していたが、景気DIが40台を下回るのは22年8月ぶり。

・規模別DI

「大企業」は前月から0.5ポイント悪化の51.9であったほか、「中小企業」は同2.6ポイント悪化となる38.7、「中小企業」のうち「小規模企業」は同3.7ポイント悪化の35.7となった。各規模で悪化となったが、「中小企業」の悪化幅が大きかったことで、規模間隔差(大企業-中小企業)は、2.1ポイント拡大した。

・業界別DI

『農・林・水産』『不動産』『卸売』『サービス』の4業界が改善となったが、残る『金融』『建設』『製造』『小売』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界が悪化した。『金融』では8ポイント以上の悪化となるなど、悪化業界の落ち込みは顕著である。

・先行き見通しDI

「3カ月後」は39.6と前月比2.3ポイントの悪化、「6カ月後」も41.7と同1.1ポイントの悪化となったほか、「1年後」も43.9と同0.8ポイントの悪化となった。前月同様に全項目で悪化となるなど、先行きについて厳しい見方をする企業が増加している。

■沖縄県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

51.4

-2.4

2カ月ぶりに悪化

・概況

「沖縄」の景気DIは2カ月ぶりに悪化した。これは、人手不足とコスト上昇による収益悪化が続いていること、ホルムズ海峡封鎖による石油由来製品の高騰あるいは供給不足の影響が既に出ているためである。また、「業界別」で悪化した4業界の下落幅が大きく、「先行き見通しDI」が3指標とも3カ月連続で悪化するなど企業の不安感が強まっており、状況は引き続き注視していく必要がある。

・景気DI

「沖縄」の景気DIは前月比2.4ポイント(以下、P)減の51.4となった。業種別では8業界中、4業界が悪化した。ただ、都道府県別順位は37カ月連続で全国1位となり、『全国』(41.5)、『九州』(42.2)を上回っている。

・規模別DI

「大企業」(47.2、前月比6.1P減)、「中小企業」(51.8、前月比2.0P減)は2カ月振りの悪化、「中小企業」のうち「小規模企業」(51.4、前月比2.0P増)は3カ月振りの改善となった

・業界別DI

前月と比較可能な8業界中、『金融』、『運輸・倉庫』の2業界が横ばい、『小売』(4.7P増)、『サービス』(3.7P増)の2業界が改善となったが、『建設』(7.8P減)、『不動産』(7.2P減)、『製造』(5.6P減)、『卸売』(5.3P減)の4業界が悪化した。

・先行き見通しDI

先行き見通しDIは、「3カ月後」が48.6(前月51.9)、「6カ月後」は47.9(前月51.4)、「1年後」は48.8(前月50.7)で3指標とも3カ月連続の悪化となった。

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