レポート

TDB景気動向調査2026年4月(北関東ブロック:茨城・栃木・群馬・山梨・長野)

■北関東ブロック

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

40.1

-1.8

3カ月連続で悪化

・概況

『北関東』の景気DIは40.1となり、3カ月連続の悪化となった。域内全県で悪化し、10業界中9業界で悪化した。企業からは中東情勢を巡る懸念の声が依然として多く、「材料や資材を発注しても届かず、連休明けから仕事ができない」(山梨、建設)、「資材調達が不安定で、納期未定で対応している」(群馬、製造)など長期化する中東情勢の影響が企業活動の停滞につながっている。イランとアメリカの交渉がまとまり、調達や物価が安定するには一定期間を要するため、先行きは見通せず、景況は低調のまま推移するとみられる。

・景気DI

『北関東』の景気DIは前月比1.8ポイント減の40.1となり、3カ月連続で悪化した。41を下回ったのは、10カ月ぶり。域内全県で悪化し、「茨城」が前月比4.3ポイント減と、最も下落幅が大きかった。「栃木」は4カ月、「長野」は3カ月連続で悪化した。全国10地域別の順位は4位(前月3位)となった。

・規模別DI

「大企業」(46.6、前月47.7)、「中小企業」(39.5、同41.2)、「小規模企業」(37.2、同39.5)となり、すべての規模で悪化した。「大企業」と「中小企業」は3カ月連続で悪化し、「中小企業」は10カ月ぶりに30台となった。規模間格差は前月から拡大し、7.1となった。

・業界別DI

全10業界中、『不動産』(前月比5.1ポイント減)、『建設』(同3.7ポイント減)など9業界で悪化し、改善したのは『金融』(同5.4ポイント増)のみだった。『建設』は4カ月連続で悪化、前月に20カ月ぶりに40を下回った『農・林・水産』はさらに悪化した。前年同月比では『製造』が唯一改善した。

・先行き見通しDI

「3カ月後」(39.5、前月40.9)、6か月後(40.5、同42.1)、1年後(43.3、同44.2)となり、3指標ともに前月から悪化した。県別では、全県で月数の経過とともに改善する見通しで、「山梨」と「長野」がすべての区分で40を上回った。業界別では『小売』がすべての区分で30台となった。

■茨城県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

39.1

-4.3

2カ月ぶりに悪化

・概況

3月の景気DIは一時的に持ち直したものの、4月は再び悪化し回復基調の定着には至らなかった。原油価格の高騰に加え、ナフサ不足による商品・製品の供給制約への警戒感が強まっている。県内企業からは「ホルムズ海峡封鎖の影響で生産に支障が生じている」「中東情勢の悪化で原材料の入手が困難かつ高値が続く」といった切実な声が相次いでいる。中東情勢悪化の長期化による影響は、物価上昇を通じて県内経済に波及する可能性が高く、各種コストの負担増は企業収益を圧迫する要因となっている。景況感には下振れリスクがあり、慎重に見極める必要がある。

・景気DI

4月の景気DIは39.1、前月から4.3ポイントの低下となった。「茨城」の景気DIが「40」を下回るのは、2025年5月以来11カ月ぶり。中東情勢の緊迫化で原油価格が高騰し、物価上昇への懸念が拡大。ナフサ不足による石油関連製品の値上げや受注停止が相次ぐなど、サプライチェーンの混乱が景況感を下押しした。

・規模別DI

「大企業」37.5(前月41.7)、「中小企業」39.2(同43.6)、「小規模企業」40.1(同44.2)と、いずれも前月から悪化。原油価格高騰に伴う商品・製品価格の上昇が企業心理を冷やし、とりわけ価格転嫁が難しい企業で景況感の低下が目立った。全規模が悪化したのは、2025年10月以来6カ月ぶり。

・業界別DI

『農・林・水産』『建設』など7業界が悪化。改善は『不動産』のみ、『金融』は横ばいだった。悪化幅が大きかった『農・林・水産』は肥料や農業資材価格の上昇、『建設』は塗料など資材不足による工期遅延の懸念が下押し材料。一方、唯一改善した『不動産』は県南地区の地価上昇や宅地需要の高まりがプラスに働いた。

・先行き見通しDI

「3カ月後」38.0(前月40.4)、「6カ月後」40.7(同42.1)、「1年後」43.9(同44.6)とすべて前月から低下。供給制約の解消が見通せず、企業から「資材が調達できず工期が延長する可能性がある」との声も聞かれる。県内企業の回復期待は後退しており、先行きに対する慎重な見方が強まっている。

■栃木県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.9

-2.1

4カ月連続の悪化、不況鮮明の30台に突入

・概況

4月の景気DIは4カ月連続の悪化となり、不況感が鮮明となる30台に突入した。企業の声を総括すると、「ホルムズ海峡の封鎖は長引く様相だ。石油の供給が止まれば事業は成り立たない。特にナフサの影響は大きく、ポリエチレンなど樹脂製品全般に影響が及ぶとなれば、流通も途絶えるだろう」となる。けん引役の建設業界でも、資材高騰や人手不足などが背景にあり、公共工事の入札不調が報道されている。一般消費の不安定さも下振れ要因になり、八方塞がりの感がある。令和版オイルショックの動向を注視していく必要があるだろう。

・景気DI

4月の景気DIは38.9、前月比2.1ポイントの下落となり、4カ月連続の悪化となった。30台は11カ月ぶりで不況感が鮮明となった。イラン紛争の長期化により、原油の調達が滞っている背景もあり、県内の多くの産業に影響が広がる懸念が表面化しているのが実情だ。県別順位も32位と低位を脱却できていない。

・規模別DI

「大企業」46.1(前月47.5)、「中小企業」37.8(同39.8)、「小規模企業」37.7(同41.3)と、すべてのカテゴリーで悪化した。特に「中小企業」は前月比2.0ポイントの大幅下落と、不況感が鮮明だ。規模間格差も8.3に広がり、川上企業が不況を理由に価格転嫁に応じていない実態なども見受けられる。

・業界別DI

主要6業界を見ると、『製造』、『卸売』、『小売』などが軒並み30台であり、『運輸・倉庫』には20.8と前月から大幅に悪化し低水準となった。けん引役の『サービス』、『建設』も悪化しており、悪化傾向は産業全般に及んでいる。原材料の高騰や、人手不足による受注手控えなど様々な不安要素が顕在化しているようだ。

・先行き見通しDI

「3カ月後」38.4(前月39.7)、「6カ月後」38.5(同41.5)、「1年後」40.1(同42.2)と、すべてのカテゴリーで悪化した。「現状のアメリカとイランの関係が長引き、石油の供給が思うようには回復しないと判断している。波及する影響の大きさを考えれば不安は拭えない」という見方が強い。

■群馬県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

38.6

-1.7

2カ月連続で悪化

・概況

群馬県内企業からは「新規顧客との打ち合わせが増加している」(製造)との明るい声が聞かれる一方で、「新築住宅が大きく減少し、住宅設備関連の受注が振るわない」(製造) 、「中東情勢により、各種商品の納期遅延や仕入価格の高騰が目立つ」(小売)など厳しい声もある。この結果、4月の景気DIは2カ月連続で悪化した。中東情勢悪化の影響による原材料などの供給制約や高騰を危惧する声が数多く寄せられている。各種コストや人件費の上昇が企業収益を圧迫しており、景気のさらなる下振れリスクを高めている。

・景気DI

景気DIは前月比1.7ポイント減の38.6と2カ月連続で悪化した。『全国』も前月比1.4ポイント減と2カ月連続で悪化。「群馬」の悪化幅は『全国』より大きく、47都道府県別順位は36位(前月32位)に低下した。DIは5カ月ぶりに40台を割り込み、『北関東3県』においては「茨城」「栃木」より低位にある。

・規模別DI

「大企業」 は前月比1.7ポイント増の51.7と2カ月ぶりに改善した。一方で、「中小企業」は同2.0ポイント減、「小規模企業」は同2.2ポイント減とそれぞれ悪化。この結果、「大企業」と「中小企業」の規模間格差は14.0に拡大した。

・業界別DI

前月と比較可能な9業界では、 『建設』『卸売』など5業界が改善。他方、『製造』『小売』など3業界が悪化、『金融』は横ばいだった。なお、『建設』は4カ月ぶりに改善した。一方、『製造』は3カ月ぶりに悪化、『小売』は2カ月連続で悪化し、それぞれ5ポイント以上減少した。 

・先行き見通しDI

「3カ月後」が38.3(前月39.9)、「6カ月後」が38.9(前月40.9)、「1年後」が41.7(前月42.1)となった。「3カ月後」「6カ月後」「1年後」の3指標全てが前月より悪化した。先に行くほどDI は高く、現在2.9ポイントの全国との格差は 「1年後」は2.0となる見通し。

■山梨県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

43.0

-0.9

2か月連続悪化

・概況

「山梨」の景気DIは2カ月連続で悪化した。企業からは「半導体装置産業の受注が上昇している」(製造)などの声が聞かれた。一方、「中東情勢の悪化により、材料と資材が発注しても届かない状況にある。このままでは、連休明けから仕事ができなくなる」(建設)、「中東情勢悪化の影響による物価高・消費の冷え込み・資材不足で受注量が年始よりさらに少ない」(卸売)などマイナスの声が多い。先行きについては、中東紛争が長引けば石油および石油由来の物資の供給が滞り、景況感はさらに悪化するとみられる。

・景気DI

「山梨」の景気DIは前月比0.9ポイント減の43.0となり、2カ月連続で悪化した。全国は同1.4ポイント減の41.5だった。「山梨」は全国を1.5ポイント上回り、都道府県別順位は前月の8位から9位に下がった。

・規模別DI

「大企業」は前月比1.3ポイント減の50.0、「中小企業」は同0.9ポイント減の41.9、「小規模企業」は同2.2ポイント減の38.0となった。「大企業」と「中小企業」との規模間格差は、「大小企業」が大きく悪化したため、前月より0.4ポイント縮小して8.1ポイント差となった。

・業界別DI

前月と比較可能な10業界中、3業界が改善、5業界が悪化、2業界が横ばいとなった。『運輸・倉庫』は中東情勢の悪化で燃料価格が高騰し前月より16.6ポイント悪化した。判断の分かれ目となる50以上となったのは『農・林・水産』『金融』『不動産』『サービス』の4業界。

・先行き見通しDI

「3カ月後」41.6(前月42.3)、「6カ月後」42.7(同42.8)、「1年後」45.9(同45.8)となった。先に行くほどDIは高くなっており、「1年後」は前月を上回っている。業界別で3指標ともに50以上となったのは、『金融』『不動産』『サービス』の3業界。

■長野県

今月の景気DI

前月比

今月の特徴

41.1

-0.5

3カ月連続で悪化

・概況

「長野」の景気DIは3カ月連続で前月を下回った。さらに先行きについては、40カ月ぶりに短期的な悪化予想となった。「中東情勢の悪化により、資材の高騰、入荷難の状況が見受けられる」(建材製造)、「紛争の影響か、石油製品をはじめ諸物価の値上げへの警戒感からか、個人消費の伸びがない」(ホテル)など幅広い規模、業界から中東問題に関わる現状と不安を訴える声が大半から聞かれた。また「戦闘が収まったにしても原油の供給が2月末以前に戻るには相当な時間を要すると考えられる」(運輸)と影響の長期化を懸念するコメントは多い。

・景気DI

「長野」の景気DIは41.1と前月比0.5ポイント低下し、3カ月連続で悪化した。「全国」を0.4ポイント下回ったが、悪化幅が「全国」より0.9ポイント小さかったため、都道府県別順位は11位となり、前月より12ランク、景気DIが2.0ポイント改善した前年同月からは26ランク、それぞれアップした。

・規模別DI

規模別は、2022年11月以降「大企業」が最も高く推移。次いで「中小企業」、「小規模」が続いたが、いずれも前月より低下。悪化幅は「大企業」、「小規模企業」、「中小企業」の順で大きかった。規模間格差は、「大企業」と「中小企業」、「大企業」と「小規模企業」は縮まったが、「中小企業」と「小規模企業」は拡大した。

・業界別DI

主要業界別は、半導体、半導体装置関連の受注が増えたとの声がある『製造』が3カ月ぶりに改善。一方、中東情勢悪化の影響で資材や商品調達が困難との声が多い『建設』や『小売』、『卸売』、個人消費に伸びがない『サービス』は2カ月連続、燃料の供給制約、価格高騰の影響を受けた『運輸・倉庫』は2カ月ぶりにそれぞれ悪化した。

・先行き見通しDI

「長野」は、39カ月続いた長期的な改善継続予想がストップ。短期的な悪化とその後の改善予想となり、進まぬ中東和平などから先行きの不透明感がうかがえた。長期になるほど改善を予想したカテゴリーは主要業界別の『卸売』のみとなった。一方、『建設』は1年後の見通しが現在より悪化すると予想している。

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